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養鶏における配合飼料の功罪

2012年10月22日 19時37分23秒 | FB(フェイスブック)から
    【 養鶏における配合飼料の功罪 】

放し飼いで素敵な養鶏をされてる、富樫さんから寄稿を頂きましたので承諾を得て掲載いたします。


...
引用開始


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ここで記載する事柄は、主に畜産の中でも採卵鶏について述べてあります。農場によって経営手法など多種多様にわたっていますので、この表記が全てに当てはまるものではないこと、特定の農場を指すものではないことをご承知おきください。
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今の日本にある畜産農場のほとんどが、安価を実現する配合飼料がなければ経営が立ち行かなくなってしまうほどの状況に置かれています。

より短期間で卵を産むようにすることで「卵を産まずに食べている期間」が少なくなりますから、それだけランニングコストが軽減され経済効率が上がります。今後も「もっと早く産ませるための」品種改良が進んでいくことは間違いありません。


  この経済効率を支えるのが配合飼料なのです。


成長期にあっては必要なカロリーや栄養分が摂取できないと成長障害を招くリスクが高く「卵を産む」という目標を達成できない鶏や、成長途中で死亡する鶏がでるなど、卵を産む前から「生産効率」が落ちてしまいます。それらの問題をカバーし回避する重要な役割を、配合飼料は担っているのです。


それでは、どんな配合飼料を与えるのでしょうか。
以下は、一般的な成鶏用の配合飼料の主な原材料で、おおまかに次の5つに分類できます。
1 穀類(こうもろこし、マイロ、麦、米など)
2 そうこう類(ふすま、米ぬかなど)
3 植物性油かす類(大豆油かすなど)
4 動物質性飼料(魚粉など)
5 その他(炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなど)

(参考)上記の原材料が写真とともに、紹介されている飼料会社のサイト
http://www.kyodo-shiryo.co.jp/product/product_01.html


配合飼料の配合割合や与える時期などはもちろん、配合飼料の購入先や独自で加える原料の種類・配合方法などのノウハウを外部へ教えることはまずありません。この最大の理由は「餌」が卵の品質に最も影響する重要な要素のひとつであり、かつ餌の価格が最大のコストであるからに他なりません。

配合飼料は効率化を図る目的追求の産物であり、結果として卵価の低価格を陰で支える功労者なのです。

味の違いや見た目などの差別化が限られる卵の世界では品質にかける手間暇や努力を感じて受け止めてくれる人がとても少ないのが現実です。遺伝子組み換えのトウモロコシを与えればコストで大きな「改善」があっても「卵の味」はほとんど変わりません。ですから、経済効率を最優先にした場合に使用もやむをえない場合があるのです。

これは生産者・消費者双方にとって、非常に厄介で注意すべき点であると思います。

それぞれの生産者が、養鶏をどう捉ええるか、安全性や経済効率も含めどの方向を目指すかによって、中身も配合割合も、全く違った餌になります。(もちろんメーカーの作った配合飼料を全く使わず、独自で配合するという選択肢もあります。)

一般的に穀類が最も配合割合は大きいのですが、個々具体的には千差万別。中でも特に使用割合が大きいトウモロコシや大豆は、世界の穀物価格上昇を受けて、餌の価格に反映されてきているため、それよりも割安なほかの代替原料を利用する動きが活発です。

例えば、飼料用小麦、DDGS(トウモロコシ蒸留粕・・エタノール製造時の副産物)といった輸入原料や、飼料用米、エコフィードなどの国産原料が、その主な対象原料です。また、同じトウモロコシでも遺伝子組み換えのものは生産規模では圧倒的で、非遺伝子組み換えのものよりも安価に入手できます。

鶏が食べるもので卵の品質は大きく左右されます。

一番問題なのは経済効率が最優先となってしまっている、ということだと思っています。我々が向き合っているのは生きている動物だということを忘れ、まるで鶏を機械のよう配合飼料だけに頼って切り抜けようとすると無理が生じてしまいます。そうなると本来投与する必要性が無いものを用いたり、餌に添加しなければならない状況に陥るのです。

その先には安価というだけで卵を買い求める消費者が存在しています。配合飼料だけが悪いのではなく、それを使う側と消費者の意識の双方に問題があるのです。

この連鎖をどこかで断ち切らないと永久に変わらないでしょう。少なくとも、国内の養鶏場が激減してもそれに替わる外国からの「とにかく安い卵」が大量に輸入されて安さを最優先とする人たちの胃袋を満たす、というのは想像に難くありません。

卵を消費者が安心して食べれるように供給するのが私たち、生産者の役割。しかし、消費者がより安価なものだけを求めすぎると「安心・安全」を維持するには限界があります。

農場経営者の良心に頼るだけではあまりにも心細いとしか言いようがありません。

餌や生産される卵についてきちんと情報を公開している農場などを探し、納得できたならその畜産物を「買い支える」ことが安心と安全を担保する上で非常に重要な鍵になると考えます。

