つぶやきイチロー

思いついたことを、思いついたまま綴る。ヒマな時に更新。

昨日電車で・・・

2007-06-29 20:08:30 | 日記
昨晩、久しぶりに電車のホームで怒鳴っているオジサンを見かけました。久々なので感動(?)しました。ところで、これまで私は転居に伴って複数の路線を通勤に使ってきましたが、それぞれの路線でカラーがあるように思います。

迷惑行為という点では、経験した中では京王線が一番、見かけることが多かったように思います。特に、金曜日夜の新宿発の特急は非常に混むのでイライラ指数も上がるらしく、「ぶっ殺すぞ、テメー」なんて類の物騒な言葉を聞いたことも何回か。

その中でも一番激かったのは、駅改札口で若者がいきなり中年の男性を殴り掛ったことでした。改札を降りるときは自動改札に切符を通しますよね(今はpasmoですが)。それで、その若者が切符を通した時にはエラーを起こして出口が塞がりました。それを見た後続の中年男性が「チェッ、何やってんだよ!」という顔をしたら、次の瞬間、若者のパンチで中年男性が倒れていました。

混雑(乗車率)という点では、これまででは田園都市線が一番酷ったですね。気持ちが悪くなったのか、ホームで座り込んでいる女性を何度も見かけたことがあります。

乗客間のトラブルは乗車率が高くなるほどに増えるんでしょうな。満員電車でイライラし、遅延でイライラする。駅員の3人に1人は殴られた経験があるなんて話を聞いたことがありますが、事実のような気もします。

なお、これまで使った路線で一番空いていたのは都営浅草線ですね。この電車は座れないことが珍しかった。乗客間のトラブルも見た記憶がありません。

日本人の自己責任は何処行った?

2007-06-28 11:13:24 | 日記
どうも最近の事件を見ていると、日本人の自己責任は何処行ったのかと思います。

というのも、最近話題の社会保険庁による年金履歴問題や保険会社による保険金不払問題は、第一義的には行政や業者の問題です。行政や業者が、利用者に対する忠実義務や善管注意義務を果たさなかったことについては、無論、彼らが責任をとるべきです。

では利用者側に責任(自己責任)はないのでしょうか?私はあると思いますね。ただし勿論、それは自己責任を問える体制(態勢)の整備を行った上での話ですが。

つまり、どんなに優れた組織でも、100%完璧に業務をこなすことは出来ません。組織は完成度を100%に近づける努力を怠ってはいけませんが、それでも100%の完璧は現実には不可能だし、完成度100%に目指せば目指す程、費用は膨大に掛かります。

例えば、自動車による交通事故死亡者を0にすることを目指すとします。一番簡単なのは、日本中の自動車を全て廃車することですが、それでは経済が立ち行かなくなり新たな被害者が出るので現実的ではない。

現実的には車と人を完全分離するのが一案です。日本中の全ての道路にガードレールを設置し、横断歩道は全て廃止。地下道か歩道橋にします。それでも車対車の事故は減らないでしょうから、全ての車をボルボにして、かつ事故回避装置を付けるなどの措置が必要です。こうした措置に伴うコストは膨大なものですが、「100%完璧のシステム」を求めることは、例えばこのようなことです。

だから重要なのは、エラーが一定の確率で発生することを前提としたシステム構築でしょう。つまり、エラーが起きても、エラーに気づきやすい仕組みを構築することと、発見されたエラーを容易に修復できる仕組みにすることです。年金保険料で言えば、国民一人ひとりが毎期納付された保険料を確認できるようにし、疑問があれば社会保険庁に問い合わせをして適正な修正がされる仕組みを作る。

そして、こうした体制(態勢)の整備が構築されれば、その上で発生した問題は基本的に利用者の自己責任だと私は思います。自分の年金保険料の履歴を、面倒くさいからと言って確認せずに長期間放置したのであれば、仮に間違いがあって受給額が減額されてもそれは本人の自己責任でしょう。

