goo blog サービス終了のお知らせ 

気になること 忘れずにいたいこと 嬉しいこと

社会 科学 美術 環境 省エネ 俳句

新型コロナウィルス 国内の検査・治療に関する企業の取り組み

2020-05-08 23:02:08 | 記録
 新型コロナウィルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」について、政府は大型連休までとしていた発令期間を今月いっぱいまで延長した。東北などの34県は「感染が抑制されている」として社会、経済活動の再開を容認した。今日からこれまで通りの3密を避け等のお約束を守りつつ、県境越えをしない行動を守りつつ感染をせず、来るべき集団免疫に至る時間を待つのだ。

PCR検査、75分に短縮 富士フイルムが試薬発売 新型コロナ
時事ドットコム 2020年5月8(金) 10:51配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200508-00000060-jij-bus_all

 富士フイルムホールディングスの子会社、富士フイルム和光純薬(大阪市)は8日、新型コロナウイルスの遺伝子を約75分で検出する試薬を発売した。同社の遺伝子解析装置を使用し、全自動で検査が行える。感染の有無を調べるPCR検査は通常4~6時間かかるが、これら試薬と装置を使うことで大幅な時間短縮と検査員の負担軽減が期待される。

 同社はPCR検査に対応した遺伝子解析装置を2016年に発売。国内では、規模の大きい病院を中心に数十カ所の医療機関が導入し、結核の検査などに使用されている。

 検体や試薬を装置にセットする数分の作業のほかは、全自動でコロナの遺伝子を検出できる。熟練した検査員で

新型コロナ40分で検出 キヤノン子会社、実用化急ぐ
時事ドットコム 2020年03月19日21時32分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020031901407&g=eco&utm_source=yahoo&utm_medium=referral&utm_campaign=link_back_edit_vb


 キヤノンの子会社で、医療用機器を製造・販売するキヤノンメディカルシステムズ(栃木県大田原市)は19日、長崎大学と共同で、新型コロナウイルスの遺伝子を40分以内に検出できる検査システムを開発したと発表した。早期の実用化を目指し研究を急ぐ。

 遺伝子の増幅に「LAMP(ランプ)法」と呼ばれる方式を採用。感染の有無を調べるのに約4時間かかる「PCR法」と比べ、より短時間で、同程度の感度で検出できる性能を確認した。検体からウイルスの遺伝子を抽出する時間を除けば10分以内で検出でき、1台で1日当たり224検体以上の検査が可能という。

コロナ判定試薬、開発急ピッチ ワクチン・治療薬も―民間企業
時事ドットコム 2020年03月20日07時12分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020031901040&g=eco

  新型コロナウイルス感染の有無を短時間で判定できる検査試薬の開発が急ピッチで進んでいる。近く出荷が始まれば、迅速な検査が可能になりそうだ。実用化に1年かかるとされる治療薬や予防ワクチンの開発に乗り出す企業も相次いでいる。

 現在主流のPCR検査はコロナ遺伝子を増幅させて検出する仕組みだ。保健所や専門外来で必要と判断されると、都道府県所管の衛生研究所などで実施する。喉などの粘膜を採取し、結果判定まで4~6時間かかる。1日にできる検査を増やすには時間短縮が大きな課題だ。

 島津製作所は結果判定を約1時間に縮める試薬の開発を急いでおり、月内にも民間検査機関など向けに出荷が始まる見通しだ。公的医療保険が適用されるPCR検査は当面、自己負担なく受けられる。四方正光・遺伝子解析グループ長は「検査時間を短くできないかという要望に技術で応えたい」と話す。

 繊維大手クラボウは提携先の中国試薬大手が開発したキットの輸入販売を始めた。保険適用外だが、陽性なら15分で赤い線が2本浮かび上がる。

 新型コロナで承認された予防ワクチンや治療薬はまだなく、米国立衛生研究所(NIH)が製薬会社と共同でワクチンの臨床試験を始めたばかり。田辺三菱製薬のカナダ子会社メディカゴはこのほど、ワクチン開発の第一歩となる「植物由来ウイルス様粒子」の作製に成功。8月までの臨床試験開始を目指す。

 治療薬では、武田薬品工業が血液製剤の一種である血漿(けっしょう)分画製剤の開発に着手。インフルエンザ薬「ファビピラビル」に関しては、中国当局が有効性を臨床研究で確認したと発表して注目を浴びた。富士フイルムホールディングス傘下の富士フイルム富山化学(東京)が開発した薬「アビガン」の一般名として知られ、日本では医師の判断に従いコロナ治療に使われ始めた。ただ、副作用のリスクがあり、妊婦には投与できず、軽症者らが広く使える段階にはない。



トルコが新型コロナ感染制御と発表、再燃回避へ指針策定へ 5/7(木) 13:39配信

2020-05-08 02:55:55 | 記録
 トルコが通貨危機と新型コロナウィルスの国民への感染で苦境に陥っている。新型コロナウィルスは欧米並の感染者数なのに、死者数は3854人と脅威的抑制だ。来週には感染の最新状況を把握するため、15万人前後に対して検査が行われる。
 トルコは、日本との歴史的な関係が深く、近直では、中近東センターと共に大村幸弘氏のアナトリア・コンヤ遺跡等の発掘成果を踏まえた地元への貢献は多大なものがある。アケメネス朝ペルシャの先進的な文化遺産を今も享受しているわが国の、適切な支援が望まれる。


