「房恵も年頃になりましたので・・・そろそろ結婚を考えても良いのでは。。。
おうう・・・結婚か、ちょうど気に入っている部下がいるから見合いをするか、
話が一人歩きしていく、父は益々ご機嫌になっていくのが怖かった。
孫の話までくるころ、飲みつかれた父は居眠りをはじめたので、
母が続きは明日にしましょうねと言うが、父の進める青年とは、
独立心の強い隆司は、あまりにも違い過ぎるのが気がかりな、
眠れない夜を過ごすことになったのだ。」
「その二」
そう・・・初めて会う瀬は「古びた二階家のお店でした。」
隆司が「田舎料理が旨いんだ、凄くね。」
子供がおねだりするように、「食べさせたいんだけど、良いでしょう。」
「はい」房恵には珍しくと言うか、始めて大きな声で答えたのだ。
その日が奇天烈女将との出会いの日にもなりました。
大きな縄のれんをくぐると、この字かたのカウンターがあり、
お馴染みさんの、隆司は自分の部屋に向かうように、店の置くの細い階段を上がり
障子戸を開けると、そこは時代劇でみたような囲炉裏の部屋だった。
春浅い・・・寒さの残る日でもあり部屋の囲炉裏には「鍋物と、魚が焼かれていた。」
なにか無性に嬉しくなり、はしゃぎたくなる。。。
座ると間もなく、元気な明るい声で「ビールと日本酒」を持ち、女将さんがやって来た。
あら・・・可愛いお嬢さんだこと「いらっしゃい」と言いながら、ビールを注いでくれる。
女将と三人で乾杯・・・それから日本酒に変わり、少し話をすると下がっていった。
なにかとても良い香りのするお酒で、これなら飲めそうと思っていると、
女将の創る、噂の田舎料理と新鮮なお刺身の盛り合わせが並べられた。
家族で食事に行くのはいつも「フランス料理が多いので、初めて尽くしの」、
ほんわかと暖かい味に、箸が進む・・・つぎ上手の女将と話しにも、
心が幸福でいっぱいになる、隆司も嬉しそうに盃が空いていく。
鮎の炭火焼も美味しく、鍋も初めて食べる味だったのだ。
随分と飲んで、時間も遅くなっていることと思ったが、時がこんなにも、
ゆっくりと過ぎていくことも初めての体験なのだ。
食事に誘われた時・・・門限に厳しい両親の話をすると、
ポンと胸を叩き、まかせなさいと案内してくれた店なのだ。
後で分かったことだが、前に予約を入れてくれ特別に午後一時からの、
貸切になっていたのだ。
細やかな心遣いが感じる・・・隆司が尚更、好きで愛おしくなるのだ。
続きます。
愛さるるは何たる幸福ぞ!
愛するは何たる幸福ぞ!