直感・直観

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整理整頓

2024-04-26 07:11:17 | メッセージ
現代の高度情報社会においては「知っている事」自体の人間の能力の価値は低下します。反面、情報を統合する能力はこれまで以上に価値が高まるでしょう。又、新しいアルゴリズムを創出する能力も人間の大切な能力として重宝されることも間違いありません。しかし、これらの統合や創出を価値あるものとして提供できるのは極一部の才能ある人物にしかできないもので、凡人にはなかなか難しいかもしれません。では、凡人にとってこれから必要な能力はどんな能力でしょうか?

【直感・直観】整理整頓により、ノイズという宝の山が浮かび上がる?

まず、情報の取捨選択というのは大前提ですが、物事の核心が情報の中の「ノイズ」に隠れていることは注目すべきです。そのノイズを含めて得た情報の整理整頓が凡人にも可能な高度情報社会を生き抜く知恵となるものと思われます。その整理整頓の際、情報の字面だけで判断するのではなく、情報の背後にある本質的なものによって判断することが大事です。

又、物事が上手くいかない時、有効にワークしている仕組みにより整理整頓可能なものと不可能なものに分類することから始めましょう。そして、整理整頓不可能なものをその時点の仕組みで位置付けることを一旦諦め、その後に分類された両方のノイズに注目します。∵整理可能として分類されたもの中にも僅少なノイズが含まれていて、寧ろそのノイズの方が重要である可能性があります。

哲学者は森羅万象を整理しようとします。そしてその整理の中に“これはちょっと…”とか、“飛びつき感ありすぎ…”という感覚が確信を持って直感できることがありますが、その違和感がノイズ。ポストモダンは整理困難な未開領域に論を展開しノイズをふんだんに含んだ玉石混交のミステリアス要素を意図的に散りばめるというアルゴリズムを開発しましたが、これは単に資本主義の枠内で自然発生した“プロの哲学者がメシを食うためアルゴリズム”で分厚く高価な書籍の売上アップのアルゴリズムの側面がありますが、難解ながらも理解できる部分に、もしノイズを感じたなら、そのノイズに注目することには大きな価値が有ることを意識化すべきなのかもしれません。

ポスト構造主義が力を持たないことの背景には近代大陸合理主義があり、その根本は統合よりも分割にあります。ノイズを浮き彫りにする過程では分割が有効で、分割の代表的な手法として整理整頓があります。今後の社会においても分割の手法は重宝され、整理整頓の能力が世の中を生き抜くのに必須のスキルであることは間違いありません。一方、科学技術と資本主義の綻びが顕在化し、分割によるアルゴリズムが限界に来ると、やがて統合のアルゴリズムが見直され、例えば、全体主義とは異なる多様性を統合しバランスを取るような哲学の流れが生まれて然りです。そのヒントは既に整理整頓可能なものとして思考停止しているものの中の僅かなノイズに隠れている可能性があります。ポスト構造主義の最大の失敗は、全体主義の反動で整理整頓が難しいものにスポットライトを当て過ぎて、整理整頓されたものの中に潜む優れた統合のアルゴリズムの芽を見つける機会を喪失させて来たことにあります。

偉大な数学者オイラーはその才能に溺れることなく、コツコツと一つずつ数学上の整理整頓をし、そこから見えてくる僅かな兆候に気付いて卓越した統合力を発揮しました。皆が既に解決済みと決め付けていたり、過去の経験知により諦めていたりするものから天地がひっくり返るような大発見を成し遂げたオイラーの姿勢は全ての人のお手本になると思います。その姿勢がたとえ極ありふれた日常の所作であったとしても。

鴨長明が言うように、自分の手を自分の使用人だと思って、他人に任せずに自分でできることは何でもする習慣が身に付いている人は、大抵、整理整頓という形から入って習慣化に成功しています。何か模索し追求している人は情報に対して貪欲で時間を無駄にすることを嫌うので整理整頓が苦手な場合が少なくありませんが、そのような人でも模索していたことが定まった時に、整理整頓の習慣化に向けて大きく舵を切り、気持ちも切り替えすることで好循環を生み出すことができます。
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