トルコが新型コロナ感染制御と発表、再燃回避へ指針策定へ 
Reuters 2020年5月7日(木) 13:39配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200507-00000072-reut-asia

[イスタンブール 6日 ロイター] - トルコは6日、新型コロナウイルス感染が始まってから2カ月を経て、感染を制御したと発表した。今後は感染拡大の再発を回避するため、新たな社会生活とビジネス活動の指針を確立していくという。

 トルコで確認された感染者数は世界最多レベルだが、死者数は西欧や米国をはるかに下回る水準に抑制されており、政府は段階的な経済再開を模索している。

 コジャ保健相は記者会見で、「トルコでは、新型コロナは現時点で制御できている。第2段階では(感染の)根絶を目指す。われわれは新たな生活様式に移行しつつある」と述べた。

 同相は、感染者の再増加を回避するため、政府の専門家による委員会が企業の営業再開に際して順守すべき指針を策定するとした。

 市民については、新たな「制御された社会生活」の一環として公共の場でのマスク着用と社会的距離(ソーシャルディスタンス)の順守が求められるほか、ショッピングモールへの入店制限などを導入するとしている。

 さらに同相は、来週には感染の最新状況を把握するため、15万人前後に対して検査が行われると付け加えた。

 トルコでこれまでに確認された感染者数は13万1000人強と、米国と西欧、ロシア以外で最多だが、死者数は3584人で、人口比率ではこれら諸国の大半と比べて低水準となっている。

トルコ通貨リラ、史上最安値 新型コロナで資金流出
Kyoudo2020年5月7日(木) 18:48配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200507-00000122-kyodonews-


 【イスタンブール共同】7日のトルコの外国為替市場で通貨リラがドルに対して大幅下落、一時1ドル=7リラ台前半まで売られ、史上最安値をつけた。トルコは対米関係悪化などを背景に2018年夏もリラが急落する経済危機に陥ったが、それよりもリラ安が進んだ。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で新興国から資金流出が進んでいる。リラは年初から約20%下落した。

 トルコでの感染は減少傾向に転じたが、経済活動は停滞。国際通貨基金(IMF)は20年の実質成長率がマイナス5%と予測している。

 リラを支える中銀は米国など主要国との通貨交換協定を目指すが、難航が予想されている。

新型コロナの治療薬に光明 感染抑制能を有するVHH抗体を取得 北里大学・EME・花王の研究で 2020年5月7日(木) 11:57配信 食品新聞

2020-05-08 01:45:19 | 記録
 これまでは、抗体検査の方法を開発し、タカラバイオ(5/1)島津製作所(5/20保険摘要承認)がほぼ1時間・精度100%で抗体の有無を検査できる。抗体を取得した人々がある一定の量にに達したら新型コロナウィルスの終息を認められるとWHOも認めている。
 しかし、14時間毎に変異する新型コロナウィルスについて、終息を認めることは非常に困難であることは必定であることもWHOは認めており、治療薬は治験を含めて1年〜1年半はかかりその間は他の疾病の承認薬を使う対処療法になるとしている。
 北里大学等の取得したVHH抗体は、感染抑制すると共に治療薬開発への有効性も期待出来ると言う。以下、そのあらましを紹介する。詳細は北里大学HPで。


新型コロナの治療薬に光明 感染抑制能を有するVHH抗体を取得 北里大学・EME・花王の研究で 2020年5月7(木) 11:57配信食品新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200507-00010001-shokuhin-bus_all


 北里研究所は7日、北里大学・Epsilon Molecular Engineering(EME)・花王の研究グループが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して感染抑制能(中和能)を有するVHH 抗体の取得に成功したと発表した。
 北里研究所では「今回の成果は新型コロナウイルスの治療薬や検査薬の開発につながることが期待できる。今後、今回の成果を世界中で活用できる方法について検討し発信していく」との考えを明らかにした。
 
 花王はEMEと候補VHH抗体の配列情報を取得するなどして研究に参画。北里大学大村智記念研究所ウイルス感染制御学 I 研究室(片山和彦教授)は、いち早く開発した新型コロナに対する薬剤の不活化効果を評価する技術を用いて、花王が提供した候補 VHH 抗体の新型コロナウイルス粒子への結合と、中和活性の有無を確認することで感染抑制能を評価。その結果、VHH抗体を添加した場合に新型コロナの細胞への感染が抑制されていることが確認できたとした。

 VHH抗体とは、ラクダ科動物由来の抗体で、一般的な抗体と比較して10 分の 1の大きさとなる。高い安定性や微生物による低コスト生産が可能なことから近年注目を集めているという。

《参考》北里大学ホームページ


新型コロナ、人への感染は19年終盤から 英大学が遺伝子分析 Reuters2020年5月7日(木) 2:08配信

2020-05-07 18:19:01 | 記録
 新型コロナウィルスの初源の調査が進められている。ウイルスの様々な性質や14日で変異すること、変異するウイルスの治療薬開発の難しさから、とりあえず現在認可されている治療薬の中から副作用が少なく有効と考えられるものを
投与する対処療法が行われている。ここでは、ウィルスの初源の調査・退院後のサポート・今期のインフルエンザの終息についての記事を紹介する。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200507-00000004-reut-m_est
 

