枯野

写真の楽しみ

中学歴史教科書(1)

2005-06-22 | 雑文

                        (品川区にある居木橋にて)

            問題の箇所は、どう記述されているか
 
 近くの区立図書館に行ったら、たまたま今回検定に合格した新しい中学の教科書の展示会が開かれていたので、ついでに一寸覗いて見た。
 最近、中国や韓国が、日本の教科書の検定に関して、日本が侵略戦争を行って多大の損害と苦痛を与えたことへの反省がなく、歴史認識に問題があると抗議し、総理の靖国神社公式参拝と並んでいわゆる教科書問題として、大きな外交問題にまでなっていることは周知のとおりであるが、現実にその教科書を見ることができて、いまさらながら認識を新たにした次第である。
 その認識を新たにした点は、第一に、どの教科書にも、両国が非難するような、例えば、日本が行った戦争は、中国や韓国がいうような侵略戦争ではなく、自衛のために、また、アジアの諸民族を解放し、アジアに永遠の平和を樹立するために、やむを得ずなした聖戦であって、侵略戦争とは程遠く、かつ、両国に何の損害も苦痛も与えていないというような歴史認識の立場に立って、各歴史教科書が記述されているものと思っていたが、実は、そういう認識に立つ記述は、扶桑社版を除くその他の教科書には、全くなく、普通に、日本が行った戦争は、侵略戦争であり、両国はじめアジア諸国に多大の損害と苦痛を与えたという立場に立って記述している点である。
 このような扶桑社版以外の教科書の記述の中には、或いは、中国や韓国の方から見ると、細部の点には、多少異論を差し挟む余地のありそうな箇所もないこともないかも知れないが、総じて、そういう箇所は、これを針小棒大に取り上げて、外交問題にまでするような箇所とは到底言えず、おそらく両国ともそんな細部の末梢な箇所を、たとえ気づいていても敢えて問題とするようなことはありえないことであろう。
 第二に、問題の扶桑社版であるが、これは想像以上に、こうした他社のものとは、はっきり一線を画した、前記のような立場(「聖戦」観)に立って、いろいろ記述しており、いくら何でもこれでは、中国韓国両国の側からすれば、到底見逃すことはできず、たった1社の教科書に過ぎないとはいえ、いやしくも政府が公式にこの教科書を合格させ関与した以上、大げさではあっても、もはや正規の外交問題として大きく取り上げざるをえないのは当然のことといえよう。

  [リンク]
  扶桑社版教科書に関する声明
  新しい歴史教科書を作る会


  

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