原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

ついに野鳥からもウイルスを検出!

2013年04月19日 08時24分43秒 | 海外

 

ボストンの爆弾テロに注目が集まり、あまりスポットが当たっていないが、4月17日付の新聞報道はドキリとさせられた。中国の鳥インフルで、ついに野生のハトからもウイルスが検出されていた。3月末の鳥インフル感染の情報公開から、着実に範囲が広がり、中国全体では感染者は一日経過するだけで78人から83人(死者16人)に増えていた。中国側は依然として人から人への感染はないとしているが、17日には院内感染の可能性を示唆する報道があった。人から人への感染はパンデミックにつながる重大な問題。いまだにすべての情報を公開しない中国、同時にWHOの怠慢な対応に不安が広がる。

 

中国の隠ぺい体質はすでにSARSの時に明らかであったように、発病を確認してから一年も隠していた。この時の香港の責任者が現在のWHOの事務局長なのである。これだけでもかなり問題であるが、今さらそれを言ってもしょうがない。少なくても鳥インフルに関しては約4週間の隠ぺいであったから、少しは進歩しているということなのだろう。

それにしてもこの事態になっても、人から人への感染を否定する中国。もともと国際的な感覚が全くない国だからこうなることは予想できた。だが鳥と人、そして鳥と豚、豚と人というトライアングルの中でウイルスが変容していき、人と人への感染につながる可能性は極めて強い。鶏肉はよく煮たり焼いたりすれば問題ないという次元の話ではない。

中国衛生部(日本の厚労省)の衛生部インフルエンザ大流行準備計画と緊急対策案によれば、現在、黄色の段階という「フェーズ2」に当たるらしい。だが人から人への感染を認めると「フェーズ3」にランクアップ。危険認識が一段と強くなる。この上と言えば「フェーズ4」のパンデミックとなる。たぶん国家的威信にかかわるだけに、極力これを拒否したいのだろうが、気持ちだけでは解決するわけがない。国際的な知恵を結集すべき時なのに、依然として国内事情ですまそうとする国家的な体質が見事に邪魔をしている。

 

野鳥に感染しているということはもはや国内だけの問題ではない。渡り鳥を経由して日本をはじめアジア全体、ひいては地球全体の問題に拡大する。こうした常識を持たない国は本当に迷惑である。SARSの教訓は全く生かされていない。WHOの事務局長も自分の名誉のためにも本格介入すべきなのだが、中国政府のごり押しで選出されただけに、何も言えないのか。もっとも彼女を無理やり選出させた裏に、中国時事情をできる限り隠ぺいするための策略があったとしたなら、とんでもないことだ。

 

こんな報道の影で、妙なニュースが漏れ流れている。揚子江に流れた無数の豚の死骸。川に浮かぶ死んだ魚。水道から赤い水の流出。スズメの大量死などなど。そのつど、中国の衛生部は人体に影響ないと発言。それが嘘と分かると、幹部を首にして責任をかわすだけ。抜本的な解決はされていない。さらに不気味なニュースが流れている。河南省洛陽市の郊外にある東屯村というところで、一夜でブタ38頭、犬89頭が大量死した。化学工場の排出空気が原因か、と言われている。これについても素早く鳥インフルとは無関係と発表された。はたしてどうなっているのだろうか。中国の内陸部ではとんでもないことが起き始めているのではないのだろうか。黄砂に交じるPM2も気になる。中国を起点として、病原菌が世界に巻き散らかされているような気がしてならない。しかも、この事実のすべてを知る中国国民はあまりいないであろう。事実が公開されていないからだ。

こんな事情の中で、中国政府はさらに情報隠ぺいを促進する政府方針を打ち出した(これも17日)。なんと、海外情報の報道引用を無許可で使用することを禁止したのである。明らかに海外から国内に流れる情報の拡散を防止する策だ。なぜこんなことをするのかと言うと、都合が悪いからに決まっている。そこまでして隠したくなる情報が国内に満載しているということなのだ。

 

中国は北京オリンピックの開催に合わせ、懸命に汚染の浄化や清潔感を取り繕った。しかし、それは見える範囲の話で、裏はほとんど変わっていない。ごみは山のように裏道に捨てられているし、小さな川に浮かぶ汚染ごみの量は想像をはるかに超えている。彼らは言う。環境より経済発展が重要だからと。そのために多少の汚染は目つぶると、堂々という。現在問題となっている空気汚染などはすでに二十数年前から指摘されていたこと。実情はその時とほとんど変わっていない。汚染国家そのものなのである。日本では原発の開発はもちろん再稼働でさえ大きな問題となっているが、中国の放射能問題は30年前のシルクロードの汚染(原爆実験による)から全く変わっていない。原発の危険性を日本で訴える前に、中国の現状を見てから叫んでほしいものだ(今後さらに50基の原発の新開発が計画されている)。もっとも軍の機密に関することだから一般公開はされない。これまでどんな事故が起きているかなど、世界は誰も知らない。福島原発の事故の際、大量の中国人が日本から脱出している。これは原発事故の怖さを知っている人たちだからだ。日本に来ている人たちはただの中国人ではない。エリートか政府関係者(学生も含めて)たち。原発事情にも詳しい。すでにこんな事故は中国で頻発していたからこその素早い対応なのである。

 

野鳥に感染した鳥インフルエンザH7N9の恐怖はいよいよ海を渡る可能性がでてきた。どうして防御できるのか。特効薬や画期的な防御策が見つかるまで、野鳥天国の北海道の憂鬱が続きそうだ。人から人への感染が現実になれば、放射能汚染どころではなくなる。

中国よ、他国に迷惑をかけるのは、もういい加減にしてくれないか。少なくても情報公開を正確にしてほしい!


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