原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

いまこそ、メディア・リテラシーを!

2011年03月29日 09時01分42秒 | ニュース/出来事
原発問題がなかなか解決しない。解決の糸口はすぐそばにありながら、到達できないもどかしさを感じる。文科系には理解できない放射能や原始力の話だけに、流言飛語、風評被害の類が堂々と国道を闊歩しても気づかないのでは、という恐れを感じる。テレビに出てくる専門家という人たちも分からない。ある人は平気だと言い、ある人は大変だと言う。いったいどっちなんだと叫びたくなる。たしかに政治家の指導力不足、東電のお粗末さが目立つが、今はそんなことを言う時期ではない。一刻も早く終息しなければならない。その中心にいるメディアが何か正当でないと感じてしまう。

冷静な日本人であることが当たり前に感じていたが、どうもそうではないようだ。福島からの避難者の宿泊を拒否したホテルがあったり、最近では除染のクリーニング証明書がないと診察を受けない病院もあるとか。こんな非科学的な医者がまだ日本にいるとは驚きだ。どうして?と同じ日本人でも首をかしげたくなる。いつの間にか、一億総白痴と呼ばれた昭和の時代に戻ったのだろうか?日本人ってこんなにバカなはずはないと思うのだが、やはりこれも風評被害の一部なのだろう。

その要因を探っていくと真っ先にぶつかるのがテレビ報道。とくにニュース枠のバラエティ番組(?)。大震災の報道で現地にのこのこ出かけるキャスターを見て思った。総白痴の理由が少しわかった。高級風なコートの上にヘルメットをかぶって、被災地にやってきました、と叫ぶ。やることはあれは何これは何?と聞くだけ。通りすがりの人にどこへ行くの?そんなこと聞いてどうなると言うのだ。それより支援物資だろう、と突っ込みたくなる。
こうした人たちは原発汚染地域には絶対入らない。せめて屋内退避区域に入って、支援物資を届けるとか、こうして入れば大丈夫です、などの実践をして見せるくらいの根性を見せてほしい。だから風評被害が防げる言わないが、すくなくてもヘンな想像は防げる。

テレビはもちろんだが、活字媒体もおかしい。現時点では読売も朝日もサンケイも手にしていないので、どうしても身近にある北海道新聞がやり玉の中心となる。
原発問題が発生して以来、新聞紙上に躍ったタイトルだけを並べると凄い。放射能流出、一万倍の濃度、原子炉崩壊か、20キロ圏内に避難命令、野菜の出荷停止、チェルノブイリの再現、ついに被曝被害者がうまれた、など延々と続く。いまにも日本が沈没しそうな見出しばかり。冷静に内容を読んでみると、あくまで可能性の話で、最後は現時点では特に人体に影響はないと結ばれる。それならそんなに刺激的にするなよ、と言いたくなる。何かを煽っているのだ。
まるで昭和時代のカストリ誌のタイトルだ。例えがちょっと古いか。芸能雑誌の見出しと言った方がいいかな。いずれにしても新聞がやることではない。
あげくの果てに、泊原発(北海道にある原発)をどう思うかとか、原発に対しての感想などのアンケートまで取っている。新聞社の意思が丸見えだ。この時期にこんなアンケートをして原発賛成などという人は相当に詳しい人しかいない。大半は反対に一票を投じる。それを世論だと言うのは完全におかしい。
前も述べたが私は原発容認派では決してない。しかし、こんなアンフェアなアンケートには絶対与しない。
いま必要なのは、目の前にある問題の解決が最重要。その後で原発の実態を明確にして、日本に絶対に必要なのか、替わりがないのかを、安全性を含めて徹底して議論するべきだ。その上でどちらかを選定するアンケートを取るべきであろう。新聞が世論を誘導しては絶対にまずい。

週刊誌アエラの表紙が問題となっている。中身を見ていないが表紙だけは見た。防護マスクがアップで映り、放射能が来る、というタイトル。これはまさに恐怖を押し付ける脅迫映像である。さすがに朝日新聞系である。編集長が誤解を与えたとしたら申し訳ないと、通り一遍の謝罪をしていたが、目的が丸見え、謝る姿勢などかけらも感じさせない。さすが朝日系(ほめてない)だ。
メディアの情報暴走はこれ以上見たくない。自然にマスメディアの報道から遠ざかることになる。

