北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

最北の島、利尻島でアサギマダラのマーキングを。

2024-09-19 15:21:26 | アサギマダラ

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最北の島、利尻島でアサギマダラのマーキングを。

 

近年、地球温暖化の影響か、生き物たちの北上傾向が見られ、蝶もその例外ではありません。アサギマダラはマーキング調査なども含め愛好家の多い蝶ですが、今から25年も昔に、もしかすると北海道最北部の離島の利尻島でアサギマダラが世代を繰り返した可能性を示唆する貴重な論文を発見しましたのでご紹介したいと思います。願わくば、この記事を見て、まさに類い稀な猛暑がみられた 2024年の 9月の今、利尻島へアサギマダラ探しに行き、さらに願わくば  利尻島  と書き込むマーキングをされてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

利尻島におけるアサギマダラの9月の記録     

利尻研究 (22): 11-12, March 2003 

上野雅史 1)・佐藤雅彦 2) 

〒 097-0401 北海道利尻郡利尻町沓形字日出町 北海道稚内保健所利尻支所 1) * 〒 097-0311 北海道利尻郡利尻町仙法志字本町 利尻町立博物館 2) 

 

利尻島におけるアサギマダラ Paramtica sita niphonicaの記録は,これまで7~8月に集中し ており(矢崎・平元,1981),同地が高緯度地域で あることから,これらの記録は第 1 化の個体が島 外より飛来したものと考えられてきた. 

しかし,筆者らは,これまでの記録時期より遅 い9月中~下旬における本種の確認を行い,これら の個体が利尻島で羽化した第 2 化の個体の可能性 もあったため,ここにその記録を報告することとし た. 

 

筆者らが 1999 ~ 2001 年までに確認できたアサ ギマダラは以下のとおりである. 

【1999 年9月の記録】
利尻町沓形森林公園 13-IX-1999(1 ♂ , M. Satô) 

【2000 年9月の記録】 

利尻町三眺山山頂 利尻町沓形見返台 利尻町沓形字新湊 

23-IX-2000(1 ex. 目撃 , M. Ueno) 24-IX-2000(2 ex. 目撃 , M. Ueno) 24-IX-2000(2 ex. 目撃 , M. Ueno) 

利尻町沓形字栄浜 24-IX-2000(1 ex. 目撃 , M. Ueno) 利尻町沓形字長浜 24-IX-2000(1ex.目撃,M.Ueno) 利尻町沓形字富野 24-IX-2000(1 ex. 目撃 , M. Ueno) 

 

 

 

 

【2001 年9月の記録】
利尻町沓形字神居 29-IX-2001(1 ♀ , K. Nanba) 

9月の中旬から下旬に記録されたこれらの個体 は,渡島半島などからの2化目の個体が飛来したも のとも考えられるが,特に 1999 年および 2000 年 が猛暑の年であり,矢崎・平元(1981)も示唆す るように,食草の豊富さや積算温度などから判断し て十分利尻島において2化目の個体が羽化した可能 性も考えられた. 

また,本種は,利尻島で猛暑とならなかった 2001 年でも,複数の第 1 化と考えられる飛来個体 が7月 17 日の利尻山において目撃され(堀繁久氏, 私信),利尻山の初冠雪(9月21日)後,雌1頭(図 1)が 9 月 29 日に難波克子氏(利尻町在住)によ り採集されていることも分かった.この記録は利尻 島においてもっとも遅い時期における本種の確認となった.

 

 

 

 

 

これらのことから,7~8月に飛来した第1化 の成虫が島内に豊富に自生するイケマ Cynanchum caudatum(図2)などの食草に卵を生みつけ,そ の卵から第 2 化の成虫が羽化した可能性も大いに ありうると筆者らは考えている.今後は,成虫の調 査と平行して,食草に産みつけられた卵及び幼虫等 の調査が急がれるところである. 

 

 

 

 

 

謝辞 

 難波克子氏には,利尻町立博物館に貴重な標本を

寄贈して頂き,堀繁久氏には,貴重な情報を頂き,

誌上を借りて厚くお礼申し上げる.

 

 

参考文献

 

田中伸一 , 2001. 利尻島・礼文島でアサギマダラ目 撃 . 月刊むし , (365): 48. 