[ロンドン 6日 ロイター] - 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)の研究チームは6日、新型コロナウイルスの人への感染が2019年終盤に始まり、急速なペースで世界各地に広がったことを示すデータを発表した。
 研究チームは世界各地の7500人以上の新型コロナ感染者から検出されたウイルスの遺伝子を分析。約200の反復突然変異が確認され、研究者はウイルスが人への感染とともに進化している可能性があるとの見方を示した。

UCLのフランソワ・バロー教授は、新型コロナの流行が深刻な地域全てで遺伝子の幅広い多様性が確認されたと指摘。これは、ウイルスがパンデミック(世界的流行)の早い時期に世界中に広がっていたことを示しているという。

 また研究結果から、人への感染が19年終盤に始まったとする仮説が裏付けられ、ウイルスの感染がそれよりも以前から広がっていた公算は小さいとの見方を示した。

 さらに、現時点で変異によってウイルスの毒性や感染力が強まったり弱回ったりしているかを断定できないとした。

 また、グラスゴー大学の研究チームもこの日、別の研究結果を発表。2種類の新型コロナウイルスが存在するという先に発表していた研究結果は正しくないことを示唆するデータが示された。

 フランスでもこれまでに、同国で昨年12月27日に新型コロナ感染症の患者がいたことを示す研究結果が発表されている。仏政府が最初の感染者を確認した日より1カ月近く前となる。※この事例は、既にUPしてあるが、退院した患者の冷凍保存してあった検体を再検査したところ、新型コロナウィルスが発見された。サンドニ県の漁業者でアルジェリア出身の男性で、アルジェリアへ往復されていた。アルジェリアの感染歴が気になるところだが、まだ、調査結果の報告はない。


新型コロナもう1つの医療現場、退院後ケアという戦い
Gabriella Borter Reuters2020年5月2日 / 09:49 / Gabriella Borter
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-usa-homecare-idJPKBN22C06O?rpc=122

[24日 ロイター] - ニューヨーク市クイーンズ区の住宅街に車を停めた看護師のフローラ・アジャイさんは、トランクを開け、個人防護具が詰まったプラスチック容器を取り出した。手袋と青いガウン、二重のマスク、フェイスシールド、さらに靴カバーを着用し、担当するCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)患者の1人が生活する家に足を踏み入れる。

 47歳のアジャイさんは、ニューヨークの訪問看護師ネットワークの一員。ウイルス感染による呼吸器疾患から回復し、退院して自宅に戻った数百人の患者への支援にあたる。パンデミックとの次なる最前線で孤独に格闘する戦士のひとりだ。

 感染力の高い新型ウイルスにより、ニューヨーク州内では少なくとも2万300人が命を落としており、国内における感染拡大の中心地となっている。米国における死者は他のどの国よりも多く、ロイターの集計によれば最低でも4万9000人を数える。

 患者が病院における24時間体制の治療から自宅での生活に移行するに当たって、訪問看護師はきわめて重要な役割を担っている。アジャイさんは毎日、ウィルスに汚染されている可能性の高い住宅に出入りし、多ければ1日12回も個人防護具の着脱を市内の歩道で繰り返している。

 防護具を何度も使い回すことはできない。だから、アジャイさんの車にはマスクやガウン、手袋が満載されている。

<「患者の目となり耳となる」>

「私たちも最前線で戦っている」とアジャイさんは訪問看護師について語る。彼女はいま、新型コロナに感染して入院していた病院から最近戻ってきた74歳の女性の家に入るため、ガウンの紐を背中で結んでいるところだ。「医師は、私たちが彼らの目となり耳となることを望んでいる」

 ニューヨーク州保健当局のジョナ・ブルーノ広報官によれば、同州では4月22日の時点で4万303人の感染患者が退院しているという。

 手指消毒用の除菌ローションのボトルを手に、ゆとりのある青いガウンを羽織ったアジャイさんはポーチの階段を上り、ドアのベルを鳴らす。ドアにはウサギの形のボードが掛かり、「ハッピーイースター」と書かれている。

 患者の夫がサージカルマスクを着けた姿でドアを開け、アジャイさんに親しげに手を振って挨拶する。アジャイさんを室内に招き入れるときも、数フィート離れたままだ。

 アジャイさんがこの患者に会うのは、退院してから初めてだった。患者の咳は数日前に電話したときよりはかなり良くなっている。アジャイさんによれば、このときは何かを言い終える前に咳き込んでしまうほどだった。

 退院したCOVID-19患者が3日にわたって無症状を報告するまでは、アジャイさんも自身が感染するリスクを抑えるため、遠隔診療だけを行う。

 「治療の一端を担い、患者を指導し、回復の力になれることが嬉しい」と彼女は言う。「それだけでやり甲斐になる」

それでもアジャイさんは、自分が患者の家から自宅にウィルスを持ち帰ってしまうのではないかと心配している。共に暮らすのは、23歳の息子と、彼女自身の妹だ。アジャイさんは家でもマスクを着用し、感染を防ぐため家族から6フィートの距離を保とうと心がけている。自分が愛する仕事のために払っている犠牲だ。

<回復支援、なお未知の領域>

アジャイさんが所属するのは、23の病院を擁する州内最大の医療事業者ノースウェル・ヘルスである。

 ノースウェルでポストアキュート(急性期治療後)医療担当ディレクターを務めるマリア・カーニー医師は、入院していた患者が罹患前の生活の質を取り戻せるとしても、ほとんどすべての場合、退院後には何らかの医学的なフォローアップやリハビリテーションが必要になるだろう、と話す。