しかし、今のマスコミ報道等を見ていると、「自己責任」は何処に行ってしまったのかという印象です。保険制度は、強制加入の制度であろうとなかろうと、加入側の請求に基づき支払いを行うという「請求主義」が原則でしょう(年金記録については申請主義)。それ以上の利用者保護をすることは過保護と言えるし、異常なコストに繋がります。

保険金問題については、FSAは顧客に保険金等の請求案内が周知徹底されていなかったことも問題視していますが、この点は保険会社に落ち度がありました。ただし、山本金融担当相の「(業務改善が不徹底で)再び不払いが起きた場合には、経営者は交代すべきだ」といった「100%完璧なシステム」の構築を求める姿勢には首を傾げざるを得ません。

つまり、保険金請求は正常なものが殆どですが、不正請求も数多くあります。不正請求にまで保険金を払えば保険制度は成り立たないので、現場は1件1件、グレーな案件を判断する訳です。だから、一定の確率で正常な請求が不正として処理されるエラーは発生するし、年金履歴でエラーが発生するのと同じく、それは現実のシステムとしてはやむを得ません。

だから、前述のとおり、エラーが一定の確率で発生することを前提としたシステム構築が必要だし、それにともなって利用者の自己責任も出てきます。「利用者に責任を押し付ける気か!」とマスコミが怒りそうですが、現実社会では全ての構成員が何らかの責任を負うシステムにならざるを得ません。

しかし、どうも日本人は何事も行政や業者に任せっきりにしていて、自己責任意識が低いように思います。これまで国民は行政や業者を信じきっていて、彼らをチェックしてこなかった。行政や業者はそれに甘えて、行政や業者主体の体制を確固たるものにしていったように思います。その結果、今回のような大きな問題が顕在化して、最終的に国民が大きな責任を取らされることになる訳です。

野口悠紀雄氏は「戦後、シャウプ勧告に基づきサラリーマンの多くが源泉徴収により納税することとなったことは彼らの政治への無関心に繋がり、政治の安定化に寄与した。実は、そういったシナリオを思い描き、(当時は権力の中枢であった)大蔵省がシャウプ勧告を「改ざん」したのはではないか?」といった趣旨のことを書いていたと思いますが、これと上記の件は関係が深そうです。

また、たとえば冤罪事件が無くならないのは、役人はミスをしないという前提で構築された行政システムが背景にあると思いますが、そうした「役人主体の強固なシステム」が出来上がってしまったのも、上記と共通項が多そうです。

年金積立金の運用について (heroさんのコメントへの回答)

2007-06-27 12:43:01 | 日記
≪これはheroさんのコメント、およびブログ記事([書評] 玉木伸介『年金2008年問題』日本経済新聞社)に対する回答です。長文になったので日記としてアップしました≫

heroさんの日記を読みました。なるほど、いずれ枯渇する年金積立金ですが、今は巨額であり、今後如何に運用すれば良いかという問題ですね。難しいことは理解しました。

その本も読んでおらず熟慮も足りないのですが、この件について自分なりにブレインストームしてみると、

・年金積立金の運用方針は明確である必要があり、その方針と運用成績は原則開示されるべきだ。間違ってもPKO (Price Keeping Operation、これは和製英語か?)などの場当たり的な政策に悪用されるべきではない。

・年金は老後の生活のための資金なので、運用パフォーマンスについては、少なくともインフレ耐性がないといけないだろう。だから、どの程度かは別として、株式運用はすべきだろうし、円安に伴うインフレに備え海外資産も保有すべきだろぷう。

・年金積立金はすぐには枯渇しないので、ある程度長期的な運用が必要だろう。取引の透明性を高め、またマーケットへの影響を緩やかにするためには、原則、国内および海外のインデックスに連動するような運用をすべきではないか?


