ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

夏は怪談! だから「女高怪談」シリーズ第2弾にしてみました。

2006-08-15 | 映画
少女たちの遺言」(Memento Mori)。また、韓国映画だ。

韓国映画の吹替え音声付のヤツは、何しろとっても安心して見ていられるので。まあ、女子高生のセリフとしちゃ、どうかな、という吹替えもあるけどね。

この「女高怪談」シリーズ、最新作が「ヴォイス(女高怪談4:声)」といい、6月後半にDVD発売されているが、この第2作はそのものずばり「女高怪談 二番目の物語」という原題(もちろん訳すと、だが)だということ。

まあ、直接の続編ではない。前作がどこか田舎の女子高校だったのに、「少女たちの遺言」の舞台は都会(ソウル市内か。屋上からはこの学校がビル街に程近いとわかる)の女子高校。ただ、直接の因縁はないものの、この学校は過去に五人の死者を出しているらしい。「七人の死者が出たら廃校という噂」だと、生徒の一人が言っていた。

それから主役三人の、特にヒョシン(ハン・イェジン)とミナ(キム・ミンソン)はテレパシーで会話するし、シウン(イ・ヨンジン)もミナから「答え」を送られることから、まあ、超能力ほどではないにしろある程度の感能力があるのかもしれない。この、「超能力」の存在というのが前作と被っているかもしれない。実際は必然がないのであるが。

前作はあらかじめ秘密と怪奇が存在するところから始まり、巻頭早々女教師が殺されるが、この作品はかなりの時間を割いてイメージ・フィルムのようなカットと他愛ない女子校の日常を積み重ねていく。

それによってわかってくる人物像。ヒョシンはとてもエキセントリックで、その隠された能力に関係あるのか同世代より大人びてもおり、周囲からは虐めというかスポイルされる人物であるとわかる。陸上部員のシウンはボーイッシュな雰囲気の娘で、練習には全力で打ち込む真面目な気性だが、理由も示されないが耳が聞こえなくなりつつあり、焦燥か何か、精神の安定を欠いている部分を持っている。ミナは割りに平凡な娘だが、ある日ひょんなことからシウンとヒョシン、レスボスな関係と噂のふたりが交わしていた交換日記を手に入れその心の襞に触れて、ふたりをもっと深く理解したいと思うようになる。

その矢先、屋上からヒョシンが飛び降りて死んでしまう。それから、あちらこちらで彼女の姿が目撃されることに。

それは交換日記に記された言葉の「メメント・モリ(死を思い留めよ)」にあらわされる思い、「わたしを忘れないで、いつまでも憶えていて」というその表れなのか。

たとえばコ・ヒョンソク先生(ペク・チョンハク)は彼女を妊娠させたと噂されるが、死して後、訪ねてきた彼女に問う。「もう、苦しみから解放されたのか」と。彼は彼女の大人びた態度の陰に、不安に苛まれる孤独な魂を見ていた。

その孤独を唯一癒せたのがシウンととも居られることであった。ヒョシンが絶対に別れたくない相手、それがシウンだった。

……こういう切ないほどの叙情と、一方で「キャリー」ばりのパニックとが並存しているため、後半はどっちつかずな印象である。

「怪談」だけどね。でも一面ガラス張りの天窓一杯に映りこむヒョシンの顔、なんてあんまりだ、と思う。

とかなんとかいいながら、主演3人のそれぞれの愛らしさを楽しむことができたので、実にそういう映画だと割り切れば楽しめる映画だ。

*「囁く廊下~女校怪談~」(日本公開名。VHS版もこういうタイトルのようだ)(“Whispering Corridors”という英題が英語のシリーズ題名でもある)、こちらはVHSのみリリース。日本では未DVD化作品。*

*3作目「狐怪談」もレビューしています!*


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