 「私たちはまさに未知の領域に入りつつある。患者が今まさに何を必要としているか分からず、身体的にも精神的にもひどく弱っているのが分かるというだけだ」とカーニー医師は言う。「私たちの医療システムが回復の次のフェーズにどのように取り組めるのか。それが課題になっていくだろう」

 これまでに退院した患者のうち、多くは脚部の血栓、筋萎縮、疼痛、倦怠感、心臓の問題、呼吸器系の苦しさの継続に悩まされている。

 カーニー医師によれば、挿管処置を受けた患者の場合は、退院後もこうした症状が深刻に見られる。また、長期にわたる鎮静状態による影響、すなわち「集中治療後症候群」と呼ばれる症状と思われる認知障害を示す患者も多いという。

 今週、ノースウェルが運営する病院を退院した感染患者の数は6600人を超えたため、同社ではさらに多くの訪問看護師を雇用することを検討している。また遠隔診療サービスの拡大や、退院患者の収容に向けた地元の経験豊富な介護施設との提携もありうるとカーニー医師は言う。

<微笑みと落ち着き>

 アジャイさんは患者の自宅で、患者本人やその家族からの山のような質問に答える。食料品店にどれくらいの頻度で行くべきか、血圧を自分で測定するにはどうすればいいのか。

 彼女は聴診器を使い、体液蓄積の兆候がないか患者の呼吸音を確認する。患者とその家族に、洗面用具を共用しないよう、ドアの把手や電灯のスイッチを消毒するよう念を押す。

 冷蔵庫をチェックし、空であれば、慈善団体による食品配達を頼むという手段を提案することもある。横になっていると呼吸が苦しくなるので椅子にもたれて寝ていることが分かれば、もっと酸素供給が必要だと医師に伝える。

 アジャイさんが担当するCOVID-19確定患者5人は、自宅に戻ってからゆっくりと着実な回復を示しており、再入院が必要となった患者は1人もいない。

アジャイさんは、患者の近くにいるときは二重のマスクとフェイスシールドを絶対に外さない。だが、彼女が微笑んでいることは、シルバーのアイシャドウを施した目の周りに浮かぶ皺で分かるし、彼女の落ち着いた声は安心感を与えてくれる。

「世の中は大騒ぎだが、患者のために平静さを保っている」とアジャイさんは言う。「怖がっているのは患者も私たちも同じだ。でも、私たちには平静さを保つことができる」

(翻訳:エァクレーレン)

コロナ対策でインフル早期終息、来季深刻化の恐れも
Reuters2020年4月24日 / 16:25 Francesco Guarascio
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-flu-idJPKBN2230X7?rpc=122

[ブリュッセル 20日 ロイター] - 新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的な大流行)の陰で、誰にも惜しまれずに姿を消したものが、少なくとも1つある。毎年、世界中で10万人単位の死者を出しているインフルエンザだ。

 欧州連合(EU)のデータ、専門家の見解によれば、新型コロナウイルスに伴うロックダウン(都市封鎖)に伴い感染スピードが落ちたことで、欧州では3月中にインフルエンザがほぼ沈静化した。

 北半球の冬季におけるインフルエンザの感染拡大は、通常10月から5月中旬まで続く。ワクチンが存在するにもかかわらず、シーズンによっては新型コロナウイルス感染症並みの犠牲者を出すこともある。

 2017ー18年シーズンには、欧州ではインフルエンザにより15万2000人が命を落とした。これまでのところ、短期間とはいえ、新型コロナウイルス感染症による死者は10万人近くとなっている。

 フランクフルト大学病院に所属するウイルス学者ホルガー・ラベナウ氏はロイターに対し、「今年のインフルエンザ流行は例年に比べ早めに終った。これは恐らく、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)やマスク着用など新型コロナ対策の効果だ」と述べた。

 これは歓迎すべきニュースだが、症例が少ないせいで、次のインフルエンザ流行期に向けたワクチン生産に遅れが生じる可能性がある。

 各研究機関が新型コロナウイルス感染症対応に忙殺されていることに加え、入手できるインフルエンザ検体は例年より少ない。欧州疾病予防管理センター(ECDC)の上級インフルエンザ専門家パジ・ペンティネン氏によれば、そのせいで「今シーズン末期に流行しているウイルスを十分に把握できない可能性がある」という。

 データの減少と情報処理の遅れは、南半球における2021年冬季に向けたワクチンの品質に影響する恐れがある。その成分は通常、年初に集められた検体に基づいて9月に決定されるからだ。

 ペンティネン氏によれば、今年のウイルスに生じる可能性のある変異に関する情報が少なくなれば、翌年に流行すると予想されるウイルスの型に対して最も効果的なワクチンを合成できる可能性も低下する。同氏はロイターに「厄介なことになるかもしれない」と語った。

 ペンティネン氏は、この問題が北半球における次の冬に向けたワクチンに影響する可能性は低いと話す。その成分については、すでに2月に合意が得られているからだ。

 必要とされる数百万人分のワクチンを生産するには数カ月を要するため、ワクチンの成分に関する決定は早めに下される。

<過少報告の可能性も>

 インフルエンザ関連の死者についてのデータはまだ提供されていないが、当初の推測では、今年の死亡率はかなり低くなると示唆されている。

 欧州11カ国のデータによれば、今シーズンに集中治療室での治療が必要とされたインフルエンザ患者は4000人であり、過去2シーズンの同時期に比べ、約半分にとどまっている。