なお、私は年金資金を海外投資に向けても良いと思います。プライマリー市場への投資(新株の引受など)により、今後有望な業種の育成が出来ると思いますが、既にこれについては国策銀行等が行っていますし、そもそも年金資金を受け入れるだけの量的キャパがないでしょう。

他方、セカンダリー市場(上場株式等)への投資は、当該企業にキャッシュが流れ込む訳ではないので(i.e. 株式等の売却者に渡る)、当該企業を育てるという直接的な効果はないでしょう。上場株式等は、「誰が買う」ではなく、適正に価格評価がされることが重要なので(高すぎても低すぎてもダメ)、国内組であろうと海外組であろうと、株式等の購入者を選別すべきじゃないし、その観点からすると年金資金を海外マーケットに向けても良いのだと私は思います。

ちなみに、最近は国富をオルタナティブ投資に回す傾向がありますが(最近話題になった中国やシンガポールのテマセックなど)、これは危険な匂いがしますね。例えばテマセックは日本の資産を買い漁っており、自分もその一案件に関与したことがありますが、彼らは結構、財布の紐が緩いと感じました。「おいおい、こんな程度のDD(デューデリジェンス)で買っちゃうのかよ」と(個人的には)思ったもんです。

最近の世界的な資産インフレは、何らかのきっかけで逆方向に振れる可能性があり、もしかすると、彼らはうまいことヘッジしているかも知れませんが、市場性のない資産も結構買ってますからね。市場性のない資産でも、それとプライスが連動しやすい市場性の資産を対象としたデリバティブを使って、価格下落時のヘッジが出来なくはないですが、マーケットが激変した時にはうまくいかないことが多いです。

まあ、いずれにしても、年金資金でオルタナティブ投資をするのは原則避けるべきと思います。

海外ETFは必ずしも低コストではない

2007-06-26 17:41:57 | 日記
最近、楽天証券での海外ETFの品揃えが充実してきており、私もiSharesのIVV(SP500連動)とEFA(MSCI EAFE連動)を保有しています。この海外ETF、確かに国内の投資信託やETFと比較すると、低コストであったり、バラエティーが豊かであったりしますが、「海外ETFが必ず有利」と盲信しない方が良さそうです。

というのも、IVVとEFAは低コストなのですが(各々0.09%、0.35%)、iSharesのETFが必ずしも全て低コストという訳でもないように思います。ただ、現時点では簡単な分析しかしていないので仮説にしか過ぎませんが。。。

例えばエマージング市場に投資するEEM(MSCI Emerging Markets Index Fund)ですが、ファンドの株式の内訳を見てみると時価総額の48.0%はADRで占めています。つまり現地ではなくUSマーケットで購入できる銘柄が半数を占めています。また占率は僅か(0.6%)ですが、iSharesの他のETFが保有されています。つまり一部がFOF(ファンドオブファンズ)の状態になっています。

なので、この時点でEEMの年間コストである0.75%というのは、IVVなんかと比較すると何か高いんじゃないの!と第一印象を持つ訳です。勿論、エマージング市場の株式保有はコストが掛かるので、ある程度高コストなのは仕方ないのですが。

当初は、EEMはファンドの時価総額が小さいので、相対的に年間フィーが高くなるのかと思いました。が、その事実はありません。iSharesのETFすべてについて、ファンドの時価総額と年間フィーの関係をみると、相関係数は殆どゼロ、つまり両者の関係は殆どないと言えます(n=134)。グラフ化すると図のとおりです(時価総額で突出しているのはEFA)。

繰り返しになりますが、これは仮設に過ぎません。ただ、iSharesも民間企業として収益を出さなければいけないでしょうから、彼らにとってプロフィット・マージンが厚い商品があるのだと思います。だから、パッシブ運用を好む人も、海外ETFに固執せず、ADRを複数購入するなどの手段も選択肢に入れながら投資をするべきでしょう。

※すべての数値はiSharesのウェブサイト上のデータを参照、または、それを元にして筆者が計算した

円安は「明らかに異常」-BIS

2007-06-25 23:35:20 | 日記
この記事、またマスコミが大げさに書きおってと思い原文を辿ってみると、ほぼその通りのことが書いてありました(p.150)。まあ、この2年半でファンダメンタルズが大きく変わった訳ではないのに、ほぼ一方的に円安になった巻き返しは近い将来にやってくるのでしょう。それはある意味自明ですが、BISが円安は異常!と警告しているところにニュースの価値があるのでしょうか?

