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こんな本ありました!

社労士みょうみょうが自分目線で好きな本を選んでみなさんにご紹介します。役に立ちそうな本があったら、ぜひ読んでみてください

介護うつの正体

2014-05-08 05:30:20 | 日記

『介護うつ お姉ちゃん、なんで死んじゃったの』


平成21年4月、タレントの清水由貴子さんが
お父さんのお墓の前で自ら命を絶ちました。
傍らには要介護状態のお母さんが車椅子に座っており
雨に打たれて肺炎を起こしかけていました。

由貴子さんは、昭和52年、17歳で芸能界にデビューしました。
同期には高田みずえや榊原郁恵がいました。
小学生のころ、父を亡くし、母が病弱だったため生活保護を受けています。
貧しかった家庭は、由貴子さんが芸能活動で支え、妹の学費や母の治療費などのため
がむしゃらに働いていたようです。
平成18年、46歳の時に、母の介護のため芸能活動をセーブしました。
平成19年9月、唯一のレギュラー番組も辞めて、芸能界を完全に引退しました。
介護に専念するようになりましたが、ボランティアをしたり、
パートにでたりもしていました。
平成20年12月、母が歩行不全となり、週5日デイケアに通う、本格的な
在宅介護が始まりました。
芸能界を辞めてから約1年半、在宅介護が始まってから4か月余りで
由貴子さんは自殺しています。


著者である妹の良子さんは、姉の自殺当時、「壮絶介護」「介護自殺」
という言葉を週刊誌の記事などで目にしても、自分たちの生活と結びつける
ことはできなかったそうです。由貴子さんは介護のことで愚痴を言ったり、
投げやりになったりすることもなく、やや元気がないときでも、良子さんは
それが介護と関係があるとは考えなかったようです。

介護離職が社会問題となっていますが、主な問題点は社会にとっての労働力の減少と
介護者の収入減、そして社会からの孤立ではないかと思います。
由貴子さんはお金の心配はなかったかもしれませんが、恐ろしく孤独だったのでは
ないでしょうか。そしてその孤独は実の妹さんでさえ気づくことができなかった。
良子さんはそのことを悔やんで申し訳ない気持ちでいっぱいになっています。

介護者が明るく元気で気丈で、愚痴をこぼさない人だと、周りの人はラクです。
そして安心してしまいます。この人なら大丈夫って。
由貴子さんもそうだったんだと思います。

本の最後に良子さんは書いてます。

あの日なんで晴れてなかったんだろう。なんで富士山が見えなかったんだろう。
あの日、夕焼けに染まる富士山を見ていたら姉は絶対死ななかったはず。

私もそう思います。
死んでしまおうかな、死んでもいいかな…
そんなときに本当に実行に移してしまうかは、偶然によるのかもしれません。

残された人は自殺なんて許せない!と思ったり
気づいてあげられなくて申し訳ないと思ったり、なんでなんで…
って、ずーっと思い続けたり。でも生の世界に運や縁が薄れてしまう
瞬間というのがあるのかもしれません。

それと、介護離職をせずにすむ方法をもっと研究しないといけないと思います。
精神論でいける分野じゃないですから。

プア充もままならない人が多いです

2014-04-10 12:27:40 | 日記
 プア充/高収入は、いらない』

宗教学者島田裕巳さんが書いた本です。

『葬式は、いらない』という本も書いていて
けっこう売れてるみたいです。

私は、「いらない」とか「もたない」
「捨てる」などの言葉には、抵抗感があります。

なんか、持てる人間・豊かな人間・金持ちの傲慢さを感じるのです。

持ったことのない人間には無縁の言葉だと思います。

小欲知足?なにそれ?ってかんじです。

貧乏なままで満足していろ、って
ずいぶん勝手な言いぐさじゃないですか。
だいたい、自分は金で欲望を満たしておいて
人には、足るを知れって、それなんですか?
って思うわけです。

なので、この本も、なに寝言言ってんのよ!と
ツッコむ気で読み始めました。

フィクションとなってますが、どうも島田さん自身のことが
書いてあるようです。

私は世の中のことに疎いので知らなかったのですが
島田さんはオウム真理教を擁護して、ずいぶん世間から叩かれたようです。

せっかく大学教授になりながら、すぐに辞めています。
あとがきに書かれていますが、大学を辞めた後数年は、
仕事がなく、年収が200万に満たない年もあったようです。

お金がいっぱいあっても、将来に対する不安でいっぱいでは
幸せとはいえない、収入は少なくても、いや少ないからこそ
満たされる人生もあるのだ、ということが書かれています。

