絹糸のような ”雨” が降る
「おはようございまぁ~す」といつも元気な彼女が
今朝のお迎えではほんのわずか影がある
「私、今日が最後なんです・・・」と声も湿りがち
週に二回のお迎えで少しばかり友達になれていた
安心して旦那様を預けることができた
あぁぁ・・・・
春はせつない季節でもあったことを
この雨の朝 気が付くなんて
わたしは見送りながら
この二年の長~い歳月を本当にお世話になりました
ありがとうございました
去りゆく車の後ろ姿に彼女への感謝の言葉としあわせを祈った
寝たきりの生活を余儀なくされてのこの三年の日々
いくらかでもこの「ディサービス」の時間は
心を落ち着かせたり、切磋琢磨の時を与えてくれたであろう
戻ってきたときには 全身のグッタリ感はぬぐえはしないが
それでもその日あったことを語るときの
満足感に裏打ちされた瞳の輝きを私は見逃さない
同じような境遇の仲間との語らいが
いい意味での明日への希望を引っ張りだしてもくれるはず
あぁ こういう時間がどれだけ多く、長かろうとも
彼にとっての「別時間」のもたらす効果を期待するものである
唯一・・・それが私自身にとっても
くつろぎの時間へと変化するのであるのだから
介護される方もする方も
その”くつろげる時間”は必要だと思う
わずかばかりの数時間であれ
ほっとできる時間があるのとないのでは大違いだから
あいにくの”雨”空であるが
すこしゆっくり町の景色でも楽しんでみようと思う
闘うものにこそ栄光あれ