津軽鉄道
駅の窓口で金木までの切符を買う、切符は分厚くとても立派であった、発車まで時間があったのでベンチにぼんやり座っていると切符を売ってくれた若い女性の駅員さんから早くホームに出るよう促される、悪意はないだろうが私は追い出されたようであまりいい気はしなかった、改札で切符にパチンと鋏を入れてもらいホームに立つと運転手さんが列車を掃除していた、発車10分前くらいになっておばさんが一人乗り込んだので私も続くことにした、乗客は私のほか今のところ全部で3名、それからアテンダントさんらしき制服を着た女性がなぜか乗っていた、天気はいい、車内も風景も静かである。
発車間際になって急に車内があわただしくなった、年寄りの集団が11名どかどかと乗ってきたのである、男女半々位で皆大きなリュックサックを背負いトレッキングにでも向かうような恰好をしている、状況は一転した、こいつら何者だろうか、とにかくやかましい、話しぶりから見ると地元の人間ではなく関東圏からやってきた連中のようである、まるで貸し切りバスの中にでもいるように気楽に席を移動して写真など撮り始めたりやけにはしゃいでいる、いい年をして回りへの配慮などお構いなしである、迷惑な集団と鉢合わせてしまった、そしてリーダー格のじじいが私の前の席に移動してきた。
列車が発車するとさっきのアテンダントさんがマイクをもって挨拶した、これから各席を回り観光案内をしてくれるらしい、こんなサービスがあるとは知らなかった、アテンダントさんは迷惑集団にも挨拶をしながら前の座席よりパンフレットを配りながら順に奥に向かい歩いている、わたしは後部座席にいたので一番最後であろう、目の前は一面田んぼが広がっている、金木までは20分ほどで到着する、集団はますます盛り上がり手が付けられない、私は極力無視をしていたがどうもおさまりがつかない、そしてアテンダントさんがリーダー格のじじいの席、私に席の前にやってきた。
リーダー格はこれから皆で三味線会館に向かうのだがコインロッカーがいったいどこにどのくらいあるのか、執拗に聞き始めた、アテンダントさんにとっては全く関係のない質問である、この馬鹿はとにかく向かう予定の場所のコインロッカーのことばかり繰り返したあげく佞武多のことでさらに意味不明な質問を始めた、口調は悪質クレーマーである、アテンダントさんも理不尽な問い合わせに熱くなったのか津軽弁丸出しで必死に応答している、私の我慢もだんだん限界に近づいた頃金木に列車は到着した、じじいたちも降りるのか立上っている、三味線会館と聞き覚悟はしたがこいつらも金木で降りるのだ。
金木で列車は5分停車する、アテンダントさんは私の席の隣りにしゃがみ申し訳ありませんでしたと頭を下げた、いいんですよ、しかし困った人だ、災難でしたね、そんな言葉をもって彼女を労った、旅に出ると人と会話をする機会はない、強いて言えばホテルのフロントや食事や買い物をした時レジの方を相手に一言二言くらいである、しばらく声を出さないでいたせいか私の声はかすれていた、私はこのアテンダントさんのことが好きになった、一生懸命誠意をもって対応している姿は本当に立派であった、津軽案内のパンフレットをいただき私も列車を降りた、観光客が多いせいであろう、洒落た駅であった。

駅の窓口で金木までの切符を買う、切符は分厚くとても立派であった、発車まで時間があったのでベンチにぼんやり座っていると切符を売ってくれた若い女性の駅員さんから早くホームに出るよう促される、悪意はないだろうが私は追い出されたようであまりいい気はしなかった、改札で切符にパチンと鋏を入れてもらいホームに立つと運転手さんが列車を掃除していた、発車10分前くらいになっておばさんが一人乗り込んだので私も続くことにした、乗客は私のほか今のところ全部で3名、それからアテンダントさんらしき制服を着た女性がなぜか乗っていた、天気はいい、車内も風景も静かである。
発車間際になって急に車内があわただしくなった、年寄りの集団が11名どかどかと乗ってきたのである、男女半々位で皆大きなリュックサックを背負いトレッキングにでも向かうような恰好をしている、状況は一転した、こいつら何者だろうか、とにかくやかましい、話しぶりから見ると地元の人間ではなく関東圏からやってきた連中のようである、まるで貸し切りバスの中にでもいるように気楽に席を移動して写真など撮り始めたりやけにはしゃいでいる、いい年をして回りへの配慮などお構いなしである、迷惑な集団と鉢合わせてしまった、そしてリーダー格のじじいが私の前の席に移動してきた。
列車が発車するとさっきのアテンダントさんがマイクをもって挨拶した、これから各席を回り観光案内をしてくれるらしい、こんなサービスがあるとは知らなかった、アテンダントさんは迷惑集団にも挨拶をしながら前の座席よりパンフレットを配りながら順に奥に向かい歩いている、わたしは後部座席にいたので一番最後であろう、目の前は一面田んぼが広がっている、金木までは20分ほどで到着する、集団はますます盛り上がり手が付けられない、私は極力無視をしていたがどうもおさまりがつかない、そしてアテンダントさんがリーダー格のじじいの席、私に席の前にやってきた。
リーダー格はこれから皆で三味線会館に向かうのだがコインロッカーがいったいどこにどのくらいあるのか、執拗に聞き始めた、アテンダントさんにとっては全く関係のない質問である、この馬鹿はとにかく向かう予定の場所のコインロッカーのことばかり繰り返したあげく佞武多のことでさらに意味不明な質問を始めた、口調は悪質クレーマーである、アテンダントさんも理不尽な問い合わせに熱くなったのか津軽弁丸出しで必死に応答している、私の我慢もだんだん限界に近づいた頃金木に列車は到着した、じじいたちも降りるのか立上っている、三味線会館と聞き覚悟はしたがこいつらも金木で降りるのだ。
金木で列車は5分停車する、アテンダントさんは私の席の隣りにしゃがみ申し訳ありませんでしたと頭を下げた、いいんですよ、しかし困った人だ、災難でしたね、そんな言葉をもって彼女を労った、旅に出ると人と会話をする機会はない、強いて言えばホテルのフロントや食事や買い物をした時レジの方を相手に一言二言くらいである、しばらく声を出さないでいたせいか私の声はかすれていた、私はこのアテンダントさんのことが好きになった、一生懸命誠意をもって対応している姿は本当に立派であった、津軽案内のパンフレットをいただき私も列車を降りた、観光客が多いせいであろう、洒落た駅であった。
