虎・寅・とら
ふと目にした市政だより、ほぉ今年の干支・虎についてのお勉強会・・抽選?
ダメ元でと申し込んだら、見事当選
2月11日建国記念日、県と市の首長が不要不急の外出を控えるよう呼びかける中
落選した方に申し訳ないと約3年ぶりに八木山動物公園に行って参りました。
当日の講師は、パンダマークでお馴染みのWWFJ(公益法人 世界自然保護基金ジャパン)の岩淵翼先生です。
なんと宮城県仙台市八木山のご出身、カルフォルニア大学に留学し、のちに生命科学の博士号を取得なさった方です。
1時間半に亘る講演の中で、たくさんの事実に触れ気づきを頂きました。
私の感想を文章にしようと思うと、思いがあふれすぎてまとまらない恐れがありますので、箇条書きを交えてお知らせしたいと思います。
1. 虎の種類と生息地域・・9種類の「亜種」
( )内は生息数
虎もライオンも、哺乳綱ネコ目(食肉目)ネコ科ヒョウ属に分類されます。
①シベリアトラ ・・ロシア極東部や北朝鮮北部
②アモイトラ ・・中国南部及び西部
③インドシナテラ・・インドシナ半島
④マレートラ ・・マレー半島(300~500)
⑤スマトラトラ ・・インドネシアのスマトラ島(300~500)
⑥バリトラ ・・インドネシアのバリ島、1940年ごろ絶滅?
⑦ジャワトラ ・・インドネシアのジャワ島、1980年代に絶滅?
⑧ベンガルトラ ・・インド、ネパール
⑨カスピトラ ・・カスピ海沿岸、イラン、アフガニスタン、パキスタン北部山岳地帯、
1974年絶滅
ホワイトタイガーは、アルビノとは異なり冷地に対応する為の保護色として白化したのではないか とされているそうです。
赤道からシベリアまで13か国という幅広い地域で生息できる、大変適応能力に長けた動物です。
又、北に行くほど耐寒機能が備わり個体が大きくなり、地球上の人口の1/2が住んでいる地域と虎の生息域が重なるそうです。寺院の襖絵に描かれたりと、昔から強さの象徴でもありました。
2. 100年前と比べると⇒⇒なんと、虎の住む
森が95%も減少
(1) 生息数減少の原因‥密漁
虎の縄張りの森林に人間が分け入り、安価な金属製のくくり罠を設置して捕獲
そしてその毛皮を売る
虎以外の草食動物も罠で捕獲され、虎の餌となる生物も減る
・・森林伐採
大豆油や菜種油に比べると、パーム油は狭い土地で多くの収量を得られる
=生産効率が良い=違法伐採してまでも農園を広げようとする
植物性油脂と聞くと、さも健康に良いと感じるが、実は虎を始めとする生物の
犠牲の上に成り立っていた(衝撃的 な気づき)
一度破壊した自然環境を元に戻せるほど、人類は万能ではありません
・・貧困に喘ぐ人々への教育問題
現地住民が生きて行く上で必要な農地の確保の為に、更に奥地へ奥地へと
又は国立公園内へ入り森林を伐採
草食動物の捕獲時に虎と出会い軋轢を生み、人が被害に合う
家族が犠牲になったことにより、虎に対して憎しみを生むという負のスパイラル
(動物の立場から言えば、動物も被害者)
(2) 虎の命を守るために・・WWF及びWWFJが取り組んで
いること
① 虎が生きられる場所の確保=森の保全
ライオンはオスが1~3頭、メスが15頭ほどで1つの群れを形成しています。
オスは、外敵から群れを守り子孫を残す使命、メスは獲物の確保と子育てと
役割分担がはっきり分かれています。
では、虎はどうでしょうか。
虎は、大きなオスの縄張りの中に、複数のメスの縄張りが存在します。
毎日森を見回り木々にマーキングしますが、3,4週間マーキングを怠ると、
他の個体に縄ばりを取られてしまいます。
身を隠せる森林がないと、安心して見回りも出来ず、密漁者の餌食にな
ってしまいます。
繁殖期が終われば、別居して群れを成すことは有りません。
1度に1~4頭出産しますが、複数出産しても無事に育つのは1頭程と
言われているそうです。
WWFでは、正確な個体数と行動調査の為、向かい合った木々に
「カメラトラップ」を設置しています。
虎の模様は人間の指紋のように、個体の特定の重要な情報源です。
又、足跡、フン、爪とぎの高さの痕跡で体長を推定します。
八木山動物公園にもいるスマトラトラの場合、野生下では餌となる草食動物数も
減少した為、仙台市の面積1個分におおよそ2頭~3頭の割合で虎が生息している
そうです。餌を探すのも繁殖相手を探すのも、大変ですね。
(3) 私たちにできる事・・無理のない範囲で、持続可能な事
今回の講演の中で、2つのマークを教えて頂きました。
1つは、「RSPO」マーク
生産効率の良い植物油としてパーム油があると書きました。
日本人が使用している植物油の、実に1/4がパーム油です。
マーガリン、調理用油、化粧品、お菓子、口腔ケア商品・・
所が実際パッケージを見ると、パーム油の表示は見当たりません。
現在日本の法律では、どのような植物油を使用しているか表示義務がないからです。
