山口大学山岳会

山口大学体育会山岳部のOB、現役部員、及びOBの山岳関係者の情報交換、近況報告を目的にしたブログ

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2014年07月08日 06時01分15秒 | ナンガパルバット
始めまして。私は1961年経済卒の森山博といいます。今回縁あって学生時代から思い続けていたパンジャブヒマラヤの西端にあるナンガパルバットのBCからAC1まで登ることができましたので報告します。2014年4月8日にパキスタンの北部エリアのギルギット・バルティスタン州のスカルドに入った。それから約2ヶ月と10日は、NGOとして奥地の10ケ村(いずれも2500mから3100mにある)で植林指導や調査と来年度助成金申請のための2ケ村での植林と耕作地造成のための灌漑用水路増設の調査や設計や見積など現地スタッフと共にしてきた。パキスタンを去るにあたりナンガパルバット・アランドを計画して友人のフンザ出身のガイドサドルティーンさんと出かけた。スカルドからローカルバスに乗って(チャーター車は金がかかるので)ギルギットに出る。乗りっぱなしの7時間である。そこで安宿で泊ってガイドと合流。翌日バザールで食材を買い込み、カラコルムハイウェイ(KKH)をまたバスでくだり、登山口であるライアコット橋で下車。ここにある警察のチェックポストでSP(セキュリティー・ポリス)をBCのテントでもつけるという。ここで言われてもテントやポーターや食材はすべて我々が持つので、費用がかかるし、またこんなところでは食材すら購入できない。だが警官隊も昨年4月にTTP(パキスタンの過激派タリバン)がそのBCを襲い7名の外国人登山者を銃殺したこともあり、結局我々は2泊ほどテント生活ををカットして妥協した。いやなら登山を中止しろと命令するのでしかたなしだった  登山口から急な崖の途中に作られたジープ道を1時間登り、タトー村に到着。そこから上のヒュッテまでは歩くこと4時間で3400mのフェアリー・メドウと呼ばれるヒュッテに夕方5時過ぎにたどり着いた。 ここは友人の知人がやっているのでご好意に甘えて一番いいヒュッテに泊まらせてもらう。翌朝ゆっくり眼下にナンガの南から続くライアコット氷河とナンガ北壁を見ながら尾根を快適な登り。  ここは76歳になる私に敬意を表して半日掛けて森を散策しながら登り、最後のヒュッテと村のあるビヤルに着いた。  ここは最高の場所で大きな松(パイン)に囲まれてすばらしい眺めの草原である。もったいないからここのヒュッテで一泊することにした。 下のフェアリーメドウほど有名でないので泊り客はほとんど居なく、ヒュッテのオーナー・エサンさんや村人たちと一緒にキッチン小屋で楽しい夕食をするなどまさに交流の場であった。  翌日はBCへ1日けけて登る。 最後の尾根と氷河のクレバスを避けながらトラバースしてBCに着く。 この日は近くのビークで遊び、夏の小さい高山植物が花開く最高の場所だった。 ここまでと思って登ったのだが、ガイドさんがいける、いける、明日はアタックキャンプ1まで登れるぞ。そのおだてとそそのかしにあって、ついに翌朝4時半にアイゼンなどを装備して登っていった。以外に傾斜はきつくなくとうとう9時には登り切ってしまった。目の前は3500mの北壁がナンガ氷河をはさんであり、後ろは長いライアコット氷河である.  ここからははるか西にインダス川やフンザ川が見え隠れしてその後ろにフンザの山々ーラカポシなどが大きく見えている。とうとうAC1まで登ってこれた。BCで2日間、この眺め中をすごす。夏の太陽は5時にはナンガパルバットを照らし、9時過ぎからは北壁で大きな雪崩が毎日発生する。ものすごい音をたてて1000mも壁を滑ってくる、周りは雪の粉で雲が発生したかのように壁をかくす、 テントをたたみビアルに降りる。ビアルでは、ヒュッテのオーナーや地元の人たちが手製の花輪を作って、76歳でAC1に登る人はめったにいない、といって地元のお祝いをしてくれた。素朴ながら心のこもったお祝いに
目頭が熱くなった。翌日は西にある氷河と尾根を登り、ジュリプール峰のハイキャンプまで登った。 その翌日はフェアリーマドウのヒュッテで最後の一晩を過ごしてKKHに降り、ギルギットへ帰った。 ここからはまたローカルバスで7時間かけてスカルドの2ヶ月いた定宿インダスモテルに帰った。
その後、毎日40℃以上のイスマラバードに出て、6月30日に成田に着いた。
帰りにわが友ブヨさん(井上靖)の家に見舞いがてらにナンガパルバットの報告をして大津に帰った。
ブヨさんも元気で喜んでくれたので楽しい一日をすごして、3ヶ月ぶりに家に帰った。
今回ナンガ・アランドに要した費用は成田からの往復航空運賃を入れても19万円であり、日本の旅行会社のツアーだと確実に38万円くらいになる。持つべきものは友であると痛感した。
山岳部や会の方でノースパキスタンの山や旅行に興味なる方は申し出てくれれば、いいトレッキングの方法を教えますよ。 メールアドレス:hmoriyama@trishan.org 090-3464-2104 へどうぞ。