鹿島アントラーズ原理主義

愛する鹿島アントラーズについて、屈折した意見を述べていく場です。

小笠原満男、震災から一年

2012年03月10日 | Weblog
鹿島・小笠原 震災1年、子どもたちの笑顔のために…
2012/3/10 7:00

 岩手県出身のJリーガー、小笠原満男(鹿島、32)は東日本大震災の発生直後から被災地の復興を支援してきた。気にかけているのは被災地の子どもたちの心の問題だ。震災から1年となるいま、この元日本代表MFはどんな思いを抱いているのか。(聞き手は編集委員 吉田誠一)


福島県の子どもたちと交流する鹿島の小笠原(1月7日、福島市)=共同

 翌日にアウェーの清水戦を控えた昨年3月11日、チームバスで移動中に地震にあった。鹿島アントラーズもクラブハウスやスタジアムが損壊し、チームは活動休止に。小笠原は車で被災地を訪れ、水や食料を届けた。

 「あのときのことを忘れたことはない。あれから、もう1年になる。しかし、なかなか復興は進んでいない。いまは、すべてが仮の状態。仮設住宅に仮設店舗。がれきは街中からどかしたけれど、まだ山積みになっている。車が山積みのところもある。いったい、いつになったら元の姿に戻るのか。もどかしくて仕方がない」

 昨年5月、小笠原ら東北6県出身のJリーガーが東北サッカーの復興を支援するため、「東北人魂を持つJ選手の会(略称・東北人魂)」を設立した。愛用のスパイクやユニホームなどを持ち寄り、チャリティーオークションを実施。約716万円の売り上げを資金にして、被災地の子どもたちをJリーグの試合に招待してきた。

 「あの日に見た光景を子どもたちは忘れられないはず。だから、ストレスを発散させて、笑顔を取り戻させてあげたい。でも、被災地では走り回れる場所、サッカーをするグラウンドがない。仮設住宅の周りでサッカーをしていたら、うるさいと言われたという話も聞いた」

 「僕にも同じような少年時代があった。当たり前のようにサッカーをしていた。その当たり前のことを、被災地の子どもたちはできなくなっている。そういう子どもたちのために、スポーツをする環境を整えてあげられないものかと考えている」


 東北人魂は1月5~8日に岩手県宮古市、仙台市、福島市、いわき市などでイベントを開催。被災地の子どもたちを集めてフットサル大会を開くとともに、Jリーガーがプレーを見せ、サイン会も行った。

 「子どもたちとサッカーをしたときに『頑張れよ』と声をかけたら、『やりたくても場所がない』と言われた。子どもたちに話しかけるときは、使う言葉には気を使っている。『家に帰ってからも頑張れよ』と元気づけたつもりなのに、『家は流されちゃった』ということがあるので……。そのへんは本当に難しい」


紅白戦でパスを出す小笠原=共同

 「いま、優先されているのは住宅やショッピングセンター、病院などを建てること。グラウンドをつくる土地はないと言われる」

 「そんな状況だから、活動停止になるチームもある。子どもたちが散ってしまって、11人そろわないチームもあるという。グラウンドができるとしても、3年後と言われた。それでは、新しくサッカーを始める子がいなくなってしまう」


 被災地のスポーツを復興させるためにはグラウンドなどの施設の整備が不可欠。そのためには、だれに、どう働き掛けたらいいのかと小笠原は頭を悩ましている。

 「きちんと企画して、プレゼンテーションをしないと、支援者は見つからない。だから、いまプレゼン術を学ぼうと思っている」

 「企画のイメージはあるんです。いざとなったら避難所にもなるように、食料や水を備蓄しておく。そんな震災も想定したスポーツ施設をつくりたい」

 「スポーツカフェみたいなものを併設して、夕方になったらお年寄りがテレビで大相撲中継を見るために集ってくる。週末はみんなでサッカー中継を見る。いろんな方と話していくうちに、イメージができてきた。しかし、つくるにはお金がかかる。だから支援者を見つけたい」


 東北人魂は1年限定でスタートしたが、このほど活動の続行を決めた。今季も被災地の子どもをJリーグに招き、交流会を催したりする。


キャンプで練習する小笠原=共同

 「僕らが育った東北なので、引き続き、できることはやっていこうという話になった。サッカー以外に負担になることはやめろという人もいるけれど、僕はこうした活動が自分の力になると思っている。だから続けていきたい」

 「子どもたちが喜んでくれると、やはりうれしい。彼らといっしょにサッカーをしていると、自分も頑張ろうという気持ちになる」

 「本来はこうした支援活動は陰で行うべきものかもしれない。でも、僕たちプロ選手の活動がメディアに出る意味もあると思うようになってきた」

 「あそこに困っている人がいるということが分かれば、じゃあ支援しようと思う人が出てきてくれるかもしれない。アントラーズのサポーター向け月刊誌で『ボランティアが足りない』と発言したら、実際に現地に行ってくれた方がいた」


 Jリーグ1部(J1)は3月10日に開幕する。昨季の鹿島は東日本大震災で被災した影響もあり、J1の優勝争いには絡めなかった。今季はジョルジーニョ新監督を迎えて、覇権奪還を目指す。


 「J1が開幕し、サッカーができるのはもちろんうれしいけれど、被災地のことを思うと、心境は複雑。仮設住宅で寒くて眠れない人もいるんですから。僕たち選手にできるのは、やはり勝ってお客さんを喜ばせること。茨城県も被災地なわけで、そうした中でチケットを買ってくれている人をがっかりさせたくない」

日経新聞の満男インタビューである。
満男の思いが伝わってくる。
この震災で多くのものを失ったが、小笠原満男はサッカー選手としてだけでなく人間的に成長した模様。
彼の人生は大きく変わったのではなかろうか。
サッカーを通じて行動する以外になかった満男は、その行為の大きさと無力さを味わったのであろう。
今後も注目していきたい。

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