なお、同レポートの他のセクションにはアジア通貨の名目実効レートが載っています(p.81)。これは勉強になりました。

いっそ公的年金など廃止してしまえ(その3)

2007-06-21 13:21:11 | 日記
親族が市役所に勤務していまして、入所(?)当時の事を聞いた時、思わず苦笑いしたことがあります。

もう10年以上前の事ですが、彼が入所した当時、昼休みに掛かってきた電話を取ろうとしたら、「それは勤務時間中にすることだ」と上司に怒られたそうです。また、職場に新しいPCを導入しようとすると、「事務の効率化によって私たちの仕事を奪う気ですか!」と真っ先に組合からクレームが入ったそうです。

現在の社会保険庁がこのような状態であれば、今朝の日経新聞に出ていた「新規にデータベースを構築して、全ての年金記録を正常化させる」というのは効果があるかも知れません。ひょっとして組合の圧力によって何十年も昔のコンピュータを使い続け、OCRの導入でさえ拒否していたかも知れませんので。

ただですね、一般論としてどんなに優れたコンピュータ・システムでも、それを使う側が正常でなければシステムの能力を発揮することは出来ません。新しいシステムを導入して会社の業績が劇的に良くなったという話は稀にありますが、大体はシステムベンダーの口車に乗せられているだけです。

誰の目にも明らかなように、社会保険庁の最大の問題はシステムではなく、組織や人の問題でしょう。コンプライアンス意識やモラルが低い職員に、どんなに優れたシステムを使わせても業務は正常化できません。現行のシステムだって、職員は「これで適切に業務がこなせる」と思って使っていたんでしょう?しかし、実際には次々と重大な問題が露呈している訳です。

一般的には、リスク管理は下記のようなプロセスを繰り返すことによりされる筈です。

・事務ミスを発見する仕組みを構築する
・発見された事務ミスは適宜、担当部署(リスク管理部門等)に報告する
・リスク管理部門等は情報を集約・分析し、対応策を検討する
・リスク管理部門等は経営陣に状況を報告し、経営陣の判断を仰ぐ
・対応策の実行、その効果のモニタリング

これらはコンピュータ・システムではなく、人や組織が行うことです。だから、人や組織を抜本的に改善しない限り、社会保険庁の正常化は難しいでしょう。

この種の話は潰れそうな会社に多いんですね。システムベンダーやコンサルタントは「弊社のシステム(サービス)を使えば、こんなに業務が効率化できますよ!」とアピールしますが、潰れそうな会社の経営者は、その効果の予測ができない、あるいは藁にもすがる思いで、または直接的または間接的なリベートを貰っているために契約をしてしいます。結果として、殆ど失敗に終わります。何故なら、現状うまくいっていないのはシステムではなく人や組織が原因なので。

社会保険庁のウェブサイトには、現時点でこれに係るリリースが出ていないので詳細は不明ですが、どうもシステムベンダーの口車に乗せられている気がしてなりません。そしてこの費用は税金で賄われ、ITゼネコンに流れる訳です。

どこまで行くのでしょうか?この円安

2007-06-19 18:12:22 | 日記
円相場は今年3月に大きく円高になり調整が行われましたが、その後3ヶ月以上、ほぼ一方的に円安になっています。他の主要通貨に比べて脆弱であった米ドルもクロス円では上昇していまして、まあ、円も馬鹿にされたもんですが、低金利や円安が良いと信じている政治家や企業経営者が多いせいでしょうか?円相場に関しての危機意識は殆ど見えません。