「植物油(国内生産 大豆油)」の表示は有りましたが、
限られた時間の中でパーム油の表示を見つける事は出来ませんでした。
野生動物たちの生息区域への圧力を少なく済ませることが出来る農園から生産された
パーム油を使用している製品であるかどうか、知る術が「RSPO」マークの有無です。
このマークが付いていれば、環境や野生生物の保護に配慮したアブラヤシから生産した、
「良いパーム油」で有るという証になります。
森林を伐採した跡地にアブラヤシを植え、上空から見たら依然と同じように
緑が広がっているのですが、人間が作業しやすくするために規則正しく植えられた森では、
下草も育たない草食動物がついばむ植物も育たない
草食動物が減少すれば
虎も住めない森になってしまいますね。
2つ目は「FSC」マーク
リサイクル法が出来て、「紙マーク」「プラマーク」「スチール」「アルミ」等、
パッケージの表示に従いごみの分別がなされるようになりました。
紙パッケージについている「FSC」マークは、先の「RSPO」マーク同様、
環境や野生生物に配慮した原材料を使用しているという証です。
私も講演の後クッションカバーを購入したのですが、その紙製ハンガーに
「FSC」マークが入っていました。
翌日いつものスーパーでカレーやシチューのパッケージを観察した所、
ありました「FSC」マーク💛
大手企業全てではありませんでしたが、お値段が同じならなお、
無理のない負担増であれば、
「FSC」マークを採用している企業を応援したいと思いました。小さな事からコツコツと。
WWFでは一度だけ、又は毎月継続型の「寄付金控除に該当する寄付」を
常時募っています。
八木山動物公園でも、動物の餌の購入や環境整備に使って下さいという
「ふるさと納税」を受け付けています。
ご興味があれば、ぜひホームページをご覧ください。
寄付が難しければ、八木山動物園に行きませんか。
います
パンダはいませんが
💛 OA機器で疲労した目を癒してくれる、太平洋を見渡せる展望デッキがあります。
💛 野生の香りが、消臭剤や芳香剤で鈍ってしまったあなたの嗅覚を目覚めさせます。
💛 つい可愛いと微笑む事で、固まった表情筋が緩み眉間のしわが改善されます。
💛 適度なアップタウンが、足腰の健康維持に役立ちますよ。
最後に
進化の過程でたまたま生物ピラミッドの頂点にいる人類が、
自分たちの豊な生活を優先し、森林、大気、海水等の自然環境を破壊し動物たちを絶滅に
追いやってしまった、すでに多くの人々が知るところです。
一度破壊した自然環境を元に戻せるほど、人類は万能ではありません。
全員で一律にWWF等の活動支援は難しい事ですが、マークをチェックし
無理のない範囲でその商品を購入する事は出来るのではないでしょうか。
地球という泥船に乗っている人類は、化学兵器の精度を競ったり、
よその土地を欲しがったりしている場合ではありません。
ミツバチがこのままのスピードで減少したら、人類は死に絶えるという話もあります。
虎を始めとして象、サイ、パンダなど多くの生き物が、生き生きと暮らせる森を守る事が、
強いては人間が幸せに暮らせる地球なのだと、改めて、当然の気づきを頂きました。
足
八木山動物公園では名古屋東山動物園からスマトラトラのメス・ダマイ7歳を迎え、
オスのケアヒ13歳とのお見合い大作戦決行中です。そぉーと応援しましょう。
八木山動物公園の虎の繁殖実績がすっごい!! 日本各地に子孫を送り出しています。
その他、ホッキョクグマのオスの海(カイ)17歳とメスのポーラ17歳もお見合い中です。
相性は良いので すが、前回は残念ながら死産だったそうです。
ホッキョクグマの繁殖も大変難しく、旭川・旭山動物園では実に40年ぶり、
しかも初産のピリカが小熊を愛おしんで育てています。
今回3頭出産しましたが、残念ながら1頭のみ生育いています。
男鹿水族館GAOにいるユキは、確か3回目の出産で「フブキ」を授かりました、
ポーラも、きっと大丈夫💛。
その反面、国内のスマトラトラもホッキョクグマもゴリラも、血縁関係が濃くなり
国内での繁殖が難しくなりつつあるとの事。
象に関しては言えば、1頭当たりの飼育面積基準がクリア出来ずに、新しい個体を
迎えられずにいるそうです。
昨年和歌山アドベンチャーワールドのパンダ飼育員さんとお話した時に、
「寂しいけれどこの子達は、オスがたくさんいる中国に帰った方が幸せなんです」、
この言葉が心に身に沁みます。
数が増えても、飼育下で一生を送るのことが、果たして動物にとって幸せな事なのか・・
文末になってしまいましたが、掲載に関してアドバイスを頂戴致しました岩淵翼先生、
毎日動物の命と向き合う八木山動物公園のスタッフの皆様に心から感謝申し上げます。
☆岩淵翼先生のお名前を掲載することに関しましては、事前にお許しを頂いております☆