■ バックアップ
バックアップは重要である。Windows 7やWindows Server 2008などにもバックアップ機能が標準で入っており、データのバックアップをしていないというシステムは非常に少ないと思う。なぜバックアップを行うのか? バックアップには大きく2つの役割があるのではないだろうか。
1. ハードウェア障害のため
サーバ、ストレージあるいはディスクなどが壊れてしまい使えなくなってしまった時に復旧が必要である。バックアップしたデータがあれば、そのデータから復旧することが可能である。もっと大きく捉え、データセンターが障害になってしまったとしてもバックアップデータさえあれば、システムを復旧することが可能である。
2. データの誤更新のため
大事なデータを消してしまったら。あるいは間違ったデータを上書き保存してしまったら。これらの場合にもバックアップから復旧する方法が考えられる。そのため、バックアップ運用では世代管理を行い、数世代のバックアップデータを保存するように設計を行う。最新のバックアップデータだけではなく、何世代か前のバックアップデータから復旧できる仕組みを持つのである。
バックアップの設計を行うためには通常これら2つの事を念頭に置かなければならない。
■ ディスクバックアップ
ディスクの大容量化と低価格化も貢献し企業が持つデータ容量は年々増すばかりである。同時にバックアップにかかる時間(バックアップウィンドウ)も同じように伸びてきている。バックアップウィンドウはシステム負荷を高くするばかりかデータの整合性の仕組みのためにも短い方がいい。そのため、近年ではバックアップをディスクに取得する企業が増えてきている。テープに書込む速度に比較するとディスクへの書き込み速度の方が早い場合が多いからである(シーケンシャルな読書きは実はテープの方が高速なデバイスも多い。テープのマウント、巻き戻し、早送りなどで遅いと感じる企業が多いようである)。また、統合バックアップを検討する場合にはバックアップジョブをマルチで実行するためにディスクバックアップを選択する。
■ ディザスターリカバリー
データセンター障害などで復旧するためにはバックアップテープを外部保管する必要がある。そのためディスクにバックアップを行う場合でも、バックアップ終了後にテープにコピーし外部保管を行う。いわゆるD2D2T (Disk to Disk to Tape)といわれるバックアップ運用である。しかし、テープの運用は少々厄介である。テープローテーションを検討し、オペレータが毎日テープを交換し、たいていの場合は外部保管業者に預けるのである。全ての企業で本当にこのような運用が可能なのであろうか。
■ 新しい手法D2D2C
我々は考えました。最終バックアップはテープでなくても、データセンター障害時にどこからでも復旧さえできれば、何でも構わないのではないかと。そしてたどり着いた答えがクラウドストレージなのです。安価で堅牢で世界中から使用できるクラウドストレージに最終バックアップがあれば、日本に限らずどこからでも復旧が可能で、テープの入れ替えも、外部業者にテープを預ける必要もない。
いわゆるD2D2C (Disk to Disk to Cloud)の発想です。