マチンガのノート

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サイレンス 沈黙 : マーティン・スコセッシ監督

2017-03-26 15:03:11 | 日記
キリスト教はヨーロッパ内では世間的な権力構造に対する思考の軸に
なったのかもしれないが、ヨーロッパの外では奴隷を売買したり、
地元民を虐殺したり植民地化したりだったので、東アジアに来る頃には
その内容よりも、その影響が悪いとのことで、警戒されたのだろう。
その後、ヨーロッパ内でも階級というものが固定化されてきたので、他の思考の軸として、
社会主義や共産主義が産まれたという側面があるのだろう。
イッセー尾形演ずる奉行との会話シーンでも、植民地獲得に乗り出した
ヨーロッパのやり口を知っていて対応しているのが伺える演出になっている。
 アラブ社会では一神教においてイスラム科学ができ、初めて科学というものが
成立したとのこと。中国では高度な工芸や発明があったが、科学にはならなかったそうだ。
キリスト教以前のヨーロッパは迷信などの多神教世界であり、
その後の中世ヨーロッパでは世俗的権威は政治に、精神的権威は教会へということで、
世俗的権威と精神的権威が別れ、個人の内面の尊重へと繋がったという。
そのため、この映画で描かれているような、政治的権力に弾圧されても、
内面を守るためにそれに抵抗したのだろう。
その後のヨーロッパでは、宗教改革において精神的権威は教会から
個人の内面へと移り、その後の近代の発展へと繋がったそうだ。
(以上:典拠google検索)
この様なことは、「王権の心理学」(織田尚生著)に描かれているような、
自らの中心を太陽に投影した後に、自らに引き戻し治療が進展するという、
治療過程で見られるプロセスにも類似している。