ねじまき鳥のねじまき

神社、仏閣、古墳、温泉、城、たまには読書、映画、日々の想いなんぞも。

安倍総理の責任論とは

2007年07月29日 | 所感
参議院選挙における自民党の大敗が決した。最終議席はまだ決定していないものの、自民党の議席は、40議席は遠く及ばず、30議席の前半にとどまる見通しだ。対する民主党は目標としていた55議席を既に確保、60議席を窺う情勢である。公明党を含めた与党は過半数を大きく割り込み、参議院の主導権は野党、もっと言えば民主党が握ることになる。安倍総理は続投を既に宣言しているものの、今後の議会運営は非常な困難が予想される。
安倍総理は、今回の惨敗の責任の取り方について、「国民の声に耳を傾け、自身の政策を真摯に推し進めていくことだ」と語っているという。

今回の選挙の結果は何を意味しているのか。

私は安倍氏自身が選挙前に語っていた通り、「わたし(安倍氏)が国のリーダーにふさわしいのか、それとも小沢さんがふさわしいのか」を選ぶ選挙であったと考える。というよりも、そう受け止めなければ、自民党は結党以来の危機に直面するという可能性があると思われる。
安倍氏は、選挙前から繰り返し自身の選挙での責任の取り方について、前述の発言を繰り返してきた。これは、厳しいと伝えられる選挙戦への防衛線を事前に張ったと考えられるが、やはり、この発言は国のリーダーとしてふさわしい内容であったのかとの疑問は拭えない。
久間前防衛大臣の原爆投下容認発言問題、麻生外務大臣のアルツハイマー失言問題への後手後手の対応もそうだが、やはり赤城農水大臣の事務所費問題への対応を誤ったことで、安倍氏へのリーダーシップへの疑義は決定的になったと言えるだろう。

こと赤城氏の問題は、まさにその前大臣であった松岡氏が自殺した原因と思われる当の問題で(少なくとも大半の有権者がそう受け止めている問題で)、問題を引き起こし、さらにその対応に全く変化が見られなかったことは、大臣を任命した首相として、もっと言えばこれから選挙戦を戦おうとする与党の党首として、いったいどれほどの責任感を感じているのか、ほとほとあきれかえった対応であった。

ちまたで言われているように、年金問題は確かに逆風となった可能性はあるが、ただ、この問題は実は与野党の対応策で、決定的な差異がある問題ではない。むしろ、この問題をマネジメントしていくだけの能力に、安倍氏は決定的に欠けていたことこそが問題なのだ。このことは自民党を含めた与党は、しっかりと受け止めた方が良い。
もし、このまま安倍氏が続投を決めたとしても、このままではいずれ自民党は沈む。議席数から考えても、次の衆議院選挙は、小泉時代に獲得した議席を上回ることは、絶対に無理なのだ。当面の自民党の目的は、いかにこの減少する議席数を食い止められるか、その一点にあると言っていい。

これからの議会運営の不安定さから考えても、またそれを受けて国内の政財界からのアゲンストはむしろ強まることを考えても、おそらく、半年から1年の間で、衆議院の解散総選挙は近い。

そのときこそ、本当に安倍氏がリーダーから退かされる可能性が高い。
自民党は本当に迎えた結党以来の危機を、どう乗り切るのか。時間はもうほとんど残されていない。