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「プロヴァンスの贈りもの」(A GOOD YEAR)
都会人は疲れている。仕事人間が生き方の間違いに気が付く。そんな主題の映画が増えたような気がするが、この作品もそんな感じの映画である。
それにしても、「エイリアン」の、「ブレードランナー」の、「ブラックレイン」のリドリー・スコットがどうした心境の変化なのだろうか。監督自身がスローライフに憧れを抱いたとでもいうのであろうか。にこにこと、時にはくすくすと笑い、あるいは観客自身にも心当たりがあるような子どもの頃の夏休みの追憶を主人公のそれに重ねてじんわりしながら、また、遅れてやってきた、手に取るようにわかりやすい恋心に頬を緩めながら、二時間弱を楽しんで、わずかにせよ癒される、そんな映画をリドリー・スコットが撮るなんて!
ロンドン金融街の風雲児、辣腕のトレーダーが主人公のマックス(ラセル・クロウ。そうか、「グラディエーター」で監督と組んでいたか!)だ。大人数のチームをまとめて今日も違法すれすれ、モラルハザード確定の手口で狙った為替操作、多大な利益を上げたのだった。部下たちの祝いの言葉にも「コメディと勝負は過たぬタイミングだ」と教訓を垂れるほど絶好調である。そのマックスが、唯一の近親者である叔父ヘンリーの訃報を受け取る。正式な遺言状はないが、南フランスの邸宅とそれに付随するワイン農園が残されたのだった。幼い日、夏休みに叔父と過ごしたプロヴァンスの農家。しかし、活き馬の目を抜くシティ一番の寵児はおのれの思い出よりもその資産価値に心奪われ、仕事の合間を遣り繰りし、一泊のみの心算(つもり)で赴くのだった。
思わぬ事件、思わぬ事故、そして直前でのモラルハザードな取引を契機に雇い主から一週間の謹慎を申しつけられたことにより、マックスの心境に変化が……。
その間のあれこれが実に面白いわけだ。
沿道に留まる自転車レース集団に指を立てながら「ランス・アームストロング!」と叫ぶなんてシーンがあったり。この名前、実は知らなかったのだが、多分ツール・ド・フランスの優勝者かな、と思ったらやっぱりそうだった。しかも七連覇した人物ね。
少年時代に読み終えることが出来なかった「ベニスに死す」の絡みにも何かありそう。「やつら男色家だから」みたいな台詞も当然そのあたりにつながっているんだろうな。
ヒロインのファニー・シュナルを演じるマリオン・コティヤール、降って湧いたように突然登場する叔父の隠し子(つまり従妹)であるクリスティ・ロバーツを演じるアビー・コーニッシュ、このふたりの女優さんを眺めているだけでも男性の観客としては幸せである。
*右側の写真がファニー・シュナル=マリオン・コティヤール、左側の写真がクリスティ・ロバーツ=アビー・コーニッシュ、男性はもちろん両方とも主人公マックス=ラセル・クロウ*
ワイン農園の管理を任されていたムシュ・デュフロはヘンリー叔父の名をきちんとヘンリーと発音するけれど、マダム・デュフロは無音のH(アッシュ)のフランス人らしくアンリーと発音するところなんかもくすぐられた。
少年マックスがプールサイドで囁かれた詩が気がかりだ。原典が何かわからないのがちょっと悔しい。
まあ、リドリー・スコット監督その人のみならず、どちらかというとSFやホラーなどのジャンル映画にばかり心奪われている観客である自分も、たまにはこういう映画を見るべきだなと感じたことだ。
監督買いで見るという方法も、やっぱりいい映画の見方なのかも知れない。
都会人は疲れている。仕事人間が生き方の間違いに気が付く。そんな主題の映画が増えたような気がするが、この作品もそんな感じの映画である。
それにしても、「エイリアン」の、「ブレードランナー」の、「ブラックレイン」のリドリー・スコットがどうした心境の変化なのだろうか。監督自身がスローライフに憧れを抱いたとでもいうのであろうか。にこにこと、時にはくすくすと笑い、あるいは観客自身にも心当たりがあるような子どもの頃の夏休みの追憶を主人公のそれに重ねてじんわりしながら、また、遅れてやってきた、手に取るようにわかりやすい恋心に頬を緩めながら、二時間弱を楽しんで、わずかにせよ癒される、そんな映画をリドリー・スコットが撮るなんて!
ロンドン金融街の風雲児、辣腕のトレーダーが主人公のマックス(ラセル・クロウ。そうか、「グラディエーター」で監督と組んでいたか!)だ。大人数のチームをまとめて今日も違法すれすれ、モラルハザード確定の手口で狙った為替操作、多大な利益を上げたのだった。部下たちの祝いの言葉にも「コメディと勝負は過たぬタイミングだ」と教訓を垂れるほど絶好調である。そのマックスが、唯一の近親者である叔父ヘンリーの訃報を受け取る。正式な遺言状はないが、南フランスの邸宅とそれに付随するワイン農園が残されたのだった。幼い日、夏休みに叔父と過ごしたプロヴァンスの農家。しかし、活き馬の目を抜くシティ一番の寵児はおのれの思い出よりもその資産価値に心奪われ、仕事の合間を遣り繰りし、一泊のみの心算(つもり)で赴くのだった。
思わぬ事件、思わぬ事故、そして直前でのモラルハザードな取引を契機に雇い主から一週間の謹慎を申しつけられたことにより、マックスの心境に変化が……。
その間のあれこれが実に面白いわけだ。
沿道に留まる自転車レース集団に指を立てながら「ランス・アームストロング!」と叫ぶなんてシーンがあったり。この名前、実は知らなかったのだが、多分ツール・ド・フランスの優勝者かな、と思ったらやっぱりそうだった。しかも七連覇した人物ね。
少年時代に読み終えることが出来なかった「ベニスに死す」の絡みにも何かありそう。「やつら男色家だから」みたいな台詞も当然そのあたりにつながっているんだろうな。
ヒロインのファニー・シュナルを演じるマリオン・コティヤール、降って湧いたように突然登場する叔父の隠し子(つまり従妹)であるクリスティ・ロバーツを演じるアビー・コーニッシュ、このふたりの女優さんを眺めているだけでも男性の観客としては幸せである。
*右側の写真がファニー・シュナル=マリオン・コティヤール、左側の写真がクリスティ・ロバーツ=アビー・コーニッシュ、男性はもちろん両方とも主人公マックス=ラセル・クロウ*
ワイン農園の管理を任されていたムシュ・デュフロはヘンリー叔父の名をきちんとヘンリーと発音するけれど、マダム・デュフロは無音のH(アッシュ)のフランス人らしくアンリーと発音するところなんかもくすぐられた。
少年マックスがプールサイドで囁かれた詩が気がかりだ。原典が何かわからないのがちょっと悔しい。
まあ、リドリー・スコット監督その人のみならず、どちらかというとSFやホラーなどのジャンル映画にばかり心奪われている観客である自分も、たまにはこういう映画を見るべきだなと感じたことだ。
監督買いで見るという方法も、やっぱりいい映画の見方なのかも知れない。
思います。私はここ数年、毒のない(アクのない)作品を見るのが増えてきました。過去の作品に思い入れが強すぎて、それを超えるのが今は無いという感じもあって。
そんな中でリドリーの弟、トニー・スコットが監督した「デジャブ」は面白かったです。
私はあまりトニー作品は得意ではないのですがこれは良かった。すごい装置が出てくるんですが、これ欲しい。というかこの装置は違法だと思うんだけど。
ラストが都合良過ぎと思いましたが、SFはやっぱ面白いです。