あのCNNウェブサイトにとんでもない情報が乗った。東京から大量の人が逃げ出し、ゴーストタウンになったと言うのだ。福島原発のためである。アメリカに放射能がやってくると言う噂が流れ、西海岸ではヨウ化カリウムを買い漁る人で大騒ぎとなったらしい。最後は大統領が出てきて米国には影響ないと宣言しなければならなくなった。その理由を日本が情報を隠ぺいしたからだと言っているらしい。たしかに当初はそんな感じはあったが、いまの日本でそんな隠ぺい工作などできる余裕がない。世界中が見ているのである。隠ぺいが発覚した時には東電はもちろん民主党もどんなバッシングを受けるか分からない。そんなリスクを背負えるわけがない。逆に早すぎる情報公開でミスを連発しているくらいなのだ。しかしながら、英国のメディアでも同じような記事が登場している。風聞というのは世界を走るから怖い。

これは情報報道におけるほんの一例に過ぎない。我々を惑わすニュースという名の誤報が実はたくさんある。テレビをはじめ新聞、雑誌、インターネット、ツィッターなどで情報が巨大な津波同様に我々に押し寄せる時代である。その洪水の中から真実を探す努力をしなければ、あるいは自分の判断力を持たなければ、情報に左右されて、道を見失う。流言飛語による風評被害などはそのいい例なのだ。しかもその元にマス・メディアがあるという事実を忘れてはならない。

世界に広まる噂の発生源は日本人の行動にもある。福島原発の放射能が怖くて、東京から疎開した人もいる。これなども一つの例だ。ほんのわずかの人の小さな行動が大きく取り上げられ、世界を巡り、いつの間にか東京ゴーストタウンの噂となる。意味も分からずトイレットペーパーを買い占めている人もいた。こんなことも要因となっている。日本人が混乱していると世界は見るからだ。
中国人が大挙して帰国している。日本より中国が安全だと言っていた。明らかに無知だ。農薬まみれの野菜、黄砂に交じる放射能が蔓延している中国の事情を彼らは知らないのだろうか。でも謂れもなき恐怖感から買い占めに走る日本人はこの中国人を笑えない。

国難とも思える現状の日本。情報はまさに無政府状態。テレビ、新聞、インターネット、ツィッターなどで無制限に飛び込んでくる。最近はチェーンメールなどというバカなものを発するものもいる。
いまこそメディア・リテラシーを高めなくてはならない。冷静な日本人として、偏向報道に左右されない、自分の主体的な判断力を身につけるようにしなければと、心から思う。

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2 コメント

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ブラックボックス・・ (numapy)
2011-03-29 09:30:04
それにしても人は懲りないものですね。
第二次大戦時、マスメディアの「大本営発表」は、どれだけ大衆を煽ったか?そして戦後どれくらい豹変したか?受ける側の大衆は、読者としてその報道にどれだけ加担したか?なぜそうなるのか?
根源的な問題に、人は知らないものに恐怖する、という特性がありそうです。
ヘリコプターを見たことがない未開にヘリコプターが舞い降りた時、彼らはヘリコプターから降りた人々を、「轟音を発する大きな鳥から神が舞い降りた」としたそうです。
原発は、最終的には“ブラックボックス”です。中で何が起こってるのか、本当のところ誰にもわからない。10箇所以上の原発取材の感想がこれ!でした。人は、こんなものをつくってしまったんだ、と思ったのをいまだに鮮明に思い出します。
想定できないものを想定していた (原野人)
2011-03-30 08:02:45
想定外と言う言葉が飛び交っていますが、もともと想定などしていなかったという話ですよね。
過去の地震の最大をとったと言っていても、それは想定できないから過去のデータを基準にしたということで、それ以上は人間として無理だったということをカミングアウトしたわけだと思います。人智を超えたとかいうのもおかしいのかも。もともと自然は人智を超えているわけですから。
ブラックボックス。よくわかります。なにかあった時でも人間が立ち入ることもできないものをこれまで平然と作っていたのですから。考えてみれば恐ろしいものをよく平気で作っていたものだと思います。
猛反省して、より安全な道を探すしかないですね。

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