 デンマーク国立血清研究所の感染症専門家ラッセ・ベスターガード氏によれば、3月上旬に厳しいロックダウンを開始したデンマークでは、例年は1000人前後を数えるインフルエンザによる死者が、この冬はごくわずかだったという。

 ロイターの集計によれば、新型コロナウイルス感染症によるデンマークでの死者は、4月20日時点で355人となっている。

 EUのデータや専門家によれば、新型コロナウイルスという要因がなかったとしても、今季のインフルエンザ流行は緩やかなものだった。感染判明のピークは1月末、その後は症例が急速に減少している。3月末、欧州全域でロックダウンが実施されて数週間を経た時点では、インフルエンザ感染発生の報告はほとんど見られなくなっていた。

 東京大学と国立感染症研究所の専門家らが今月公表した調査によれば、日本でもこの冬は、恐らくマスク着用や手洗い励行などの新型コロナ対策の効果により、季節性インフルエンザの活動が低調だったとされている。

 Francesco Guarascio

2 分で読む

[ブリュッセル 20日 ロイター] - 新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的な大流行)の陰で、誰にも惜しまれずに姿を消したものが、少なくとも1つある。毎年、世界中で10万人単位の死者を出しているインフルエンザだ。

欧州連合(EU)のデータ、専門家の見解によれば、新型コロナウイルスに伴うロックダウン(都市封鎖)に伴い感染スピードが落ちたことで、欧州では3月中にインフルエンザがほぼ沈静化した。

北半球の冬季におけるインフルエンザの感染拡大は、通常10月から5月中旬まで続く。ワクチンが存在するにもかかわらず、シーズンによっては新型コロナウイルス感染症並みの犠牲者を出すこともある。

2017ー18年シーズンには、欧州ではインフルエンザにより15万2000人が命を落とした。これまでのところ、短期間とはいえ、新型コロナウイルス感染症による死者は10万人近くとなっている。

フランクフルト大学病院に所属するウイルス学者ホルガー・ラベナウ氏はロイターに対し、「今年のインフルエンザ流行は例年に比べ早めに終った。これは恐らく、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)やマスク着用など新型コロナ対策の効果だ」と述べた。

これは歓迎すべきニュースだが、症例が少ないせいで、次のインフルエンザ流行期に向けたワクチン生産に遅れが生じる可能性がある。

各研究機関が新型コロナウイルス感染症対応に忙殺されていることに加え、入手できるインフルエンザ検体は例年より少ない。欧州疾病予防管理センター(ECDC)の上級インフルエンザ専門家パジ・ペンティネン氏によれば、そのせいで「今シーズン末期に流行しているウイルスを十分に把握できない可能性がある」という。

データの減少と情報処理の遅れは、南半球における2021年冬季に向けたワクチンの品質に影響する恐れがある。その成分は通常、年初に集められた検体に基づいて9月に決定されるからだ。

ペンティネン氏によれば、今年のウイルスに生じる可能性のある変異に関する情報が少なくなれば、翌年に流行すると予想されるウイルスの型に対して最も効果的なワクチンを合成できる可能性も低下する。同氏はロイターに「厄介なことになるかもしれない」と語った。

Advertisement

ペンティネン氏は、この問題が北半球における次の冬に向けたワクチンに影響する可能性は低いと話す。その成分については、すでに2月に合意が得られているからだ。

 必要とされる数百万人分のワクチンを生産するには数カ月を要するため、ワクチンの成分に関する決定は早めに下される。

<過少報告の可能性も>

 インフルエンザ関連の死者についてのデータはまだ提供されていないが、当初の推測では、今年の死亡率はかなり低くなると示唆されている。

 欧州11カ国のデータによれば、今シーズンに集中治療室での治療が必要とされたインフルエンザ患者は4000人であり、過去2シーズンの同時期に比べ、約半分にとどまっている。

 デンマーク国立血清研究所の感染症専門家ラッセ・ベスターガード氏によれば、3月上旬に厳しいロックダウンを開始したデンマークでは、例年は1000人前後を数えるインフルエンザによる死者が、この冬はごくわずかだったという。

 ロイターの集計によれば、新型コロナウイルス感染症によるデンマークでの死者は、4月20日時点で355人となっている。

 EUのデータや専門家によれば、新型コロナウイルスという要因がなかったとしても、今季のインフルエンザ流行は緩やかなものだった。感染判明のピークは1月末、その後は症例が急速に減少している。3月末、欧州全域でロックダウンが実施されて数週間を経た時点では、インフルエンザ感染発生の報告はほとんど見られなくなっていた。

 東京大学と国立感染症研究所の専門家らが今月公表した調査によれば、日本でもこの冬は、恐らくマスク着用や手洗い励行などの新型コロナ対策の効果により、季節性インフルエンザの活動が低調だったとされている。

 ロックダウンがインフルエンザの感染を阻んでいるようにも見えるが、症例の過少報告によって、見かけ上、このように早めのシーズン終了になっている可能性もある。新型コロナウイルス感染症がまん延しているなかで、インフルエンザでも症状が軽めの人は概ね病院に向かうことを避けている、とする専門家の声もある。

