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Mother Earth Father Sky

noritamaのlife between LA & TOKYO
Gadgetとか本とか健康とかも

みんながピーハツの時には

2006年01月08日 22時58分17秒 | My Bookshelf
新年第一冊目の本は、永ちゃんこと矢沢永吉の「成りあがり」。

「銭が正義だ。こう思ってしか生きてこれなかった」

貧しく寂しかった幼年時代、ワルだった少年時代、音楽との出会い、キャロルからE・YAZAWAへ・・・
永ちゃんはロックに熱く語る。
これは単なるミュージシャン成功物語じゃないんだ。自分の求めることに大して、常に100%真剣(←もちろん「マジ」と読む)に生きること、強烈な「生き様」って感じなんだ。くぅ、カッコいいぜ~ 男も女も惚れるのがよーくわかる。

その上、永ちゃん用語(昭和50年代初期の流行だったのか?)ってのもすごい。
「マッブイじゃん」 あったねぇ。昔の三原順子は「マブい」って感じ?
「ナオン」=オンナ♀ね。初級。
「コオマン」 あえて訳は言いません。(動) ~をキメる
「みんながピーハツの時には」 ピ、ピーハツ!? さすがに(HAPPY)と説明してありました。英語も永語。これは上級。

そもそも私は「成りあがり」が好きなんである。
親の資産を自慢するお坊ちゃまなんかより、自分の力でゼロ、よもやマイナスから人生を切り拓いて生きている人の方が断然輝いていると思う。成り上がりこそ立派ではないか。

ちょっと??な用語を挟みながら、成りあがり人生を語る永ちゃんは今でも最高にシビれるぜ。成りあがり万歳。アイ・ラブ・ユー! OK?

リリー・フランキー 『東京タワー』

2005年10月21日 04時12分43秒 | My Bookshelf
これは泣いた。。
夜にベッドでラストを読んだら、涙(そして鼻水)がとまらなくなり、2度もベッドを出て、ティッシュを取りに出た。そのまま寝てしまったので、次の日は一日中、平安絵巻のように、まぶたがぼったり腫れていた。

リリー・フランキー『東京タワー』
「オカンとボクと、時々、オトン」というサブタイトル通り、リリーさんとご両親の自伝的小説。東京タワーを軸に、家族、母と息子、父と息子、夫婦としての両親、女性としての母親・・が愛しく切なく絡んでいる。
前から、子供を持つなら男の子がいいなぁなんて思っていたけれど、これほど愛を持って息子を育てられるリリーさんのお母さんは、ほんわかした感じに描かれているけれど、人間の生き様というか、凄みまで感じてしまった。

少し笑えるようなところもありながら、ちょっとした一言のセリフや動作の表現に、絶妙な伏線や重みを含ませていて、小説家としてのリリーさんもすごい。

東京で生まれ育った私としては、東京タワーにはやっぱり思い入れがある。
小さいころ、親に連れて行ってもらって、初めて眺めた上からの東京。
夜、彼とドライブしながら、レインボーブリッジから眺めた東京タワー。
高熱で近くの入院したとき、病室から「私死ぬのかなぁ」と思いながら、涙で見上げた東京タワーと銀色の満月。

この本を読んで、さらに東京タワーに愛着と切なさを感じてしまうようになりました。
今年一番のオススメです!

100歳のつもりで生きよう

2005年05月21日 07時39分29秒 | My Bookshelf
まつを媼 百歳を生きる力』(石川純子著・草思社)を読み終わった。


これは伊藤まつをさんという女性のインタビュー録だ。伊藤まつをさん、といってもあまり有名ではないだろう。ただ出会ったのなら、単なる農家のおばあさんとしか思わなかったかもしれない。ところが読み終えた今、この女性の人生の凄みにすっかり圧倒されてショックを受けてしまった。

明治27年岩手県に生まれ、「砂糖孫」として家族の愛情を一身に受けて育った。立派に師範学校を卒業し、故郷の小学校教師として教育に情熱を注ぎ始めた時、同じく教師だった青年と理想農村という共同の夢を実現しようと熱烈なプロポーズを受けて結ばれる。しかし、待っていたのはまさに地獄の農家の嫁づとめ。当時は恋愛が罪悪とされた時代、負い目に思う夫は逆に姑とともにつらく当たる。学校・家事・野良仕事・育児と「死にクタバリ」(死ぬほど苦労)の日々。そして、戦争がやってくる‥‥
それはそれは「昔の人は大変だったねぇ」では済まされない、想像するだけで自分も苦しくなるほど。

とはいえ、これは単なる苦労話じゃない。

まつをさんは、どんな時でも情熱を失わなかった。牛や馬よりも価値が低いとされてきた農村女性の地位向上と、重労働から解放するための生活改善運動を続け、村を変えていった。女性だけでなく、議員のご主人のサポートをしながら村全体を支え、守っていった。

そんな様子をまつをさんは偉ぶることもなく「ありゃあ大変だったなー」とありのまま語る。
終生まつをさんに厳しかったご主人のことも、死後に日記が見つかり、その中身は現実と正反対に、まつをさんへの愛の言葉ばかりに満ちていて衝撃を受けるが(『伊藤清一日記抄』として発刊される)、それを美談にばかりするわけでもなく、それなら少しでも表現すればいいものを「ごっしゃ腹焼げてくる(腹が立ってくる)」と言う。
苦労ばっかりの話なのに、方言口調そのままの文章効果もあってか、苦労を超越したおかしみがあって、話にぐっと引き込まれていく。そして、戦い生き抜いた彼女のパワーで元気になった気がする。

読む前から亡くなっていることは知っているのに、インタビューが永眠によって終わってしまったところでは、まるで自分の家のおばあちゃんが死んでしまったように寂しくて大泣きしてしまった。

『逆境も過ぎてみれば恩寵だよ』

まつをさんだからこそ、本当に説得力がある。
彼女の昔の苦労に比べれば、今の時代は恵まれていて、私の悩みなんてなんてちっぽけなもんか。これから苦労することがあっても、歳をとったらでそんな風に語れたらいいなぁ。
これからは100歳になったつもりで生きようかな。