矢崎康幸・平元 東, 1981. 利尻島の蝶類. jezoensis: 1-2, 7-8, 21, 26.

 

 

 

 

なお、挿入されている利尻島の写真は2009-9-26 〜28に私が利尻島へ渓流魚の調査に行ったときのものです。 

 

 

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コスモスに吸蜜する美しいキアゲハを激写。

2024-09-12 14:50:33 | キアゲハ

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コスモスに吸蜜する美しいキアゲハを激写。

 

2024-8-30 (金)    晴れ  30℃

 

 

今日は、かなり暑くなりそうなので山へ行くのは中止。

 

 

 

午前10時頃。 庭のピンクのコスモスの花にキアゲハ1オス飛来。吸蜜している。

 

 

 

かなり近づいても意外なことに私を全く気にせず花から花へ、せっせと吸蜜を続けている。

 

 

 

 

コスモスの花は蜜量が多いのか、吸蜜時間は一回30秒以上もあり、やたらと撮影しやすそうなので、家にオリンパスToughをとりにゆき、それで連写撮影し続けた。

 

 

 

いくらでも撮影できるのだが、あまり枚数を重ねると後で写真の整理が大変なので、適当なところで撮影をやめ、その後はチョウを眺めた。

 

 

 

こんなに警戒心のないキアゲハは、初めて見た。私から全く殺気が出ていないのを微妙に感知しているかのようだ。

 

 

 

ところでチョウが好きになって半世紀以上になりますが、恥ずかしながらコスモスに吸蜜するキアゲハは初めて認識し、今回、けっこう気に入った写真もたくさん撮れたのだが、さてネットで見るとコスモスとキアゲハの写真はゴマンとあって、あれまといった感じ。

 

 

 

 

 

いわゆる私のような一般的なパターンのチョウ愛好家はどうしても珍品稀種に気が行ってしまう傾向があります。北見市あたりではごく普通種のキアゲハ、しかもどこにでもあるコスモスの花に吸蜜していても、これまでは私の目には止まらなかった可能性があります。

 

 

最近は年のせいか体力の衰えとともに珍品稀種を追いかけるのに飽きてしまい、みじかな普通種の方に思いかけない新鮮味や美しさを感じるようになった昨今です。

 

 

 

 

 

 

そのうち、もう1匹のキアゲハが現れると、絡み合いながら2匹ともどこかへ行ってしまいました。

 

 

 

1時間後、キアゲハ1匹が飛来したが、今度はコスモスに吸蜜することはなく庭を飛び回っていました。

 

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ある日のミヤマカラスアゲハ夏型オスの話

2024-09-04 15:12:33 | ミヤマカラスアゲハ

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ある日のミヤマカラスアゲハ夏型オスの話

 

 

20XX-7-23 (日) 薄曇り 22℃ 朝は肌寒く出撃しようかどうしようか迷う天候だ。

 

 

朝から庭の草取りをかなりやった。

 

 

午前11時。行こうか行くまいか迷っていたが、やっと決心して近郊の湧別川水系支流源流域に チョウとオショロコマの調査に出発。

 

 

森へ入ってすぐ、いつもの林道分岐広場は100頭規模のエゾスジグロ大吸水集団2つ。せっせと撮影。

 

 

コムラサキ、シータテハ夏型、アカマダラ2化 サカハチチョウ2化 メスグロヒョウモン♀、ミドリヒョウモン交尾中ワンペア、ヒメキマダラヒカゲ、オオチャバネセセリ、ミヤマカラスアゲハなど多数が発生していて撮影。ヨツバヒヨドリバナが脇道などにびっしり開花しておりこれに吸蜜にくるチョウが多い。ヨツバヒヨドリバナにはもう少しするとキタベニヒカゲが群れる。

 

 

ミヤマカラスアゲハ夏型オスの吸水集団はあちこちに見られた。しかし接近すると大抵やたらと敏感な1個体がいて、そいつが最初に舞い上がると、たちまち全部がシャッター直前に舞い上がることの連続。思い余って一網打尽にネットをかぶせると10数頭がネット内で大暴れ、ことごとく尾状突起破損などで破損品になってしまい、やはり1-2頭ずつ採集するしかない。