突っ込んでやろう気分はなくなりました。

高い年収に惹かれて入社してみたものの
職場はブラックだった…とか
世帯年収はけっこうあるのに、生活に余裕がなく
貯蓄もゼロ…とか
仕事にやりがいはあるものの、ストレス解消にかけるお金で
給料はふっとんでしまう…

という人は一読するのもいいかもしれません。

でもこういう考え方は、間違ったあきらめ感につながる
危険性があると思います。

最低賃金に近い時給で働いている人には無縁の話です。
配偶者や親のサポートが受けられないシングルマザーやファザーには
どこの世界のはなし?ってかんじですよ。

島田さんは、日本は社会全体が豊かだから、年収300万くらいが
一番幸せに暮らせる、と言っていますが
年収200万に満たない人がどれだけいるか知っているのでしょうか?

お金がなくても(つまり、300万はあるってことなんですよ)
美術館など安い料金や無料で楽しめるものが多くあるって言いますが、
年収の低い人は、そんなもの知らなかったり、関心がなかったりで
結局、他人が提供する劣悪な商品を廉価で購入して、お互いが首を
締め合っているのが現状だというのは、ちょっと言い過ぎかもしれませんが
この本、いいこと書いてあるんだけど、昔はやった清貧の思想みたいな
鼻持ちならない感が拭えません。

貧乏人のひがみです。

ちなみにプア充ってのは、リア充(リアルが充実)にひっかけてます 

リアルプアな人からの反論はやはり多いです            




『親の家を片づける』

2014-03-14 05:17:17 | 日記
主婦の友社からでている

 『親の家を片づける』  (1300円+税)を

紹介します。

ある日突然、膨大な老親の荷物や
家の整理と処分が、あなたの身に
降りかかってきたら、どうしますか?
(これが副題です)

怖いですね…

早めに取り掛かるにこしたことはないです。
くるぞ、くるぞと覚悟しとくだけでも違います。

親の家を片づけた人(挫折した人もいます…)
15例が紹介されています。

・今思い出しても体中に重い疲労感がよみがえる…

・やってもやっても終らない…モノの処分にかかった費用は100万円

・体力、気力がもったのは今の年齢だったから(56歳女性)

・新聞と雑誌の束だけで、回収業者のトラック1台分…

・「なんとかなる」と言い続けて、
現実と向き合わなかった片づけが苦手な母…
(片付けから)7年経った今も、母の顔を見るのが
嫌なときがある…

これらの言葉から
モノを処分し片づけるということがいかに
エネルギーのいることかわかります。
しかも、自分の家、モノではないので
親から泣き言をいわれ、恨まれ
捨てたものをこっそり拾われたり…
親が亡くなっている場合は
莫大な負の遺産に天を仰ぎたくなったり…

今の80代の人はとにかくモノをため込んでいるそうです
50代の人もですね…
よく住宅のセールス文句に
「収納スペース充実」とかありますが
収納したものは永遠に収納したままになることが多いようです
一見、整然とした室内であっても、
収納スペースに卒倒しそうなほど
ぎっしりモノが詰まっていることがよくあるようです

私はこの本を読みながら、
以前からやりたいと思っていた
ガレージセールを、6月までには
絶対やる!と決心しました。


親の家は片づけないのかって?
いっぺん、ダスキンさんにきてもらったこともあるんですよ!
複雑な事情があってできないんですよ!
ダスキンさんからは
「まあ、とにかくご家族で話し合われることが一番ですな。」
「話し合いが済んだら、またご連絡ください」って
それっきりですよ!

 実践版もあります!  

『世の中への扉・福島きぼう日記』

2014-03-12 16:11:27 | 日記
世の中への扉・福島きぼう日記

福島県南相馬市に住んでいた3姉弟の震災日記です。

中学1年の姉・千乃さん(被災当時小6)の、避難所生活8日目の
日記から抜粋します。

「朝食後は何もすることがないからつまらない」
「ボーっとしてるとお昼になる」

なにもかも失った感がよくでています。

「がんばれ」などと言えないような状況であることが

この短い文章から察することができます。

避難所生活28日目になると

「みんな他にやることがなく、“これからどうすればいいのか”という顔をしている人ばかりだった」

「(放射能のため)自分の家に帰れず、帰ろうとすれば罰もあるなんて…」

被災した人の無力感をよくあらわしています

私は高校生のときに

『アンネの日記』を読んで以来

当事者が書いた本をよく読むようになりました。

客観性という点では、専門家が書いたものに劣りますが

時空を超えて共感できるという点においては

当事者本が一番です。

千乃さんの、被災しながらも

中学生になるというワクワク感がでている

この日記はまさに「希望」という名に値します。

避難先の中学校で、新しいジャージや運動靴を

新たに購入させられ、

(南相馬市の中学のものをすでに購入していましたから)