(翻訳:エァクレーレン)
 

国内のコロナ、武漢ではなく欧州から伝播? 感染研調べ 新型コロナウイルス 朝日新聞 野口憲太 2020年4月28日 18時04分

2020-05-06 15:33:21 | 記録
 日本は、ダイヤモンド・プリンセス号由来の株は、その後出現しておらず、封じ込めできたと思われる。14時間毎に変異する新型コロナウィルスの欧州由来の株の封じ込めはこれからだ。これまで以上に油断せず、3密を避け、マスク、指を立てて洗浄液を受け手首まで洗い、外出を控えて自他ともに感染する機会を減ずる努力をしよう。
 東北地方は感染抑制が上手くいっており、岩手県は0だ。今後も協調して抑止力を高めよう。

   https://www.asahi.com/articles/ASN4X5V9PN4WULBJ00X.html
  国立感染症研究所(感染研)は27日、3月以降に国内で広がっている新型コロナウイルスは、欧州などを経由してもたらされた可能性が高いとする研究結果を公表した。検査で陽性と判定された国内の約560人の検体から、ウイルスのゲノム(全遺伝情報)を解読した。

 世界各国からデータベースに登録された患者約4500人のウイルスの情報も取得。そのうえで遺伝子の特徴を分析した。

 その結果、国内で初期に発生した複数のクラスター(感染者集団)やクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の患者から検出されたウイルスは、1月初旬に中国・武漢市で検出されたウイルスと関係が深いと推定された。このウイルスは3月以降、国内で広がることはなく、終息したとみられるという。

 一方、これに代わって国内で確認されるようになったウイルスは、武漢市で確認されたウイルスよりも、欧州各国で感染を広げたウイルスの遺伝子に特徴が近かった。3月以降、欧州など海外からの旅行者や帰国者を通じて全国各地に広がった可能性があるという。

 感染研は、こうしたウイルスの広がりなどを示した遺伝情報の関係図をインターネット上(https://gph.niid.go.jp/covid19/haplotype_networks別ウインドウで開きます)で公開している。(野口憲太)


<新型コロナは14日ごとに変異 感染研が分析 武漢株より怖い欧州株を食い止められるか
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200428-00175783/
木村正人 | 在英国際ジャーナリスト2020年4月28日(火) 21:31>


[ロンドン発]国内外の患者5073人から収集された新型コロナウイルスのゲノム情報を解読した結果、1年間で25.9カ所に塩基変異が起きると推定されることが国立感染症研究所(感染研)の調査で分かりました。単純計算で平均14日に1度のペースで変異していることになります。

 欧米の医学者らが運営する新型コロナウイルスのゲノムに関する専門サイト「ネクストストレイン」に登録されているのは3650人分なので、それよりもサンプルが多くなっています。ネクストストレインのデータでは、変異のスピードは平均15日に1度とみられていました。

 新型コロナウイルスは一本鎖プラス鎖RNAウイルスで全長29.9 キロベース(kb)。塩基1個を1b(ベース)と表すので29.9kbとは29.9×1000(k)=2万9900個の塩基から構成されることを意味しています。

 2020年4月16日までに登録された国外患者4511人の新型コロナウイルスのゲノム配列と国内患者562人のそれを解読。その結果、中国湖北省武漢市で2019年末に発生してから約4カ月間にゲノム全域に少なくとも9塩基ほどの変異がランダムに起きていることが示唆されたそうです。

 感染研のHPに掲載された系統樹を見ると、日本国内での感染の広がりが「見える化」されています。 感染研のHPより

 1月初旬に武漢市で発生したウイルス株(武漢株)を基点に日本各地に初期のクラスターが複数発生したものの、すでに消失へと転じていることが確認されました。

 2月5日から本格的な検疫を開始したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で確認された陽性患者のうち70人の新型コロナウイルス・ゲノム情報を武漢株と比較したところ1塩基のみ変異していたそうです。

 ダイヤモンド・プリンセスを基点とする株は今のところ乗員乗客以外から検出されていません。つまり日本は14人の死者を出したもののダイヤモンド・プリンセス集団感染の封じ込めに成功したことになります。

 一方、世界では欧州や北米で感染爆発が起き、日本でも欧州株を基点とした新型コロナウイルス株が検出されるようになりました。

 日本は「中国」「湖北省」「武漢市」をキーワードに絞り込みがしやすかった中国経由の第一波を封じ込めたものの3月中旬以降、欧米経由の第二波の輸入症例が国内で広がっている恐れが強いようです。

 ニューヨークなどアメリカ東海岸やイタリア、スペイン、フランス、英国など欧州で流行している欧州株は武漢株より深刻な被害を出しています。さらに輸入症例からの広がりは感染経路がたどりにくいだけに一段の警戒が必要です。

 日本は空港や港など水際作戦の徹底や国家緊急事態宣言による外出自粛で危険な欧米経由の第二波を食い止められるかどうかの正念場に立たされています。
(おわり)

新型コロナ死者 英で2万9000人超 伊を上回り欧州最多 
NHKニュース 2020年5月6日 5時55分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200506/k10012418921000.html


 新型コロナウイルスの感染が深刻な状況にあるイギリスでは、ウイルスに感染して亡くなった人が2万9000人を超え、ヨーロッパでは最も多くなりました。

 イギリスの保健当局の発表によりますと、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人は、4日までの24時間に700人近く増えて2万9427人となりました。