安全安心な食べ物には、それを担保する適正な価格があります。

最後は、生産者と消費者相互の信頼関係が全てではないでしょうか。


オークリッチ 富樫直樹

http://www.tamagotofo.com/


写真: ・      【 養鶏における配合飼料の功罪 】    放し飼いで素敵な養鶏をされてる、富樫さんから寄稿を頂きましたので承諾を得て掲載いたします。      引用開始      =======  ここで記載する事柄は、主に畜産の中でも採卵鶏について述べてあります。農場によって経営手法など多種多様にわたっていますので、この表記が全てに当てはまるものではないこと、特定の農場を指すものではないことをご承知おきください。  =======          今の日本にある畜産農場のほとんどが、安価を実現する配合飼料がなければ経営が立ち行かなくなってしまうほどの状況に置かれています。    より短期間で卵を産むようにすることで「卵を産まずに食べている期間」が少なくなりますから、それだけランニングコストが軽減され経済効率が上がります。今後も「もっと早く産ませるための」品種改良が進んでいくことは間違いありません。        この経済効率を支えるのが配合飼料なのです。      成長期にあっては必要なカロリーや栄養分が摂取できないと成長障害を招くリスクが高く「卵を産む」という目標を達成できない鶏や、成長途中で死亡する鶏がでるなど、卵を産む前から「生産効率」が落ちてしまいます。それらの問題をカバーし回避する重要な役割を、配合飼料は担っているのです。      それでは、どんな配合飼料を与えるのでしょうか。  以下は、一般的な成鶏用の配合飼料の主な原材料で、おおまかに次の5つに分類できます。  1 穀類(こうもろこし、マイロ、麦、米など)  2 そうこう類(ふすま、米ぬかなど)  3 植物性油かす類(大豆油かすなど)  4 動物質性飼料(魚粉など)  5 その他(炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなど)    (参考)上記の原材料が写真とともに、紹介されている飼料会社のサイト  http://www.kyodo-shiryo.co.jp/product/product_01.html      配合飼料の配合割合や与える時期などはもちろん、配合飼料の購入先や独自で加える原料の種類・配合方法などのノウハウを外部へ教えることはまずありません。この最大の理由は「餌」が卵の品質に最も影響する重要な要素のひとつであり、かつ餌の価格が最大のコストであるからに他なりません。    配合飼料は効率化を図る目的追求の産物であり、結果として卵価の低価格を陰で支える功労者なのです。    味の違いや見た目などの差別化が限られる卵の世界では品質にかける手間暇や努力を感じて受け止めてくれる人がとても少ないのが現実です。遺伝子組み換えのトウモロコシを与えればコストで大きな「改善」があっても「卵の味」はほとんど変わりません。ですから、経済効率を最優先にした場合に使用もやむをえない場合があるのです。    これは生産者・消費者双方にとって、非常に厄介で注意すべき点であると思います。    それぞれの生産者が、養鶏をどう捉ええるか、安全性や経済効率も含めどの方向を目指すかによって、中身も配合割合も、全く違った餌になります。(もちろんメーカーの作った配合飼料を全く使わず、独自で配合するという選択肢もあります。)    一般的に穀類が最も配合割合は大きいのですが、個々具体的には千差万別。中でも特に使用割合が大きいトウモロコシや大豆は、世界の穀物価格上昇を受けて、餌の価格に反映されてきているため、それよりも割安なほかの代替原料を利用する動きが活発です。    例えば、飼料用小麦、DDGS(トウモロコシ蒸留粕・・エタノール製造時の副産物)といった輸入原料や、飼料用米、エコフィードなどの国産原料が、その主な対象原料です。また、同じトウモロコシでも遺伝子組み換えのものは生産規模では圧倒的で、非遺伝子組み換えのものよりも安価に入手できます。    鶏が食べるもので卵の品質は大きく左右されます。    一番問題なのは経済効率が最優先となってしまっている、ということだと思っています。我々が向き合っているのは生きている動物だということを忘れ、まるで鶏を機械のよう配合飼料だけに頼って切り抜けようとすると無理が生じてしまいます。そうなると本来投与する必要性が無いものを用いたり、餌に添加しなければならない状況に陥るのです。    その先には安価というだけで卵を買い求める消費者が存在しています。配合飼料だけが悪いのではなく、それを使う側と消費者の意識の双方に問題があるのです。    この連鎖をどこかで断ち切らないと永久に変わらないでしょう。少なくとも、国内の養鶏場が激減してもそれに替わる外国からの「とにかく安い卵」が大量に輸入されて安さを最優先とする人たちの胃袋を満たす、というのは想像に難くありません。    卵を消費者が安心して食べれるように供給するのが私たち、生産者の役割。しかし、消費者がより安価なものだけを求めすぎると「安心・安全」を維持するには限界があります。    農場経営者の良心に頼るだけではあまりにも心細いとしか言いようがありません。    餌や生産される卵についてきちんと情報を公開している農場などを探し、納得できたならその畜産物を「買い支える」ことが安心と安全を担保する上で非常に重要な鍵になると考えます。    安全安心な食べ物には、それを担保する適正な価格があります。    最後は、生産者と消費者相互の信頼関係が全てではないでしょうか。      オークリッチ 富樫直樹    http://www.tamagotofo.com      引用終了‎

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