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桜の道

2005-07-02 | 雑文

                               
                      会社は株主のもの 
 平成15年6月下旬に開催された3月決算会社の定時株主総会では、特に問題会社においては、活発な質疑などが多くみられ、ある程度の時間をかけて審議がなされたところもかなり見受けられたようである。 会社間の株式持合いの解消が進んできた反面、外国投資家をはじめとした個人株主が増加し、投資ファンドなどの機関投資家も増えたせいもあるが、なんといっても、全般に、株主の「会社所有者」としての自覚が高まったのがその大きな原因であろう。
 昔は、会社は総会屋に利益を供与し、総会屋も貰うものを貰いさえすればそれまでなので、総会に出ても議事進行に協力するだけであり、一般株主の出席もないから、すべて総会は、株主からの質疑など全く出ず、「異議 なし!」「異議なし!」で、僅か数分で終了するのが普通であった。 たまに、株主から質門などが出され、終わるまで多少時間がかかった場合は、「荒れた」総会として、社員の事務担当者は、社長から、「しっかり利益供与をせよ」とこっぴどくお叱りを受けることになる。総会屋への利益供与をうまく取り仕切るのが最重要な総会事務であった。 依然として、今でも裏で隠れて巧妙に総会屋に対し利益供与がなされているのかどうかは、はっきりしないが、総会屋のことは、ともかくとして、株主総会が、何らの質疑応答もなく、数分で終了するといったような過去の強い慣行が順次薄れ、株主が実際に大勢総会に出席してきて、曲がりなりにも活発な質疑応答などがなされるようになったことは、当然のこととはいえ、歓迎されるところである。 もっとも、総会の議案は、以前では委任状、今は議決権行使書によって、通常、開会前にすべて原案どおり承認可決されることが事実上確定しており、総会での審議は、議案の成否には関係ない単なる観客なき喜劇に過ぎない。この点は、昔も今も全く変わりはない。

 ところがどうしたことか、原案が否決されたという会社があったという報道も見られたが、これまででは夢にも考えられなかった珍現象である。どうしてこんな絶対に起こり得ない珍現象が起こったのか、不思議であるが、もしかすると、あらかじめ裏でお膳立てをしておいた茶番劇 だったのかも知れないが、そうでないとすると一つ想定してみると、総会に大株主又はその代理人が、実際に出席してきて、原案に反対し、その所有株数が多いためそのとおり原案が否決されてしまったことが考えられる。これなら当たり前のことであり、少しも不思議ではないが、そういう特殊な株主構成の会社で、経営者が事前にそういう大株主の意向を打診してみなかったのは、いかにも独善的というか、無知というか、とにかく株式会社制度のイロハを弁えないお粗末な経営者というほかない。およそ会社は、株主のものであり、総会の決議事項は、その総会での株主の株数による多数決で決定されるという株式会社の制度の根幹を経営者(現在の取締役)がよく認識していないことによるのであろうか。
 いずれにしても、会社は、経営者が何でも思うままにすべて運営することができる経営者の私物ではなく、経営者は、日常の業務執行については、思うままにやってよいが、およそ株主総会の決議事項については、無条件に、あくまでも多数株主の判断に従わなければならないことを改めてよく認識する必要がある。 

 [リンク] 会社法  会社法施行規則 会社計算規則  会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律  (商法) 

 


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