
この写真は、ある人から送られてきた絵葉書に印刷されていたボナールという人の絵です。何年か前、私はその絵をぱっと見て、とてもきれいだと思いました。ハガキに書いてあるタイトルを見ると「花咲くアーモンドの木」とありました。
「ふーん。……え!アーモンドって木になるの!?花咲くの!!!???」
あの、ちっちゃな、カリカリした、茶色い実からは想像もつかない、アーモンドの木のゴージャスな姿に私は感動しました。
それと同時に、私は30歳をだいぶ過ぎても、「アーモンドの木に花が咲く」ことを知らなかった、ということに驚きました。知らなかった、と言うより、アーモンドがもともとどんな姿をしているか、考えたこともなかったわけです。しょっちゅう食べているのにね。
ああ、世界にはコンビニでアーモンドチョコを買うんじゃなくて、庭にアーモンドの木を植えて、何年も育てて、こんなにきれいな花を見ている人もいる。アーモンドを、お菓子の材料としてでなく、こんなきれいな花の咲く木として愛している人もいる。すごいなー、世界には私の知らないことがまだわんさかあるんだなー。
私は遠い外国の、アーモンドの木がある風景を想像して、しばらくウキウキしました。できればその、遠い外国で、アーモンドが咲いているところを見てみたいと思いました。船だか飛行機に乗って、旅をして、この木が立っているところを見たい、と。そんなふうに想像するだけで心も身体も自由になるような感じがします。
(この絵はあたたかい南フランスのル・カネという街で描かれたそう)
こんなふうに「おどろき」をもって何かを知ることは楽しいのです。
自分とは関係ないように見えるもの、あるいは反対にフツウすぎるものであっても、
実はその分厚い壁の向こう側に、たくさんの物語や夢、宝物が隠されていることがあります。
ボナールの「花咲くアーモンドの木」は、私にとって、「世界は広いんだなぁ」と思わせてくれる絵です。あなたにも、そう思える人やモノ、場所との出会いがあることを願って、そのままこのブログの名前にさせてもらいました。