清寿司の日々

清寿司の主人が綴る、気が向いたら出す新聞-日々のタネ、酒、客との対話-

戻りカツオ

2011-10-15 14:03:51 | Weblog

 カツオは、南洋には一年中いるのですが、日本の近くでは暖かい黒潮に沿って春に北上してきて、新緑の頃関東沖合付近に来ます。夏には黒潮と冷たい親潮がぶつかる三陸沖辺りにまで達し、その後、秋になって親潮の勢いが増すと、栄養を蓄えて南の海へと戻っていきます。こんな回遊をしていますので、日本海側には殆どいないんですね。

 秋に南下してくるカツオを戻りカツオといいます。春のカツオは、脂が少なくて味が濃厚なのですが、戻りカツオは、脂がのって旨みがたっぷりあります。脂ののった戻りカツオの腹身は、マグロの中トロより美味しい、と言う人もいる程です。しかしここ数年、しっかり脂がのった太ったカツオが少なくなったようです。

 以前のような素晴らしい戻りカツオは入荷しませんので、清寿司にお越しになる戻りカツオファンはガッカリでしょうが、それでも好きなものは好き。幸い今は、市場でカツオをさばいて、半身にして売っていますから、さばきたてのカツオを素早く見極め、入荷したものの中で最上のものを厳選して仕入してきます。カツオ好きの人は、結構厳しいことを言いますが、そんな人から、旨い、と言われるのは快感、嬉しいですね。

 


生シシャモ入荷

2011-10-11 20:07:07 | Weblog

 10月1日にシシャモ漁が解禁になりました。シシャモというと、干してあって、お腹に卵をもっている姿を思い浮かべる方が多いことと思いますが、寿司屋では生の本物のシシャモ、それも雄を使うことが多いですね。塩焼きにするなら、雌も喜ばれますが、魚の身の美味さは雄の方に軍配が上がります。今年は良い形のシシャモが多く楽しみです。うちでは、それを刺身、握り、塩焼きなどにしてお楽しみいただいています。

 今年のシシャモは、刺身用秋刀魚と同じように、みぞれ状氷塩水にバッチリ浸かって入荷していますので、鮮度はバッチリです。比較的大きめな雄は三枚に開いて、握り、刺身に、やや小さめの雌は卵が入っていますので塩焼きにします。雄でも雌でも身が柔らかいので、鮮度が絶対条件です。漁季はおよそ40日ほどしかないので、生で食べられる機会はそんなに長くありません。冷凍や干物、まがい物でない本物の生シシャモを、この季節の美味しいお酒と一緒に是非味わってみて下さい。