 その結果、亡くなった人の数はアメリカに次いで2番目に多く、ヨーロッパではイタリアを上回って最も多くなりました。

 イギリスでは新型コロナウイルスの感染拡大のピークは過ぎたものの、介護施設で亡くなる人が増え続けていて、依然として深刻な状況です。

 イギリス政府は、感染の有無を調べる検査が不十分だという批判を受けて、1日10万件を目標に検査件数を増やしていますが、政府でウイルス対策にあたるバランス首席科学顧問は5日、議会の委員会で、「検査をもっと早い段階で拡充できていたら、よかっただろう」と述べ、これまでの検査の不備を認めました。

 ジョンソン首相は、1か月以上続く外出制限などの措置の緩和について今月10日に演説を行い、国民に説明する予定ですが、経済活動の再開を求めるビジネス界からの圧力も強まる中、厳しい判断を迫られています。

イギリスの死者、イタリアを抜いて欧州最多に 新型ウイルス
https://www.bbc.com/japanese/52554674


 イギリスで5日、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の死者がイタリアを抜いて欧州で最多となった。この日までの死者数は2万9427人で、ドミニク・ラーブ外相は「大きな悲劇だ」と語った。

 イタリアはこれまで欧州で最も死者数が多かったが、この日までの死者数は2万9315人だった。同国とイギリスはともに、新型ウイルスの検査で陽性反応とされた死者を集計している。

 しかし専門家からは、世界全体で死者数などを比較するにはあと数カ月は必要だと指摘する声も出ている。

 BBCのロバート・カッフェ統計部長は、死者数の増加スピードはイタリアよりもイギリスの方が速いと指摘。

 一方で、イギリスの人口は約6700万人とイタリアよりも10%ほど多く、単純な比較には注意が必要だと述べた。

 さらに、両国では検査方法も異なっており、イタリアの方が全体の検査数は多いという。

 BBCのニック・トリグル保健担当編集委員は、死者の分布も異なると言及。イタリアでは死者の半数がロンバルディア地方に集中しているが、イギリスでは全国に分散していると述べた。

<関連記事>

イギリスで新型ウイルス追跡アプリの試験開始 個人情報めぐり懸念も
ロンドンやNYの劇場は「来年まで再開できない」 「オペラ座の怪人」プロデューサー
イギリスでは貧困地域ほど死亡率高い=政府統計局 新型コロナウイルス

 定例会見でラーブ外相は、2万9427人の命が失われたことは「大きな悲劇」であり、イギリスでは「こうした形、こうした規模での死は(中略)前例がない」と述べた。

 しかし国同士の比較については、「パンデミック(世界的流行)が終わるまで、そして特に全死因に関する国際的かつ包括的なデータが出て来るまでは、各国がどれほど健闘したかの判決は出ないと思う」と述べた。

 英ケンブリッジ大学のデイヴィッド・スピーゲルハルター教授は、報告されている新型ウイルスでの死者数が、本当の数を「大きく下回っている」ことは「確か」だと話した。

 「欧州のどの国も成功しているとは言えないが、これはユーロビジョン(欧州各国による歌合戦番組)ではないし、ランク付けすることに意味はない」

 「唯一意味のある比較は、国ごとに年齢構成による変動調整を行った上で、全死因に関する超過死亡を見比べることだが、それでも数字の違いの原因を突き止めることは非常に難しいだろう」

 政府とは別に国家統計局(ONS)が発表している統計によると、4月24日までの新型ウイルスによる死者は2万7300人となった。4月24日以降にONSに報告された死者数を含めると、全体の死者は3万2000人以上になるという。

 ONSでは死亡届に記載された死因を基に統計を出している。また検査を受けていなくても、医師がCOVID-19の疑いがあると判断した場合の数も含めている。

 イギリスではこれまでに138万3842件の検査が行われた。5日の検査数は8万4806件と、政府が目標とする1日10万件を切っている。

 マット・ハンコック保健相は4月初めにこの目標を設定。5月1日と2日は達成したものの、ここ3日間は下回っている。
一家の3人が亡くなるケースも

 イングランド北部サウス・シールズでは、新型ウイルスによって一家の3人が亡くなるケースがあった。

 30年以上にわたって看護師として働いていたキース・ダニントンさん(54)は、4月19日に自宅で亡くなった。その後5月に入り、母親のリリアンさん(81)と その夫のモーリスさん(85)が相次いで亡くなったという。

 イギリスではこれまでに100人以上の医療従事者が新型ウイルスの犠牲になっている。

 また、介護施設での死者も多数報告されており、北アイルランドでは同じ施設の14人が、COVID-19の関連する症状で死亡した。

イギリスのその他の状況は以下の通り。

現地紙デイリー・テレグラフはこの日、政府の非常時科学諮問委員会(SAGE)でロックダウン(都市封鎖)政策に関わっていたニール・ファーガソン教授の「結婚している恋人」が、ロックダウン中にファーガソン氏の自宅を訪れていたと報道。ファーガソン氏は「判断の誤り」と、政策を「損なった」ことを理由に、政府顧問を辞任した
イギリスとアメリカのサイバーセキュリティー当局は共同声明を発表し、新型ウイルス対策に関わっている医療従事者を標的としたサイバー犯罪に注意するよう呼びかけた
英航空大手ヴァージン・アトランティックがイギリス国内の従業員の3分の1を整理すると発表した

