清寿司の日々

清寿司の主人が綴る、気が向いたら出す新聞-日々のタネ、酒、客との対話-

高いもの・安いもの

2010-12-31 07:44:35 | Weblog

 今年もいよいよ残りの時間が、指を折って数えられようになってきました。

 年末になり、雲丹が高くなって困っています。うちで使う雲丹は、市場でも良いものですから、一箱で1万5千円程度もするようになりました。それを握りにすると、20ヶ位にしかなりません。お客さんには1ヶ600~700円で出しますから、元がまったくとれていません。さらに海苔とご飯などの材料費、手間、光熱費、あるいは土地・建物など細かいことまで考えると、価格設定をかなり高くしなければならないのは重々承知しています。でも、あまり高くしては、いくら美味しいものでも食べられないでしょう。儲けのことよりなにより、お客さんが「おいしい」と言って下さるから、まーいいだろう、と思ってしまうのです。

 そう言えば、今年は鮭も高いですね。イクラが1㎏で6千円位します。握りにすると、60~70ヶにはなりますが、上に書いたような材料費・人件費などを考えれば、1ヶ300円にしても元は取れないものなのです。

 高いもののことばかり書くと、嫌な奴だと思われますから、いつもの年に比べて安いもののことも書いておきましょう。

 この冬はトラフグが駿河湾や千葉、あるいは本牧でも揚がり、近海物が出てきてびっくりです。ですから、例年ですと1㎏1万8千~2万円程するものが、今は1万2千円位で手に入ります。今冬はこの安くなっている河豚が狙い目ですよ。

 

 

 それでは、来年も宜しくお引き立ての程お願い申し上げます。

 皆様もお元気で。


今年も氷見の鰤

2010-12-19 16:04:37 | Weblog

 氷見の鰤が入って来ています。今年も美味いですよ。

 鰤と言えば氷見が知られていますが、何も富山湾の氷見でだけ獲れる訳ではなく、新潟の佐渡などでにも水揚げがあります。その鰤も良いものなんですが、氷見の鰤に軍配が上がるようです。

 でも、ここの鰤は値段の面でも一番なんです。中でも12キロ以上になると、それ以下のものの倍もする恐ろしい値段になります。勿論大きいものは脂がのっていますから、美味いのは当然なんですが、じゃあ11キロ台のものと比べて味が格段に違うのかと言えば、そんなことはありません。私は11キロの鰤を狙います。

 11キロ台でも、刺身や握りにすると、かなりの数になりますから、普段は半身あれば済むのですが、昨日は良さそうな鰤だったし、宴会の予約もありましたので、1本買いました。良い魚は、同業者も欲しがります。しかし、老舗の寿司屋や料理屋でも、値段を考えると、このご時世では中々手が出せないのです。その中で買ったのですから、市場で、同業者からの羨ましそうな視線を感じました。でも、それが一寸快感でもあるのです。

 「見栄っ張り」な奴だと思われるでしょうが、その「見栄っ張り」が今日の清寿司を築いたのだと思っています。良い種を適正な料金でお客さんに食べていただいたので、多くの良いお客さんがついたのではないでしょうか。今後もこのようなやり方で行き、お客さんを喜ばせたいものです。

 でも、今の世の中は、自分の舌で美味いかどうかを判断するより、様々な形で行なわれている宣伝に左右されていしまう人が多くなっているように思います。また、低価格でありさえすれば良いとする人も増えているようですので、何時まで私のやり方が通用するのか、不安でもあるのです。