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つれづれなるままに・・・・

世界はもっと美しくなる/奈良少年刑務所詩集

2017-10-03 | 読書

奈良少年刑務所というと山下啓次郎の設計で明治の五大監獄の一つで

ロマネスク調の様式で作られた門はとても有名です

そしてそれが今年3月に閉庁され今後監獄ホテルとして生まれ変わるそうですね

さて 職場の司書さんに教えてもらって読んだのがこの本・・・受刑者が書いた詩が綴られていました

奈良少年刑務所では社会性涵養プログラムというコミュニケーションが困難な受刑者が対象になっていて

その中で詩の授業が行われ その詩を集めた一冊です

作家で詩人の寮美千子さんが授業で詩を通して受刑者と少しずつ心を通わせていく様子など

それぞれの詩に彼らが罪を犯した背景や心に秘めた思いなど解説も添えられており

いろいろと考えさせられることも多かったです

この本の題名になってる世界はもっと美しくなると書かれたのが獣の心という詩です

人の持つ知性は素晴らしくて美しい けれど同時に どうしよもうなく醜くて 恥ずべきものだ

どうして人はこんなにも賢いのだろう どうして人は考えることができてしまうのだろう

人さえ獣であったなら世界はもっと美しくなっていただろうに 人さえ獣であったならこんなにも苦しくなくて済んだろうに

もしも全知全能の神が人をつくったとしたならば 私は聞いてみたい なぜ人に知性を授けたのですか

この詩を読んでいると 貧困、虐待、ネグレクト、厳しすぎる親のしつけや過度な期待、いじめ

彼らもある意味被害者なのかなと感じる部分も多かったです・・・壊れてしまったのでしょうね

勿論 こんな経験している人たち全てが犯罪に手を染めてるわけではなく反面教師にして生きている人も多いので 

彼らの犯罪を犯した事実は変わらないし犯罪を犯すことは許されることではないけど

少しだけ彼らの内面を知ることができました

かなり切ない一冊でした