冬桃ブログ

新盆&新野の盆踊り

 近所で新盆があった。
 「にいぼん」ではなく、このあたりでは
「しんぼん」と言うそうだ。
  コンビニで新盆用の香典袋を見つけた。
 「御霊前」とか「御仏前」は文具のところにあったが、
なぜかこれだけは」レジ横。しかも5枚セット。


 新盆を迎えたお宅は、家の前に竹を渡し、
108本の蝋燭を灯す。


 都会の一人暮らし。付き合いのある親族もなし……という
私は、こうした光景に接するのがほんとうに久しぶり。
 自分がこの日本に生まれ育ったことを不意に意識し、
ちょっと気分が引き締まった。

 S村から車で一時間ほど行ったところに阿南町新野がある。
 室町時代からここに伝わっているという盆踊りが、このたび
ユネスコの無形文化遺産に登録された。
 14日夜、台風が接近する中、初日を迎えたこのイベントを
観たくて出かけてみた。
 すでに雨が降っている。暗い山道は擦れ違う車も少ない。
 やめとくべきだったかなあ、と少々悔やんだが、なんとか
「小雨」のままで新野に到着。
 車を降りると、まだ雨が降っていた。なのに夜空の一画には
星が幾つもまたたいている。不思議な光景だった。

 盆踊りの会場である商店街。
 あらあ、人がほとんどいない。やっぱり中止かしらん。

 
 櫓はあるんだけど……。


 夜店も数軒だけど出ている。でもやっぱり人が……。


 と、心配したのだが、やがて櫓の下で、神主さんの
祝詞が始まった。ちらほらと人影が現れ、報道関係者らしき人も
カメラを構えている。


 午後九時。
 櫓の上から歌声が流れて人々が三々五々集まり、
ついに踊りが始まった! 
 雨は降ったり止んだり。時折激しくなったり。
 でもみんな、濡れるのを覚悟しているらしく、
踊り続けている。
 コロナで二年間中止になり昨年、ようやく
再開したというから、そりゃあ、雨くらいではやめられない 


 ここの盆踊りはたいへんユニークだ。
 太鼓や笛などの鳴り物が一切ない。
 人々が踊りながら「掛け合い」で歌う、その歌声だけ。
 非常にゆっくりしたテンポ。
 飛んだり跳ねたりは一切なし。
 いわゆる「風流踊り」で、最初は扇をかざしながら、
次は扇を仕舞って手踊りで。

 赤ちゃんを抱いた女性が、小さな女の子に
踊り方を教えていた。テンポが緩いだけになかなか難しい!

 
 新野の人口がもっと多かったころは、踊る人々が
通りをぎっしり埋めたという。
 しかも三日三晩、朝まで踊るのだ。
 若い男女にとっては、出会いの場でもあっただろう。

 新野盆踊り・歴史
https://www.bonodori.net/zenkoku/niino/ninohisttory/
 動画
https://www.youtube.com/watch?v=gb2dSSM39RI


 いやあ、観られて良かった!
 こうした伝統文化は、日本人にとって心の財産だと思う。
 見物しながら、故郷である丹後の宮津をずっと思い出していた。
 子供の頃、賑やかな輪の中で私も踊ったものだ。
 いつかまたあの輪の中に戻ってみたい。

宮津文化の“粋”を現代に伝える「宮津おどり」
https://www.city.miyazu.kyoto.jp/site/citypro/12413.html
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