TDU 建築学専攻 地域施設計画論

東京電機大学未来科学研究科建築学専攻
「地域施設計画論」成果物
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2021 地域施設計画論 身体障がいの体験:松葉杖体験(大学周辺)

2021-06-29 09:28:00 | 「身体しょうがいの体験」目次,公開可能

私たちは松葉杖での日常生活を体験しました。

この中で見た目で分かりやすいのが視覚障害や肢体不自由などの身体障碍です。街中で松葉杖を利用している方や車いす利用者の方を見かけることがあり、今回は身の回りで目にする機会で多いであろう、身体障碍の中の肢体不自由に着目しました。

事前に,一般的に使われている杖の種類を調べてみました。一つ目は松葉杖。足などを骨折している方の多くが使っているのがこのタイプです。

2つ目はロフストランドクラッチ。前腕固定型杖といい、握力が十分にない方には有効なタイプです。

3つ目は多脚杖。把手(とって)は一つだが脚が3,4本に分かれていて着地面積が広く安定してい転倒の恐れが軽減するタイプ。

4つ目は1本杖。腕の力があり、歩行バランスが比較的よい方向けで、一般的なステッキ型と体重のかけやすいT字型があリます。

今回は4つの杖から一般的に使用される、松葉杖を使用します。

 

準備として、松葉杖の高さの調整手順として以下の3つの手順があります。

また、松葉杖の使用上の注意点がいくつかあり、1つ目は脇で支えない。2つ目は進行方向へむかって大きく杖を出さない。この2点に配慮し今回の検証を行いました。

まず体験1について。大学から河川敷までの間で、課題となりそうなポイントは長距離、長時間の移動での個人的要因や階段・スロープなどの環境的要因があります。

スタートは大学内。構内は勾配がなく楽に進めます。

三号館の前に移動する。三号館前のタイルは松葉杖の利用に関してはほぼ影響がないが、車いすの利用に関しては車いすがガタガタ揺れ、進みにくく普段より力を必要としました。

商店街のタイルは凹凸がなくどちらも影響を受けなかったが、道端に止まっているトラックなどをよける際、道の真ん中まで行き、対向車が来ているかの確認をする必要があり少し恐怖を感じました。

河川敷まで進み、階段やスロープを上り下りしてみました。松葉杖は移動する際、幅をとるので階段の利用は幅が狭いと困難でした。スロープに関しては松葉杖では楽に上れるが、車いすでは継続的に腕を動かすことになり、腕の力と気力が必要です。下りに関しても車いすはスピードが出てしまう恐怖を感じながら下らなければならなかった。

途中の住宅街のアスファルトでは車いす利用者への影響が大きく感じました。整備されていないところが多く、凹凸している箇所に何度も足を取られ進行を妨げられました。1度はまると抜け出すのが難しい場合もあリます。

公園での砂の上ではどちらも影響を受けませんでした。

砂が関係しているのかは不明ですが、たいした段差に見えない段差を超えられませんでした。

次に体験2についてです。マルイでの買い物で、課題となりそうなポイントは人混みや狭い通路の多さ、また移動だけでなく買い物をするという動作が必要になることです。

体験1の階段のところでも話したように、松葉杖は幅をとるので、1人乗りのエスカレーターではスムーズに乗るのが難しいかもしれません。

買い物の場所は狭い通路が多い百円ショップを選びました。松葉杖で両手がふさがるので買い物かごを持つことや商品をとる事に苦戦しました。

狭い通路でも人とすれ違わなければならないので、買い物かごを持ちながらは至難の業です。

下の段の商品を取るときは松葉杖をどかし、片足でスクワットをしている状態になり、筋力が少ない方にとってはかなり大変だと思いました。

 

体験①②で感じたこととして、松葉杖に関しては、路面の凹凸や砂などの影響をあまり受けず、ただぬれてるマンホールなど滑りやすいところは避けなければなかったです。

また両手があかないこと以外に不便さをあまり感じないが、腕だけでなく腹筋や背中、足にも疲労が来ました。

車いすに関しては、松葉杖と比べると体への負担は少ないと感じられたが、少しの段差や勾配に大きく影響を受けました。また、上り下りができないなど日常生活とのギャップを感ました。

以上の体験①②から改善案として、利用者としてはロフストランドクラッチを使うことで両手を空けることや腕への負担を減らすことができます。設計者としてはオシャレになるからと言って安易に段差を設計してはならず、周りの人としては優先される人に対して思いやりを持つことが必要だと思いました。

次に帰宅ルートを体験しました。

徒歩や電車、バスを利用し帰宅しましたが、通常時の帰宅時間より倍の時間がかかり、

普段乗らないバスなどの利用もあり、身近な駅の交通機関の把握も必要だと感じました。

初めに近くの喫煙所です。ここでは、壁はガラスで扉が透けているため見通しがよく、接触事故などが起きない安心感を感じることができました。

サインと配慮については以下の3つを対策案とします。

まず一つ目として分かりやすいサイン、これは歩行中でも目につきやすくすることで歩行の流れを止めず周囲の方との接触を避ける手助けになります。

例として、足元付近にサインを置いたり、改札を通る前に確認しやすいサインを設けます。

二つ目は電車内の通路と座席です。関西の方で体験した二列の座席や自由な開閉座席を設けることで身体にかかる負担の軽減や周りの人が自然に配慮できる環境になると思います。

二つ目は電車内の通路と座席です。関西の方で体験した二列の座席や自由な開閉座席を設けることで身体にかかる負担の軽減や周りの人が自然に配慮できる環境になると思います。

三つ目に障がい者への思いやりです。障がい者は日常に不便なことが多いため、健常者は自然に気をつかう思いやりを持つことが大事だと思います。

 

次に気になったのが、ホーム上や改札の狭くなっている道や隙間です。以下の6点が気になりました。

特に、道幅が狭く線路に落ちそうになったり、人に気を遣う点が印象的でした。

これらの対策としてホームドアの設置、改札やホームの通路を広くするなど事例から、精神的なストレスも軽減できると思われます。

バスでは、特に段差が高いことが気になりました。対策としてノンステップバスのような乗り降りが楽になる配慮が必要だと思います。

住宅街にあった歩道では、狭いうえに水勾配があり歩行が困難だったため、車道を歩いてしまい危険だと感じました。そのため道幅を広くするような対処が必要だと思います。

今回の松葉杖の体験を通して、日常生活の中に不便な建築的な要素が多いことを知りました。

これらの5つの要素に配慮し設計することで障がい者にとって身体的にも精神的にも優しい暮らしを提供できると考えます。

 

 

 


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