ただ、ファンダメンタルズはこの数ヶ月で大きく変わっている訳ではないので、ここまでの円安水準となると、急に円高に振れる可能性が低くありません。為替レートは通貨と通貨の交換レートなので、永遠に上昇し続けたり、逆に下落し続けることは、片方の国が破たんでもしない限りあり得ません。いずれ購買力平価に戻るように調整が行われる筈です。

しかし、今のところは円安トレンドモードなので、私のFX取引もスワップ用の口座(頻繁に取引を行わずスワップポイントの獲得を狙った口座)以外は、決済するだけで新規玉を建てていません。その結果、決済できる建玉も残り僅かとなってしまい、キャッシュポジション(証拠金率)の高さに焦る毎日です。

ここまでの円安水準となると通貨オプション取引をしたいですね。外貨のプットオプションを購入すれば、急に円高になった時のヘッジが出来ます。ちなみにCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)では9月や12月などを期限としたドル円のオプションが上場されています(他にEUR/USD、GBP/USD、CAD/USD、CHF/USDも上場されている)。

行使価格118円といったドルのプットオプションであれば低プレミアムですので、FXでは何もすることがない中、積極的に購入したところなのですが、日本では取引するのが難しそうです。

アドバンテックスという会社では通貨オプション取引が出来るようです。ただし、現在はシステム不調で新規の取引が出来ません。ネットで検索しても他には見つからないので、個人で取引するには外国業者を通さないとできないように思います。

ちなみに、クロス円のオプションを取引する際には外貨のプット(円高になった時に利益)よりも、外貨のコール(円安になった時に利益)を購入した方が割安感があるかも知れません。というのは、現在は日本の政策金利はどの主要通貨よりも格段に低いので、クロス円レートの先物の基準となるレートは、スポットレートよりも少々円高に振れます。具体的には、限月までの内外金利差分、今よりも円高に振れます。

オプション価格は、円で保有しても、ドルで保有してもXヶ月後の価値は同じという理屈でプライシングを行いますので、両通貨に金利差がある分、将来は円高になるという前提を置いています。だから、実態はともかく、将来は円安方向に振れれば利益が出るオプション(外貨のコールオプション)の方が、割安に見える可能性があります(プット側とコール側では分散が異なるので一概には言えませんが)。

いっそ公的年金など廃止してしまえ(その2)

2007-06-18 16:57:12 | 日記
先日は思いつきで「過去の履歴に基づいて年金給付する(現在の公的年金)制度はいっそ止めましょう」と記事に書きましたが、あとから考えてみても年金問題を解決する最善策だと思っています。

殆どマルチポストになりますが、日本の公的年金制度は原則、pay-as-you-go(賦課方式)なのですから、実際に老後に幾ら年金を貰えるのかは「年金をもらう人」と「保険料を納める人」の人口バランス、および時の為政者のさじ加減で決まります。つまり年金受取額の水準は過去の保険料の納付状況によって決まるので誤解しやすいのですが、国は保険会社じゃありませんので、被保険者のために事前積立をしている訳ではありません。

だから、今の若者世代が受け取る年金額が、事前に納めた保険料の合計を下回ることはあり得るし、人口バランスから考えればそうなって当然です。そうした事実から目をそむけさせ、「老後の自分のために年金保険料を納めましょう」とアピールするから国民が誤解をしてしまう訳です。年金制度は、「情けは人のためならず」とった道徳上の効果は別として、少なくともファイナンスとしては、「老後の自分のため」ではなく「今の高齢者のために」保険料を納める制度です。これが実態です。

