昨日のことだった。
夕方、蜩が突然鳴き出した。
数匹、しかしその声はしばらくで啼き止んでしまった。
数日前のことだった。
いなくなった筈の燕が数羽この与呂見盆地に飛来し、しばらく旋回してどこかに飛び去った。
夏の終わり、ここへの別れの挨拶をしに来てくれたかもしれない。
そして、それぞれの習慣に則って、それぞれの場に発ったのだろう。
家から藍小屋までの20メートルほどの道の上に輝く物を見つけた。
よく見るとそれはちょうちょうだった。
水たまりで水を呑むためか、道に何かおいしいものがあったのか、道に止まっては舞い上がり、それを何度も繰り返していた。
飛んでいる時に、時々角度によってグリーンとブルーの羽根が光り、それが何とも美しくしばらく蝶と戯れていた。
羽根は広げないとその美しさが見られない。
さて、この蝶って見た事あったかな。それくらいここでも珍しい。
そうこうしていると、車が道を通った。
その後、数日たった今も見ていない。
図鑑を調べ、ネットで見ると、どうやらカラスアゲハらしい。
どうしてあんなに美しい羽根の色なのに烏と名付けたのか、私だったらもう少し気の効いた名前をつけてあげたのに。
美しいものは、ほんの一時だけその時を見せてくれる。
夏の終わりの思い出と言う置き土産。
カラスアゲハ
あまりに、おもしろい後ろ姿。