 

 

ということで1匹づつ採集したミヤマカラス夏型オスの手のひら写真(同一個体)でした。

 

 

 

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我が家の庭で自然発生を繰り返すジョウザンシジミ。

2024-08-29 21:18:19 | ジョウザンシジミ

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我が家の庭で自然発生を繰り返すジョウザンシジミ。

 

2024-5-19 ( 日 )   晴れ~薄曇り 23℃   夜は冷え込む

 

 

午前11時。庭に植えたイチゴに撒水しようとすると何か小型のシジミチョウがチラチラ低く飛んでいるのに気づいた。

 

接近してみると、なんとジョウザンシジミの春型オスだった。この数年はジョウザンシジミの飼育はしていない。ということは全く気づいてはいなかったものの、数年にわたって我が家の庭で自然発生を繰り返していたことになる。

 

デジカメを取りに家に戻っているうちに、いったん見失ったが、その後エゾキリンソウの群落の上に再度ジョウザンシジミ春型オスを見つけた。

 

意識的に庭にジョウザンシジミを放蝶した記憶はなく、飼育中に幼虫や羽化したチョウが逃げ出したものだろうか。また鉢植え飼育に使ったエゾキリンソウの丸裸に葉を食べられた株を庭に植え直す際に幼虫や卵がついていたのかもしれない。

 

 

100t坪以上はある我が家の広い庭にはおびただしい量のエゾキリンソウがあちこちに群落を作り、蜜源になる花も種々豊富、アリも何種類もいるので幼虫と共生してクモなど外敵から守ってくれる種がいるのかもしれない。いずれにせよ、知らないうちにジョウザンシジミがいついて世代を繰り返していたものと思われました。

 

自然界でも我が家の庭よりはるかに小規模な発生地は稀でないので、我が家の庭がジョウザンシジミの発生地になってくれると私としてはこんな楽しいことはない。 かって、私の実家の庭には母がエゾノウワミズザクラを切り倒すまでの10数年、リンゴシジミが発生していたこともあるのです。

 

びっしりとエゾキリンソウの群落です。

 

 

さて、今後、我が家の庭に居着いたジョウザンシジミの運命は如何に???。

 

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エゾスジグロチョウの大集団の下にあったのは。

2024-08-16 17:20:04 | エゾスジグロチョウ

 

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エゾスジグロチョウの大集団の下にあったのは。

 

20XX-7-29 (土) 晴れ 27℃

 

この日、北見市近郊の山奥の渓流にヤマベ釣りに出かけました。

 

 

この時期、オホーツクの山奥の林道ではエゾスジグロチョウ夏型が大挙して発生し、羽化したてのオスたちがしばしば大吸水集団を作りその光景は圧巻です。

 

普通は水たまりや湿った地面などに多いが、なんとなくいつもとは違ったような違和感を感じる集団を発見しました。

 

おびただしい数のエゾスジグロチョウ集団の中にはキバネセセリやアカマダラ 夏型の姿も見えます。

いつものことだが、このようなエゾスジグロチョウの大集団の撮影は、そう簡単ではありません。

 

 

これ以上は無理というほどそーっとそーっと注意深く接近してシャッターを切ってゆきますが、大集団の中にはどうしても見張り役みたいな敏感な個体がいて、いち早く私の接近を感じて舞い上がってしまいます。

 

 

それにつられて次々とチョウが舞い立って、最後は少数のチョウが残るのが普通です。

 

 

今回はズームを効かせてやや遠くから撮影しながら接近しましたが、やっぱり同じで当初の見事な大集団を撮影するには至りませんでしたが、まあまあの集団写真が撮れました。

 

 

 

ほとんどのチョウが飛び去ってしまったところでよく見ると、チョウたちはエゾタヌキの半ばミイラ化した屍体に群がっていたことがわかりました。

 

なんらかのの理由で( 車にはねられる、いわゆるロードキルが多い )非業の最後を遂げたエゾタヌキ君はもうすぐ林道に吸収されて、毛は少しづつ風に飛ばされて、やがて誰にも知られず消えてゆくのだと思います。

 

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