Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

Teisco スペクトラム5 やっと完成

2017-09-20 20:17:04 | GUITARS

スペクトラム5の配線スイッチ改造を試みてほぼ一カ月。チューンナップをしながらそのギターの本質が次第にわかってきました。普通はピックアップからのケーブルをポットやスイッチでまとめるのですがこのスペクトラム5はスライドスイッチにすべてが集中していてそれが最大の難所。オリジナルにあった独特の小さなトランスを撤去し3ピックアップをフルに使えるようにレイアウトしたのが問題の始まりです。複雑なスライドスイッチは代替パーツが無いのでスピーディーにハンダ付けをしないとすぐポストが熱で不安定になります。このギター専用のスイッチなのでコストは意外とかかっているかもしれません。ポストの穴も小さく、3本の結線があったりなので細い単線を使いますがかなり難航。

ワイヤリングのレイアウトは6個あるシングルコイルをそれぞれペアでまとめて通常のPUのようにセッティング。5個のスライドSWはフロントPU、センターPU、リアPUを単独で出力、全部をシリーズ配線、リアPUとフロントPUのミックスシリーズの5パターン、それぞれ隣のスイッチを同時に押すとハーフトーンとストラトとテレキャスターが融合したハイスペックなスイッチになりました。最初に250kΩのポットに配線しましたが膜が張ったボケたストラトサウンドになったのでボリューム、トーンともに500kΩに交換。するとブライトでクリスピーなビザール臭を残した質感になります。ポットの抵抗変更は地味なチューンですが効果絶大です。しかし、トーンが全く反応しない状況になりポット不良と思いきや正常。そこでピックアップの直流抵抗を測ると0.07kΩと通常のピックアップの100分の一という値。要するに強い磁力のマグネットにコイルの巻き数はチョットだけという仕様。専門サイトではテスコのこのPUは400ターンと書かれているのもあり、フェンダーの20分の1程のターン数。この当時の日本での製造過程ではこれでターン数や巻形状でのトーンのバラつきを最小限にして強いフェライトマグネットと小さなトランスで出力を安定させる狙いだったのでしょう。

その極限にまで少ないターン数のPUの弊害でトーンに使用するコンデンサーの値では機能しなかったのかもしれません。100倍の2.2~4.7あたりの電解コンデンサーだとしっかりトーンポットとして動きます。しかし、電解コンデンサーはカッコいいコンデンサーがありません。ルックス良くても大きすぎたりトーンが今一つだったりでしたが実際にセレクトしたのはどこでも手に入るニチコンの2.2ufの電解コンデンサー。3.3uf以上だとゲインも下がってしまうので2.2ufが芯も残ったままマイルドでちょうどいい感じです。難点はこの電解コンデンサーだとトーンが最後に急激に効いてくるので微調整が難しくBカーブでもほとんど同じ効き具合。ポットの抵抗値がまだミスマッチなのかは今後の課題です。このギターには特にトーンを絞ることはまれなのですが正常に機能することが大前提です。また、ギターに美味しいトーンポット用コンデンサーは外見や価格が全くと言っていいほど音質と一致しません。ビンテージもいいですが最近のギター用に作られたチョット高額な洒落たコンデンサーはボラれ感満載ですが安定度合いもありトーンもいいので好きですね。

時代を感じるオリジナルスペクトラム5の個性の一つのステレオアウトは今回廃止しました。今回の5wayスライドスイッチでは全てオフではアースが浮いている状態なので新しいスイッチでon-off仕様に変更し接触不良も改善。配線材はおなじみのWEのビンテージ単線でハンダはアルミット。

元ネタは60年代フェンダーなのでしょうが独特のオリジナルなアプローチとこのモデルだけの特殊ピックアップ構造からテスコの強い意気込みが感じられます。ストラトキャスターのようですが一歩手前の刺さるトレブル感が太く感じられ新しい雰囲気。しかし、60年代当時このモデルを出した後にテスコが衰退していったということで起死回生を狙うより最後のご褒美的なギターがこれだったのでしょう。


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