[期日の呼称]
・家事事件手続法は、「家事事件の手続の期日」と総称し(34条1項など)、この下位概念として「家事審判の手続の期日」「家事調停の手続の期日」「審判前の保全処分の手続の期日」を設ける。
・家事審判法下での呼称を継承し、実務では、家事審判の手続期日を「審判期日」、家事調停の手続の期日を「調停期日」というのが通例か(たぶん)(※)。
※裁判所職員総合研修所監修『家事事件手続法下における書記官事務の運用に関する実証的研究ー家事調停事件及び別表第二審判事件を中心にー』[2018]は、「審判期日/調停期日」と呼称する。矢尾和子・大坪和敏編『裁判実務フロンティア 家事事件手続』[2017]等の実務書もこの呼称を使っている。
※他方で、岡口基一『要件事実マニュアル5〔第5版〕』[2017]は、「審判手続期日/調停手続期日」と呼称する。家事事件手続法の表現を意識したものか。「審判日」との混同を避けるためには一案かもしれない。
[審判期日と調停期日の特徴]
・期日を含む手続全体を通じて、原則非公開とされる(家事事件手続法33条本文)。□概説48
・当事者に期日の申立権はない(家事事件手続法34条1項、※民訴法93条1項参照)。□概説51
・手続代理人(弁護士)が選任されている場合であっても、原則として本人出頭主義が採られる(家事事件手続法51条2項本文)。□概説49
[審判期日の種類(その1):審問期日]
・法文上は「審問の期日」と呼ばれ(家事事件手続法69条など)、正確には「ある審判期日の中で審問(も)行っている」というべきかもしれない(たぶん)。
・別表第二審判事件では、事実の調査(家事事件手続法56条1項)の一つとして、当事者の陳述が必要的とされる(家事事件手続法68条1項)。陳述聴取の方法には、「審問」「書面照会」「調査官による聴取」が考えられる。□概説53-4
・もっとも、当事者の申出があれば、この陳述聴取は審問期日を開廷して行うことになる(家事事件手続法68条2項)。実際には、申出を待たずして、裁判所が積極的に審問期日を指定することも多いだろう(たぶん)。
・審問期日が指定された場合は、原則として、当事者と利害関係参加人に通知が行われ(家事事件手続規則48条)、陳述しない他の当事者にも立会権が認められる(家事事件手続法69条本文)。
[審判期日の種類(その2):証拠調べ期日]
・法文上は「証拠調べの期日」と呼ばれる(家事事件手続法46条ただし書)。
・証拠調べについては、原則として民訴法の規定が準用される(家事事件手続法64条1項)。
[審判期日の種類(その3):それ以外の審判期日]
[参考:審判日]
・審判期日と似て非なるものとして、「審判をする日(審判日)」がある(家事事件手続法72条参照)。
・特に、別表第二審判事件では、審理終結日と審判日を定める必要がある(家事事件手続法71条本文、72条)。
裁判所職員総合研修所監修『家事事件手続法概説(5刷)』[2018]