― へその緒 その2 ー
「へその緒が語る体内汚染」
著者 森 千里 千葉大学大学院医学研究院教授 医学博士
戸高 恵美子 千葉大学環境健康フィールド科学センター助教 医学博士
技術評論社 刊
「青臭い草いきれに包まれながら、木村は無我夢中で足元の土を掘っていた。土はほろほろと崩れ、いくらでも素手で掘ることができた。草を引けば、土のついた根がそのまま先端まで抜けた。こんなに柔らかな土に触れたのは初めてだった。ツンと鼻を刺激する、山の土の匂いがした。」(前出 田舎ぐらし(14)「奇跡のリンゴ」)
木村さん※は農薬も肥料も使わないリンゴ栽培を何年も何年も試した。しかし成功せず、あきらめてもう死んでしまおうと山に入って行った。そこで「思わず見惚れてしまうほど美しいリンゴの木」(「奇跡のリンゴ」)、実はドングリの木,に出会った。
「青い草いきれ・・・」は木村さんがドングリの木の根元を掘った、その時の情景である。
「青い草いきれ・・・」は木村さんがドングリの木の根元を掘った、その時の情景である。
木から落ちたドングリの実は、微生物が落ち葉を分解してできた土、農薬も肥料もない土の中で根を張り、芽を延ばしていく。清浄無垢の世界である。
そこへ行くと、人間のへその緒は大部汚れている。上掲写真の本にはPCB, ダイオキシン、DDTなど10種類もの汚染物質が紹介されている。へその緒から見つかるということは母親がそれらを体に取り入れ、胎児に送っているということである。
受精後第3週から第8週までの胎児(胚子)は有害物質による障害が生じやすい。(「Newton」 2015.10 )
今の日本で汚染物質と完全に無縁で生活することは不可能に近い。それでも、なんとか最小限の“ご縁”で済ますことはできる。スーパーで買い物をするときは袋をひっくり返して赤〇号や黄〇号など、使われている材料が安全かどうか確かめればいい。野菜だって流水でよく洗えば農薬はほとんど落とすことができる。
※ 木村秋則 青森県のリンゴ農家。「奇跡のリンゴ」及び2006年放送 NHK
「プロフェッ ショナル仕事の流儀」に登場.
( 次回は ー「 尾 灯 」ー )