ガラスのランプ

配達中に見つけた三鷹の電器屋さん。

江戸時代の照明器具から現代の器具まで色んなものがあります。
８０過ぎのおじいちゃんが店主です。
明治大正時代の素晴らしいランプも何点かあります。

あるランプシェードが気になってジッと見ていたら、
「お兄さん好きなの？これねぇ、売りもんじゃねぇんだよ。これと同じもんが竹久夢二美術館にもあるんだよ。昔はいいもん作れる人がいたんだがな～、今はいねぇんだよ。」
そう言いながら、明治大正時代のランプの本持ってきて見せてくれた。
「これなんかすごいだろ？キレイだろ？前はいいもん作ってたんだがなぁ。」と呟きながら。

僕は少し気が沈み、この方は本当に美しいランプが好きなのだと思った。

そして二階へ案内された。
少し足が悪いようで、手すりにつかまって僕の前をゆっくりと、「ブッ、ブリュ、ブリュ」とお尻の中心からリズムを刻みながら。

二階にもたくさんのランプがあった。
多くのランプの中で気になったのが写真のものです。
少し埃をかぶったランプ、日本のメーカーで今はなくなったそう。
残念・・・。
ホテルのロビーなどにも納品していたみたいで、この店にもそのメーカーの大きなシャンデリアがあった。すごくキレイ。
同じメーカーでもう一つ気になったのがシーリングの平べったいシャンデリアの様なもの。玄関につけると凄く良さそう。でも一人暮らしにはデカイ。実家にどうですか母上様？！

値段を聞くと表示の半額でいいとの事。
話を聞くとどうやら近々お店を閉めるかも知れないのだという。
僕は来月か再来月に買いに来ると告げて店を出た。


二ヵ月後、子供の頃の様にお金を握りしめ・・・持ってお店に行った。

ランプはピカピカだった。
「お兄さんが買ってくれるって言うからピカピカにしといたよ」とおじいちゃん。

そう言いながら壁からはずし始めた。ランプの部品を銜えながら。

チョチョ、チョット！

まぁいいや。

いいもん買った！
ええもん買うた！