よし笛トゥッティ仲間のアルハープ・グループが『アルハープの世界(Aru-Harp world)』を発表されました。Youtubeで聴けますよ。
『主よ人の望みの喜びよ』『きらきら星』『クリーグルのメヌエット』『四季より冬』『さくらさくら』『G線上のアリア』6曲が聴けます。
このうちヴィバルディ作曲の「ヴァイオリン協奏曲ヘ短調『冬』の第2楽章」に、心が惹かれました。
この曲の旋律に海野洋司さんが日本語の詩をつけた『白い道』があります。
”どこまでも白い ひとりの 雪の道” で始まる三節構成。とくに2番。
♪ 北国の冬はきびしく辛いけれど 母さんと歩いた道は
あたたかい思い出だけ…(略)
忘れません 声を合わせ うたったあの歌~♪
あの東日本大震災で、母親を失った子どもたちがたくさんいました。
♪ 母さんが 歩いたように 風の中も負けないで ♪
この歌を歌ってほしい、とねがったのでした。
海野さんは、この”母と息子”のほかに、”父と息子”バージョンの詩『草原の歌』を書いています。
この歌で海野さんは、
「人はいつかこの世を去る。私がいなくてもしっかり生きてくれるだろうか。そんな子になってくれるだろうか。
どうかひとりぼっちになっても、希望をもってこのすばらしい世界をつよくいきていってほしい」
と作詞の思いを語っています。
この詩もビゼーによる歌劇「美しきパ-スの娘」のなかのセレナードの旋律に乗せています。
のちに題名を『小さな木の実』に変えられ、『白い道』と同様に、NHKみんなの歌でヒットしました。
「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏の寒サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ…」
あの宮沢賢治が、死に直面しながら書いたといわれるこの詩が、海野の詩に重なります。
賢治は生徒たちをつねに大自然にふれさせました。そうすることで、生徒たちは宇宙のこころを感じとるからだになるからだ、というのです。
海野は、賢治と同様、人間にとって何が本当に大切なのかという本質を、心象スケッチしているように私には思えるのです。
私は『白い道』『小さな木の実』ともに、旋律も詩も好きです。