「映画はいいなあ~……ビデオだけど」
年末に劇場版を見逃してしまい、ずっと怨念もとい期待を込めてビデオ化されるのを待っていた。
で、期待を込めて観たわけだけど……その期待に十二分に応えてくれる出来であった。
あんまりアニメの作画とかには詳しくないのだけど、でも、間違いなく日本アニメ業界でもトップクラスの作画だと思う。
また、ゲーム『サクラ大戦3』で用いられた、CG+アニメも上手く使われている。
まあ、あんまりアニメーションの技術的なことは詳しくないので、このぐらいにしておこう。
肝心の中身だが。
冒頭の『奇跡の鐘』には「感動した!」の一言。
(クリスマス公演がストーリーの始まりなのだ)
まさか、この歌を冒頭に持ってくるとはな~。
『檄!帝』じゃないところに、劇場版ならではの太っ腹が感じられる。
次いで圧巻だったのは、轟雷号の発車シーン。
ゲームの方でも、それなりに時間を割いてCGムービーで見せてくれるのだが、劇場版はひと味もふた味も違う。
「そこまで長回しにするか!」って言いたくなるぐらい、微に入り細にわたっている。
きっと、轟雷号用に設定したゲームスタッフが、ここぞとばかりに発車シーンに魂を込めたに違いない。
そうじゃなけりゃ、帝撃整備班のオッサンが、あんなにたくさん登場するわけがない。
整備班の一人一人の姿に、轟雷号設定スタッフの気合いが乗り移っているのが、確かに見て取れた
そして、劇中最も度肝を抜いたのが、なんといっても大神中尉の登場!
なにせ、この映画のイントロダクションは「大神なき花組にてピンチ到来!」だったはず。
しかも、出演者にも大神中尉役の陶山章央さんの名前が載っていなかった。
だから、まさか登場するなんて、思いも寄らなかった。
いや、確かに劇中で、さくらが引いたおみくじに「想い人が現れる」と書かれていて、伏線はあった。
でも、これは『サクラ大戦4』への伏線だと思っていたので……フランス仕込みの光武F2でのブースターアタックで登場したときは、ホントにびっくりさせられた。
と同時に、『サクラ大戦4』では、ゲーム開始当初から大神中尉が花組の日常に溶け込んでいた理由も分かった。
つまり、時系列的には「サクラ3→活動写真→サクラ4」となっており、活動写真の設定がそのままゲームに活かされていたのだ。
マジメにサクラ大戦を追いかけていた人にとっては、当然のことだったのだね。
とまあ、誉めまくりの当作品。
まあ、私は元々サクラファンだから、けなす部分もなければ、けなす必然性もないわけだけど。
轟雷号が発車することからも分かるとおり、OVAと違って劇場版は、わりと戦闘シーンが多めだった。
OVA的な花組の日常的なノリが好きな私としては、カンナとすみれのやり取りが少なかったりして、ここらへんがちょっと残念だったかな。
まあ、でも、逆に言えばOVAで花組の日常はカバーされているので、劇場版はむしろ華やかな戦闘シーンが多い方が盛り上がって良かったのかも。
それと、この作品のキーマンとなるはずのラチェットと悪役の影が薄かったのが、物足りないと言えば物足りない。
ラチェットに関していえば、マリアや織姫のときのように、もっと確執を色濃く描いた方が良かったと思う。
そうすることによって、ラストのラチェットのアドリブによる心情を吐露と、その上で「花組」の存在を受け入れるというシーンが活きたと思う。
悪役に関しては、アメリカ人ということでマリアと因縁がありそうだったけど、そのへんの掘り下げがなかった。
それに、ゲームと違って悪役が悪役足り得る悪行の数々が、やはり盛り込めなかったような気がする。
まあ、これは時間制限のある劇場版で、テレビアニメ並のボリュームがあるゲームと同じ質を要求するのが酷なのか。
出来うることなら、活動写真のストーリーもゲーム化して、『サクラ大戦4』のプレストーリーとして『サクラ大戦3.5』を出してほしいな。
そうすれば、『サクラ大戦4』のボリューム不足も補えて、かつラチェットがキャラとして活かせたと思うのだけど。
長々と語ってしまったが、これもひとえに『サクラ大戦』であるがゆえ。
これほどまでにゲームが、他のメディアに展開し、成功した例というのも希有なのではないだろうか。
だからこそ、語りたくもなる。
というわけで、OVAの第3シリーズも今から楽しみだなっと。
『サクラ大戦 活動写真』(ビデオ)
監督:本郷みつる
出演:横山智佐、富沢美智恵、高乃麗、西原久美子、渕崎ゆり子、田中真弓、岡本麻弥、伊倉一恵、折笠愛、池田勝、子安武人、山寺宏一、久野綾希子、陶山章央(!)、他
評価:9点(サクラ大戦なので+2点)
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