戦国時代までは真壁城、江戸時代は浅野氏や幕府直轄の陣屋が置かれ商人町として繁栄した真壁町、約180軒の家がひな人形を飾る一大イベントで平成15年に町おこしを掲げて始まりました。年代ものの由緒あるひな人形などが、幕末から昭和初期の見世蔵や土蔵、町屋約100棟の登録文化財の残る歴史ある町並みの中に飾られています。
伊勢屋旅館は江戸末期までは「勢州楼」という、真壁で最も名の知れた料亭でした。ここで宴を張ると一人前の男として認められると言われたと店頭の案内板に書かれています。三味線の音が聞こえてくるようです。
旅籠ふるかわは大正時代の伝統的な木造真壁造りで、後ろ側に平屋の住宅が続く江戸の町屋形式です。2階で愛嬌のあるお爺さんが手を振っています。
町おこしで始まった催しですが、いまや完全に定着し、平日でも驚くほどの人出、しかも笑顔で話しかける地元の皆さんには、商売を離れたおもてなしの心が充分に感じられました。
陣屋を中心とした商人町ながら立派な門や塀を構えた屋敷が多く、この猪瀬家の重厚な薬医門はこの地区最大のものです。
東日本大震災の復興中の建物も見られましたが、この歴史ある町並の魅力は、空襲で中心市街地の約8割が消失した水戸市住民には、羨ましい限りです。
豪商の時代を写す雛人形 片渕清子
雛人形後ろの奈落知らぬまま 矢野百合子