今後200万件も申請されるというforeclosure。その実態を、多くは知らない。
サービシング詐欺が蔓延し、大手モーゲージ銀行といえども、foreclosureのたびに、債務者からの詐欺の紛争が業務上避けられないような状況であれば、サブプライム問題は、証券化されても、債務者からの訴訟を切り離せないということでしょう。民法95、96条も、詐欺による錯誤の場合、説明義務違反による錯誤を含め、権利が転売されていても、善意無過失の取引の動的安全より、取消、無効にされうることもある。証券界は、有過失でしょう。due diligenceしても、詐欺がみつからなかったという証券会社の無過失だとという主張は、通りますか。2000年以降の報道や裁判の多さを見て、善意とも言えないでしょう。
2000年代前半にすでに、裁判例やFTC処分後に基準ができて、サービシング詐欺がある程度根絶されたと思いきや(*注)、foreclosureの増加の原因が、未だにパフォーミング・ローンを延滞にしたり、不正な手数料請求していて、借り手が認識している借入額とは、大きな差があるなど、破産申請で明らかになってきました。
大手Wells Fargoでは、裁判所が見つけたところでは、違法請求により、24000㌦、12%の差があったという。 またCountrywideは、メディアでも問題にされ、裁判所では、司法省の下の庁、破産詐欺調査のUS Trusteeから、請求額について、詐欺処分も食らっている始末。Countrywide Home Mortgage Loanが279000㌦の借金を請求するChap 13適用申請のフロリダのケースでは、銀行による11924㌦のエスクロー口座立て替え金が含まれていた。請求の内訳明細はなくて、金額が貸して借り手で相違していた。法が求める受領書も出されていないこともある。Chap 13申請のあと、破産不動産検査、ブローカー価格意見書、延滞損害金が裁判資料から明らかになる。 また別のケースでは、延滞の発生していないのに、延滞扱いにされ、銀行によりforeclosure申請されていた。これらは例外とは言えないほど、業務上慢性化している。US Trusteeが調査に乗り出すのも当然だ。
オハイオ州の判事は、貸し手の申請した73件のforeclosureについて、保有を証明する文書不十分で、申請が取り下げられた。
Chap 13は、延滞している債務者が、住宅保有する場合に、居住を続けることを望んで適用申請し、裁判所の監視のもと、貸し手への返済を一時保留にしてもらい、その間に、返済計画を練り直させる。
アイオワ大学準教授Katherine M. Porterは、2006年4月にChap. 13申請された600万㌦の請求額をこえる1733件を調査した。資料は、公衆が閲覧できる裁判所記録から作成され、債務者の所得、資産、負債の付録資料を含む。2007年7月、United States trusteeに報告し、10月12日、データをフロリダ州オーランドでの「全米破産裁判官会議」National Conference of Bankruptcy Judgesに提出した。6件に1件は、法が求める手数料請求明細がなかく、10件に4件は、モーゲージ保有を証明するモーゲージ・ノートが添付されていなかった。いくつかの業者は、ファックス費用、受領証明書費用など手数料を請求していたが、裁判所が不合理と認識したものだ。調査の96%が、借り手と貸しが考えるモーゲージ額に認識のズレがあり、70%ほどは、貸しては、借り手の示す金額より大きい金額であることを主張していた。平均で3533㌦の違いがあった。ルイジアナのWells Fargo Home Mortgageを訴えたケースでは、231,464㌦の請求があると説明がを受けたが、連邦地裁は、実際に負った金額よりも、24,451㌦、12%の余分な請求があり、算術計算ミスもあるかもしれないが、不正な追加請求と判示された。ありもしない保安官事務所手数料が6742㌦、紛争が係属した29ヶ月間の16の不要な不動産検査料と利息の13000㌦が含まれていた。裁判資料によれば、Wells Fargoは、経理が正しいかどうかの検証は、債務者の負担であると主張したが、銀行は、訴訟が提起されるまで、経理明細を開示してくれなかったという。
(*注) モーゲージ・サービシング詐欺の横行、その手法、形態、FTC処分、サービシングの基準については、「サブプライムの実相--詐欺と略奪のメカニズム」(商事法務研究会)5章参照。
上記事案についての詳細は、Katherine M. Porterが入手できないが、以下報道による。
NY Times, GRETCHEN MORGENSON, Dubious Fees Hit Borrowers in Foreclosures , November 6, 2007; Foreclosure Charges by Lender Investigated, November 28, 2007 にあります。
以下は、モーゲージ・サービシング詐欺サイト
http://www.msfraud.org/