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ロシアはアサド政権の抑制に責任を持て(社説)
2017/4/6 15:09シリアで2011年にアサド大統領に対する反政府闘争が始まって以来、シリア人はあらゆる種類の剥奪に耐えてきた。アサド政権は、反政府勢力に対して「たる爆弾」やクラスター爆弾を空から浴びせてきた。シリア軍は水の供給網を破壊し、飢えさせることで包囲した町を屈服させた。シリア国内のあらゆる監獄では、何千という人たちが拷問され、殴り殺され、首をつるされて殺された。これまでに40万人が死亡し、何百万という人たちが家を追われた。
化学兵器とみられる攻撃を受けたシリアのイドリブ県で、子どもを急設病院に運び込む男性(4日)=AP
アサド政権が兵器庫に塩素ガスを配備し続けている多くの証拠があるものの、アサド氏は13年以降、禁止されている殺傷能力の高い化学兵器の使用をためらってきた。だが、アサド氏はここに来て、化学兵器の使用を再び積極化しているようだ。これは、アサド政権が、後ろ盾であるロシアが仲介した化学兵器全廃などの合意でさえ、制約とはほとんど感じていないことを示している。
シリア、ロシア介入で化学兵器禁止条約加入
シリア北部のイドリブ県で起きた化学兵器とみられる空爆で、子供20人を含む少なくとも72人が死亡した。アサド政権は、殺りくは自分たちの責任ではないと否定したが、反政府活動家や欧米政府は、非難されるべきはシリア軍機だと主張している。窒息が原因となった今回の犠牲者の状況は、13年にダマスカスで1400人が犠牲となった攻撃と同じ特徴を持っていた。当時、使用が疑われた物質は猛毒神経ガスのサリンだった。
米国のオバマ前大統領は当時「レッドライン(越えてはならない一線)を越えた」としながらも、軍事行動を控えたため、そのすきを見たロシアのプーチン大統領の介入を許した。これがシリアの化学兵器禁止条約加盟につながり、シリアは保有する化学兵器の廃棄と国連による査察の受け入れで合意するに至った。
反政府勢力の戦闘員やその家族、そして彼らに好意的な市民は、ここ最近の政府軍の前進を受けてイドリブ県に避難していた。スンニ派が多数を占める抵抗勢力を封じ込めるこのようなやり方は、もはや民族浄化をも意味する。さらに、もしサリンが使われたとしたら、アサド政権は戦争犯罪をさらに積み重ねたことになる。
■国連分裂で査察団機能せず
シリア政府とロシア政府はともに、ハーン・シェイフーンで放たれた化学兵器は反政府勢力が保有していたもので、知らないうちに上空から攻撃したものだと主張している。だが、両政府の説明はとても信じがたい。国連の査察団は16年、神経ガスの痕跡を発見し、アサド政権が先の合意を順守していなかったと警告した。以来、相変わらず分裂した国連安保理は役目を果たすことができなかった。
欧米では現実主義者たちが、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討というより大きな目的にアサド氏が対応せざるを得ないのではないか、と考えを変えつつあった。こうした考えが妄想ではないかという疑いがあったなら、そうした考えは妄想であったことが今週わかったに違いない。アサド氏はシリアを揺るがす根源である。同氏の犯罪はISやアルカイダにとって願ってもない支援である。
ロシアにはまだカードが残っている。プーチン大統領はいま、それを使わなければならない。アサド政権を救うことと、ロシアの支援でつけあがりシリアの人々にガスを放ったり、ロシアが保証人になっている化学兵器使用禁止の合意をあからさまに軽視するアサド政権を傍観することとは、全く別問題だ。
(2017年4月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)
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