したがって、その実態にマッチした制度に変えていけば良いのだと思います。まずは年金制度を「所得の再分配制度」と言い切る必要があります。つまり、税制と同様、原則、所得水準に応じた保険料徴収を行い、それを必要な分だけ分配する。必然的に社会保険料の徴収方法は税金のフレームワークの中で行われることになります。これに伴い、社会保険庁の多くの機能を廃止します。

また、今の年金制度は高所得者(高い保険料を納めた人)ほど高水準の年金を受け取ることが出来ますが、そうした人は一般に十分な資産を保有しているので、その分の再分配は不要です。そこをカットして、全体の保険料負担水準を引き下げます。過去の保険料納付の履歴に基づいて給付水準を決定するのも、その管理コストが馬鹿にならないので廃止です。年金受取額の水準は過去に納めた保険料の水準に依らず一律、もしくは高齢者の現在の所得水準のみに基づくようにします。

まあ、こんな素人でも考えつくことは財務省や厚生労働省のお役人であればとっくの昔から考えているのでしょうけど。

現在、大問題になっている保険料の納付履歴のミスを修正し、正常化させるとの取り組みは、それをして当然だとは思いますが、今までは逆上がりも出来なかった小学生に、「明日からバック転をしろ」と強制しているようにも思います。国民全員の過去の履歴を総ざらいするという話ですからね。そのコストが税金で賄われるにしても、保険料で賄われるにしても、再び壮大な無駄遣いとなる可能性もある訳です。

1億人分の過去の保険料履歴をデータベース化して、かつデータに1件の間違いもないものにするには天文学的な数値の費用が掛かります。これは保険の不払い問題も共通する話ですが、ミスの発生はある程度仕方がないと諦める必要があり、ただしそれだけでは著しい不利益を被る人が出てきますので、ミスが発生しても被保険者によって発見されやすく、またそうしたミスが漏れなく修正される仕組みとする方が効率的です。つまり、今までのように他人任せではなく、国民一人ひとりに一定の自己責任が発生し、その自己責任を問えるような体制整備が必要ということです。

もっと踏み込んで、上記のように過去履歴など一切関係ないといった仕組みとすれば、より効率的な仕組みとなります。自己責任の範囲も広がるので、その分、個人には賢明な行動が求められるようになりますが。

ネットで保険は売れない?

2007-06-13 20:41:08 | 日記
最近、インターネット経由で生命保険を供給しようとする会社が出てきました。日本生命出身の出口氏を代表者とするネットライフと、SBIとAXA(世界的な保険グループ)のジョイントベンチャーです。

保険業界の関係者は大抵、「ネットで生命保険なんか売れないよ」と言うと思います。生命保険と言っても色々ですが、多くのケースにおいて顧客が積極的に加入するものではなく、「ニード喚起型」(「万一の時のために保障が必要ですよね」云々)の営業が行われる商品なので、ネット販売ではそうした特性に馴染まないよ、ということです。

ただし私は、ネット生命保険はビジネスとして成功する可能性が結構高いのではないかと思っています。

現在、生命保険商品の販売チャネルの主役になりつつあるのが銀行ですが、今年12月に予定されている銀行窓販の全面解禁を受ければ、更にその勢いは増していくでしょう。私は銀行窓販自体は悪いものだとは思いませんが、なんせ手数料が高い。フロントエンドで5%とか6%の手数料を徴収するケースはざらです。

だから、銀行窓販での保険の需要が一巡すると、顧客は気付きだすのだと思うのですよね。「なんか銀行で生命保険を買うとやたら手数料を取られる」と。

私もある事情があって、一時払個人年金の加入を検討しているのですが、銀行経由では手数料が高すぎて買う気がしないし、生命保険会社は一物二価を避けるため他のチャネル経由でも銀行経由と価格を合わせていますので、他のチャネル経由でも買う気がしません。

そんな中で、ネット生保が低廉な価格で商品を供給しているのであれば、私はネットで買いますね。今まで証券取引においてネット取引のウェイトが高くなったように、生命保険もその可能性があると思います。