絶望のイタリア尻目に「自国ファースト」強める国 新型コロナ、EUを揺さぶる
https://globe.asahi.com/article/13341913 朝日新聞2020年5月4日

鎖国」前夜のパリを歩いた
新型コロナウイルスへの恐怖から、人の往来を遮断する動きは、中国に続いて感染の中心地となった欧州にも広がった。「国境なき欧州」という地域統合の理念をよそに、入国規制を始める国が相次ぐなか、3月中旬、外出禁止措置直前の緊迫するフランス・パリを訪れた。(太田航、文中敬称略)

 フランス・パリの象徴、エッフェル塔で聞こえてきたのは野鳥のさえずりばかり。足元を流れるセーヌ川沿いや公園まで見渡しても、人影は数えるほどだ。入場口には「新型コロナウイルスのため当面の間閉鎖します」との表示。3月16日のパリで目にしたのは、世界一の外国人観光客数を誇る観光大国の変貌ぶりだった。

 記者(太田)は別の取材でイタリアに出張する予定だったが、感染リスクの高まりで断念。フランスでの新型コロナ関連の取材に変更した。マスクや消毒綿を多めに持参してパリの街に入ったが、状況は想定外の速さで悪化していた。

 ベンチに座って力なく塔を見上げていたのはコロンビアから来たダニエル・ロハス(26)。「休暇のはずが、悪夢になった」。欧州各国を巡る旅の途中、この日、憧れのパリに到着したばかり。だが、外出禁止になりそうだと、急きょ、夜の便でオランダに飛ぶと決めた。「せめてシャンゼリゼ通りは見たい」と、スーツケースを引いて歩き去った。

 サンジェルマン・デ・プレでは、老舗カフェの「レ・ドゥ・マゴ」が閉まっていた。政府が前日の15日から生活必需品を扱わない商店や飲食店の営業を禁止していた。フランスの哲学者サルトルや米国出身の作家ヘミングウェーら世界中から集まった思想家や芸術家らがパリのカフェで語り合ってきた。通訳のセザール・カステルビが嘆いた。「カフェが閉じたパリなんて信じられない」

そんな中、スーパーは買い物客で混雑していた。夕食を買いに行くと、最初の店は入店規制で20人ほどの列。別のスーパーでは列に並ぶと、店員が「一緒ですか?」。前の人と別会計なら1メートル以上離れてほしいという。前日には言われなかった。急速な警戒感の高まりを実感した。

 ホテルに戻ると、マクロン大統領が17日正午からの外出禁止措置を発表した。もはや取材は難しい。日本に戻れなくなる心配もあった。急いで帰国便を探し、翌朝、慌ただしくパリを飛び立った。

 揺れる欧州の理念

 2度の世界大戦の舞台となった欧州。パリは、その反省から生まれたEU(欧州連合)の出発点でもある。何度も敵対したフランスとドイツが手を握り、1951年のパリ条約で欧州石炭鉄鋼共同体が発足。戦略物資の「主権」を譲る画期的なアイデアだった。それを受け継いだEUは、大半の加盟国と周辺国の一部で往来を自由化して「国境なき欧州」を実現。通貨統合も含め、かつてないレベルで民主的な地域統合を成し遂げた。パリの国際経済予測研究センターのセバスチャン・ジャンは「移動の自由はEU一体性の要。今回の危機にも協調して対応する必要がある」と話す。

 だが、ウイルスへの恐怖がEUの理念を揺さぶっている。一部の国が入国制限を始め、主要国ドイツにも広がった。ユーロ危機、難民危機に続き、EUは再び加盟国の結束を問われている。

 欧州政治に詳しい北海道大公共政策大学院長の遠藤乾は「イタリアにはルサンチマン(恨み)が蓄積している」と指摘する。

 新型コロナの被害が集中し、街に遺体があふれるような絶望的な状況になった イタリアを尻目に、EU主要国のドイツまでもがマスクの輸出制限に踏み切るなど、「自国ファースト」の姿勢を強めた。その後、ドイツによる医療支援も始まり、ユーロ圏で5400億ユーロ(約63兆円)の緊急財政支援策に合意を見たことでEUは面目を保った形だが、苦境の加盟国を支援するEUの「コロナ債」発行では、被害が大きいイタリアやスペイン、フランスと、ドイツやオランダなどが対立し、EUの南北問題が再燃している。

 EU市場や通貨統合の恩恵を受けて富を増してきたドイツなど北部の国々に対し、これまでもイタリアなど南欧の国々には、ユーロ危機や難民危機でも支援が少ないとの不満があった。19年の欧州委員会の世論調査では、EU全体で68%が加盟を「利益になる」と回答したが、イタリアでは41%と、加盟国で唯一、「利益にならない」(49%)を下回った。こうした世論を背景に、イタリアではEUに懐疑的な右派勢力も台頭している。

 遠藤は「危機の時は、例外的に国家主権が前面にせり出してくる。それを最小限に抑える枠組みとしてEUは機能してきた」と評価する。ただ、「今後、金融などで危機が深まる可能性は高い。うまく対応できなければ、EU内の分断が広がりかねない」と懸念する。
(太田航 東京都出身。2001年に朝日新聞入社。名古屋、東京、大阪の社会部などを経て、GLOBE編集部