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風呂の水を貯めておくのはダメなことか?

2023-02-16 12:42:02 | 防災セミナー・講演会
(文責 : 防災士 田澤六三)
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トルコ・シリア大地震では5万人を超える死者が出て、今後確認が進めばさらに増えるものと思われます。パンケーキクラッシュと呼ばれる建物の層崩壊も多く、逃げるヒマがなかったケースが多かったようです。
日本でも古い住宅もまだまだ残っていますから、安心はできません。地震対策をあらためて確認したいと思います。

さて 2022年3月17日、国際災害レスキューナースの辻直美氏がツイッターで、「地震が起きたら、お風呂に水をためるは実はダメ」と投稿するとともに、「くみ水を流してトイレを使うのは絶対ダメ!!!」「お風呂にためた水は清潔ですか?」などと画像付きで投稿し、話題になったそうです。
私もかつて、ある会合で風呂の汲み置きはダメだと厳しく意見する方があり、困惑しました。その時はそのままになりましたが、各家庭の状況によって判断するのが適切だと感じていました。特に一戸建ではまったく問題になりません。

いま検索して株式会社 滄漣舎という防災情報会社のホームページに「風呂に水をためる備えの是非について」という記事を見つけました (2022年3月18日掲載)。これは上記の辻氏に反論した記事と思われますが、たいへんよく纏まっているので、一部省略して引用しつつ紹介します。

まず対象となる建物のタイプは限定されるとします。
中高層の集合住宅で,設置された電気ポンプで水を汲み上げ給水するタイプでトイレは水洗式。水を汲み上げる必要が無い一軒家や低層の集合住宅は対象とならない。」

風呂の水汲み置き反対派の皆さんが理由に挙げているのは概ね以下の4点。

① 風呂の水でトイレに汚物を流してはいけないから
中高層集合住宅において建物や周囲の排水設備が破損する,または大雨で周辺が冠水するなどの原因で,排水機能が正常に働かない場合があります。その状態でトイレに汚物を流すと,上層部の汚物が下層部のトイレから噴出する可能性があります。
また少ない水量で汚物を流すと途中の配管で詰まりやすいという問題もあります。

滄漣舎HPの見解➡ 揺れが大きかった地域では建物が損傷している可能性があり,排水設備の確認せずにトイレを使うことは上記理由から問題があります。
これは排水の問題で、風呂の水の問題ではない。

田澤の見解 ➡ まったく賛成です。大地震であればあるほど排水設備の確認をしなければなりません。水道か風呂の水かペットボトルの水かは関係ありません。

② 不衛生だから
浴槽および浴槽に直結した湯沸かし器がの掃除具合により,ためた水が不衛生になります。
ためた水は飲料としては向かないだけでなく,生活用水としても長いこと使えるものではない,ということです。

滄漣舎HPの見解➡ 水をためる前に掃除を行えば、生活用水としては1週間程度は使えるのではないでしょうか。
但し,入浴後の残り水を排水せずにおくのは,言うまでもなく不衛生であり、生活用水としても使用はかなり限定されます。

田澤の見解 ➡ 入浴後の残り湯は洗濯や洗い物に使って特に問題はありません。長く使うというのではなく、数日間使えるだけで大助かりです。極端ですが沸かしてろ過すれば飲むこともできます。

③ 漏水が発生した場合,下の階の人に迷惑をかける
大きな地震の場合、風呂設備や配管の破損により,風呂にためた水が漏れ,下の階の住宅を水浸しにした事例があるようです。

滄漣舎HPの見解 ➡ 大変残念なことですが,一方で浴槽にためた大量の水を近所の人に分け与え助けたという事例もあります。物事には一長一短があり,これを理由に風呂水をためる行為を否定するのは無理。

田澤の見解 ➡ 配管の破壊で下の階に水漏れしたというケースは、大地震があってもめったに聞きませんから、稀なことでしょう。断水で困るということと比較すると、まるで桁違いです。
一方で風呂に入っているときに大地震で破損が起こることもあり得ます。風呂の湯を張っている時間は一般に数時間あるので、それほど大差があるとは思えません。

④ 小さな子供の落水事故に繋がる恐れ
日常において水の入った浴槽に落水し小さな命が失われる痛ましい事故が無くなりません。
災害時であっても浴槽に水をためると,そのリスクが発生します。

滄漣舎HPの見解➡ 小さな子供がいるご家庭では普段からその対策を取っているものと思います。風呂に入る度に水をため、終われば落とす。
子どもがいない家庭で風呂をカラにしておかなければならない理由としては薄弱です。

田澤の見解 ➡ その通りだと思います。小さな子供がいないご家庭では問題になりません。

結論として、滄漣舎HPはこう言っています。

「災害の種類は色々あります。住宅の種類,トイレ・排水設備の種類,家族構成なども様々です。防災には色々な選択肢があり,人それぞれその人の実状に合った方法を使えばいいと思うのです。その意味合いもあり,取れる選択肢は沢山あったほうが良いと筆者は考えています。」

私も賛成です。
私の地区はほとんどが戸建て住宅で、風呂の水を捨てずにいても周囲に迷惑をかけることは考えられません。だから私は町内では風呂の水を落とさないことを推奨しています。

もちろん中高層のマンションの場合は注意が必要です。高層階は揺れが大きく、風呂桶から水が飛び出してあまり残らないというケースがあるようですが、カラになるほどの揺れに見舞われる可能性は高くないと思います。
各家庭で、あるいはマンションなら管理組合で適切な対策を講じることが大切だと思います。

これについてご意見がおありでしたらお寄せください。
よろしくお願いします。

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