ただ、ネット経由で生命保険を買うのは、私の様にある程度知識があって、購入目的が明確な場合に限られると思います。ただ漠然と生命保険に加入する必要性を感じていて、あるいは感じていなくても潜在的に必要性があって、しかしどうして良いか分らない多く人にとっては、やはりコンサルティング型の営業が必要なので、やはり対面販売が主流であり続けると思います。

だからネット生保はニッチビジネスであって、メジャーになることはないと思います。ネットライフのウェブサイトにあった「45兆円の市場規模」というのは、金額の基準がわかりませんが、いずれにしてもそれを達成するためのハードルは相当高いのではないかと思います。

なお、保険商品の一物二価は、先般の付加保険料の弾力化をするため保険業法施行規則が改正されたため可能だと思いますが、保険会社が無用な混乱を避けるために自主規制しているものと思われます。

社会保険庁問題

2007-06-12 19:16:46 | 日記
現在問題になっている社会保険庁ですが、その組織体質やずさんな事務処理の数々は「あり得ない」レベルだと思います。ただですね、問題の所在は社会保険庁だけにあるのではなく、そもそも国民皆保険制度は制度自体に無理があるのではないかと思います。

特に年金制度については、20歳で加入、その後は一生被保険者でいる訳ですが、その間、保険料を納め続け、かつ給与水準&保険料も変わります。また、就職、結婚、転職、離婚・・・、と様々な異動が発生します。国民全員についてこれを管理する必要がある。

勤め人であれば通常、勤務先が諸手続きを行いますので、給与明細を見れば保険料が幾ら徴収されたのかを知ることができますが、それが正常に自分のアカウントとして納付されたことを確認する術は通常ありません。緒異動が適正になされていることの確認についても同様です。

このように、被保険者本人が原則関与できない制度になっているので、事務ミスが多発するのは当たり前です。極論ですが誰も他人のお金がどうなろうと知ったことではありませんので。

また、日本の公的保険制度は「保険」ではありません。保険制度は一般に「応益負担」を原則としています。つまり、本人が抱えるリスクに見合うリスクプレミアム(保険料)を負担するのが保険の原則ですが、公的医療保険は報酬比例で「応能負担(負担能力に応じて費用を負担)」となっています。給料が高かろうが、低かろうが、病気にかかる時には同じ給付を受けますが、給与が高いほど保険料は高い訳です。

公的年金制度は、報酬が高ければ年金額も増えるので一応、応益負担と言えますが、基本的に日本の年金制度はpay-as-you-goなので、高齢者の生活費を、それ未満の世代の特に給与が高い人間が中心となって支える構造になっています。つまり、個人年金のように事前に積み立てを行っている訳ではなく、こちらも応能負担と言えます。

だから、日本の公的保険制度は、応能負担が原則である税制と大して変わらんのです。よって税制と統合させてしまうのは極めて合理的であるし、社会保険庁が不要となるなど効率的です。

また、年金制度は原則、pay-as-you-goなのですから、現行のように過去の保険料の納付状況によって年金受取額が決まるという制度を維持するのはそもそも無理があります。だったら過去の履歴に基づいて年金給付する制度はいっそ止めましょう。「そんな乱暴な」と仰るかも知れませんが、pay-as-you-go原則が崩れない限り、現行制度と大差ない筈です。むしろ無駄な管理コストが掛からない分、その方がお得です。

税制と統合させれば、脱税は犯罪ですので社会保険料相当額の未納は発生しません。また、給与が高い人ほど年金額が高いという現行制度は一見合理的に見えますが、お金持ちほど貯蓄も多いですからね。つまりお金持ちほど年金は不要なので、社会保障制度としては意味のない所得の再分配を行っていることになります。やはり、公的保険制度を税制と統合させ、応能負担とpay-as-you-go原則を貫くのがベストのように思います。