二重の出費になったことが書かれており

この有事に…とちょっとびっくりしあきれました。

千乃さんたち姉弟のお父さんは市役所務め

お母さんは小学校の先生であったため

子どもを置いて、被災地で働かざるを得ませんでした。

仕方のないことと思いながらも、

子どもにとってつらく、さびしいことだろうと察せられます。

避難先の小学校で働きたいという願いが聞き入れられなかったこと

自分勝手かもしれませんが、私が千乃さんたちなら

被災地に残された子どもたちのことも考えず

お母さんといっしょにいたい!

と思います。


『ハーバード白熱教室・世界の人たちと正義の話をしよう+東北大特別教室


他の人を助けるべきか、まずは自分の身の安全のため逃げるか

という議論がありましたが

答えのでる問いではありません。

最後まで避難誘導して津波に飲み込まれてしまった人の行動の是非を問うことなどできないです。他人はともかく、自分の身の安全のためすぐに逃げた人も同様です。

生死の境目のとき、どういう行動を取るのかなんて

誰にもわからないと思います。

それでも私は

父・母が危険な被災地に赴き、自分たちは避難所で待たなければ

ならないというのは、ほんとうにつらいことだと思います。

『少年弁護士セオの事件簿4』

2014-03-04 13:54:38 | 日記
少年弁護士セオの事件簿

アメリカ・アーカンソー州生まれの元弁護士、ジョン・グリシャムの
子供向けの本です。
13歳の中学生セオは、両親共に弁護士で、セオも将来は
弁護士か裁判官になりたいと思っています。
大人顔負けの法律知識でクラスメートの様々な相談に
のってあげています。
脇役としてでてくるおじのアーク
(元は弁護士だったが、なにか事件を起こし、免許剥奪となった)
身勝手な両親のもとで、早く大人になり自由に生きることを夢見る
親友のエイプリル
離婚専門の弁護士として忙しく
料理をするひまもないセオのお母さん
(なので、セオの家では毎日外食か、テイクアウトの料理なのです)
動物に関する問題のみを扱う動物裁判所など
(これの説明はユニークすぎて私には無理です…興味のあるかたぜひ本を読んで見てください)
アメリカの子どもたちの日常が描かれていて
日本との比較がまた楽しいのです。

今回のテーマは「収用権」です。
町の中の渋滞がひどいため、バイパス道路計画ができるのだが、
どうも一部の利権のためだけに作られるようで、あまり渋滞解消が
期待できないどころか、自然破壊や大気汚染の被害のほうが大きいようで
推進派と反対派が対決するという内容です。

訳者あとがきから引用しつつ説明します。
「道路建設のために、市や郡が市民の土地を取り上げることができるか」
という、難しい問題が今回のテーマなのです。

道路など公共のものを作るために、立ち退いてもらいたい
市町村役場からこのような相談がくるのは
日本でもあることです。

日本でもアメリカでも人々は自分の済みたいところに住む権利があります。
日本国憲法にもちゃんと
「第29条、財産権はこれを侵してはならない」
と書いてあります。でもそのあとに続きがあるのです。
財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。
私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。

日本でも「公共のために」「世の中のために」
個人の財産を使わせてもらうことがありますよ
と憲法に書いてあるのですね。

でも、「公共のため」とか「世の中のため」というのは
とても聞こえはいいけど、本当にそうなのか?
ってことですよね。

日本では、個人が所有する土地を
公共のために収用するときは
「収用委員会」というものが置かれて
建設する側と土地を収用される側が
それぞれ意見を主張し、それをもとに
委員会たちが判断を下すそうです。
審理は公開されています。

日本とアメリカでは市民の参加度がずいぶん違うようです。

日本では安部総理が集団的自衛権の行使に躍起となっていますが
日本国民の安全とかいわれると、
なんか、そうかも…安全のため、お国のためなら
仕方ない、とか思ってしまいそうです。
本当にそうなのか?考えて見ないといけないです。

この本はシリーズになっています。

アメリカと日本の司法制度の違いなども
訳者の石崎洋司さんがていねいに解説してくれていて
参考になります。