Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

JBL 4312XP メンテナンス

2017-09-25 22:09:15 | AUDIO

かれこれ25年のお付き合いになるJBL4312XP。スタジオモニターなのですが今では大型スピーカーの部類になってしまう中途半端なスペックで何故かいまだにロングセラーシリーズ。1982年のリリースからかなりのモデルチェンジをしてきても基本スタイルは変わりません。音楽メディアがアナログからデジタルに徐々に移行していった時期なので数年ごとに新モデルを出せる環境も存在していましたが同時にオーディオというジャンルの縮小が始まったのとリンクしていきます。同じ時期にはBOSEが樹脂キャビネットの小型スピーカーを登場させ、大型スピーカーメーカーの代表のようなJBLまでコピーモデルを出す始末。そんな中、JBLでは比較的小型の部類に入る4312はJAZZ喫茶やディスコ、バーなど業務用に浸透していき白い30cmウーファーに強いインパクトを持ったのが懐かしいですね。

最近はDAW作業やyoutube等パソコンでの音楽を聴く習慣がほとんどになりプリメインアンプやCDプレーヤーになかなか電源を入れる機会が少なくなりオーディオセットとして接続していた4312の出番がほとんどない状況になっているのはみなさん同じ。しかし、アナログレコードを聴くとやはりこの30cmウーファーが最高なのを痛感しますが。そこでこの4312をニアフィールドモニターとして使えるのかどうかチューンしてみます。スピーカーはフロア型で使うかデスクトップで使うかで印象は180度変化します。どんなスピーカーでも適切にセッティングするとどれもいい音なのですがオーディオマニアは自分の環境、音楽ジャンルを基準に評論するのでいろいろな話があって奥深く楽しい世界に入り込みます。ハイエンドオーディオはこの複雑怪奇な中で成熟していったのですがデジタル機器やパソコンでの音楽再生の登場で悲しいことに一部のオジサマ世代専用の嗜みになってしまいました。

さてこのJBL4312XPは1990年にリリースされた数ある4312シリーズの中でバッフル板が「リアクションモールデットフォーム」と呼ぶ特殊な硬質ゴムでスピーカーの余計な反射を制御するというデジタル時代に対応した企業努力が垣間見れますが後にも先にもこのXPで終わった悲しい仕様。デジタル対応とホームユースも狙ったキャビネットというこの時代では相反するスタイル。スピーカーを留めるバッフルがゴムという素材の為、中の吸音材は通常の半分しか入っておらず箱感の強いミッドからローが強力にポートから出てきます。ニアフィールドモニターとして聞くと30cmウーファーからのこれでもかという低音とミッドレンジが響き過ぎ。ウレタンスポンジの吸音材を両側面に3cm厚で張り巡らしトラッドな4312のスタイルにすると低音はタイトになりミッドレンジが落ち着きモニター的に変貌します。ポートを塞ぐとより硬くスピーディーなNS-10のニュアンスになりますが少し閉塞感のあるローミッドなのでポート形状を少し小さくするといいバランスになります。流石に定位は抜群でボーカルはセンターにキッチリ位置するので意外とミックスからマスタリングまで自然に使えそう。トレードマークのホワイトの30cmウーファーはネットワークを経由しないでフルレンジで出力されるのでアクティブなブーストした低音ではなく大きさからくる自然な低音はベースラインやバスドラのアタックをキッチリ前に出してきます。ジャズからハードロックまで違和感なく再生するのはJBLの伝統なのでしょうけど特に中途半端に古いスピーカーはちょっとしたアレンジでいつでも復活するんですね。最先端のモデルはイヂリようが無いですが。

結局4年弱の製造期間で終売になった実験的なモデルでしたが最初はアメリカメイドの後にデンマーク製に移行し革新的でヨーロピアン風な感じを出しましたが中途半端。その後の4312シリーズはユニットの変更はありますが全てトラッドなMDFキャビネットを現在も維持しています。基本のトーンは変化有りません。アルニコマグネットの初期モノを大事に使っている知人の4312も同じ音。様々な媒体のメディアが出てきて時代とともに少しづつ進化していても基本のトーンを変えない技術は逆に凄いことです。

秋の夜長には少し大きめのスピーカーでマービンゲイなんかどうでしょう。


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