つぶやきイチロー

思いついたことを、思いついたまま綴る。ヒマな時に更新。

今、一番有利な資産運用

2005-12-09 00:30:41 | 政治・経済・社会
今、一番有利な資産運用手段は何だと思いますか? 国内株? 為替? 皆さん色々な答えをお持ちだと思いますが、今、一番有利な資産運用手段は「お金を借りること」です。

正確に言うと、お金を借りて何かに投資することです。その投資先が国内株なのか、為替なのかは、スミマセンが私は将来を予測できる神様ではないので何が良いとは言えませんが、とにかくお金を借りることが有利なのは間違いありません。なんたって日本はゼロ金利ですから。

とは言っても、個人投資家の場合ですと借り入れたお金で資産運用をするには、株の信用取引など相応に借入れコストが掛かります。しかし、例えばFX (外国為替証拠金取引)の場合、円の借入れコストはほぼゼロで、殆ど元手がない人でも例えば1億円に相当する外貨を保有して、それに対する外貨金利を得ることが出来ます。最近の急速な円安の背景には、こうした取引の「おいしさ」に気が付き始めた個人投資家の大量の外貨買いがある筈です。

借り入れを行うと元手に対するリターンが上昇することは、以前に「レバレッジリスク(1)」「レバレッジリスク(2)」でも説明していますが、資金の借入れコストが低利の場合にはレバレッジリスクも僅少なので、機関投資家は運用資金を安心して借入れで調達します。国内株式市場で外国人投資家が相変わらず買い越しをしているのに円高にならないのは、彼らが運用資金を借り入れで大量調達していることにも原因がありそうです。

私もFXはそれなりのポジションを持っているのですが、時々、「FX=小さな元手で巨額の取引が出来る外貨預金」と錯覚することがあります。為替に限らず、最近はこうした「無節操」な借入れを行った巨額の投資が行われているので自然とバブルが起き易くなります。

日銀の福井さんによると、量的金融緩和を解除した後も暫くはゼロ金利政策を継続するそうです。と言うより、福井さん本人はゼロ金利を早期に脱出すべきと思っているが、政府からの圧力により継続すると言わざるを得ないのかも知れません。ゼロ金利政策は一定の成功を収めたと思いますが、金利=ゼロは極めて異常な事態であり、その負の効果にも目を向ける必要があると思います。

すなわち、単純に言うとゼロ金利下では、「お金を借りている人」が有利で、「お金を貸している人」は不利です。後者から前者への利益の移転が起きているとも言えます。ここ何年も継続されているゼロ金利によって、例えば金利生活者が失った利益は相当な額になる筈で、これらの逸失利益が企業やその株式を保有する投資家に移転しています。投機が増え、バブルの引き金となり易いことも負の効果と言えるでしょう。

現在のように「政策により無理やり歪められた世界」では、有利な側に居ないと不利益を被ります。多くの国民にあっては、「世の中の仕組み」を理解して、有利な側に行けるよう適切に振舞わないとバカをみるでしょう。こうした「自助努力」は肯定されるべきものですが、様々な状況により何の対策を取ることも出来ない人も居る訳で、政府や日銀が過度に「アンフェアな状態」を放置している現状はどうかと思います。すなわち、ゼロ金利政策をそろそろ解除しても良いのではないかと思います。