浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

いよいよ形が見えてきた支那崩壊の序曲

2014-10-08 20:04:33 | 資料

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成26年(2014)10月8日(水曜日)
     通巻第4355号   
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 カリブ海に浮かぶ島々で何が起きているか
  投資移民で市民権取得ができると聞いて中国がごまんとやってきたゾ
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 ヘミングウェイの遺作に『海流のなかの島々』がある。名作である。舞台はカリブ海。
 この島々で、中国は何をやらかすつもりなのか。
カリブ海に浮かぶ有名なリゾート地、ナッソーはバハマ諸島だが、ここに中国国有企業の「中国建設エンジニア」が、バハマに設立した「バハマル」という開発会社を通じて、2011年からハイヤットホテルと並ぶほどの豪華リゾートを建設している.

そのほか、三万平方メートルの敷地内に豪華カジノ、18ホールのゴルフ・コースに加え、有名歌手に設計させたナイトクラブを建設しており、中国企業は4000名の労働者を中国から連れてきて朝から晩まで働かせ、工期を急がせている。

ところが、アンゴラやスリランカなどで工期を早めることができた建設工事も、バハマではついに息切れ、2014年内のオープンは無理となった。

カリブ海のリゾートは冬場が稼ぎ時なのである。「15年夏には間に合わせたい」とバハマルの幹部は発言しているが、ひょっとして中国国内バブル崩壊の影響をもろにうけて、ナッソーの豪華リゾートも「廃墟」と化ける懼れがでてきた(ウォールストリート・ジャーナル、10月1日)。

 第一は現場の労働事情による。バハマ諸島の失業率は公式にも15%、実際は30%近い。にもかかわらず、中国の運んできた巨大プロジェクトからの恩恵に預かれず、地元にちっとも利益還元がなく、労働争議が頻発した。

 第二に世界共通だが、中国人労働者は建設現場内のプレハブなど魬場で寝泊まりし、そこで食事をするため、現地のロッジもレストランは期待はずれだという不満が爆発している。
現地人らは「中国から連れてこられている現場労働者はおそらく囚人だろう」とささやき合っている。
 
 ▼本当の難題は投資移民制度の不法利用

第三に資金難に陥った様相があり、現地下請け企業への支払いが滞りはじめ、契約慣習の違いから現地人との軋轢がすさまじさを増している。
このプロジェクトに中国輸出入銀行は 25億ドルを出資した。現地パートナーが8億五千万ドル、中国建設エンジニアが米国子会社を通じて、1億五千万ドル。合計35億ドル(3850億円)のプロジェクトだ。

胡錦涛時代に鳴り物入りで始めた唐山工業特別区(天津の北方、唐山プロジェクト)は10兆円を投じたが、すでに「廃墟」と化け、いま残骸を晒している。
バハマ諸島でも中国のプロジェクトは挫折し、廃墟が出現する?

 第四に、じつは最大の問題が横たわっている。
 それはカリブ海の島嶼国家が歓迎してきたリゾートマンションや別荘購入と引き替えの「市民権」(パスポート)供与という「投資プログラム」がまったく絵に描いた餅となって、犯罪者やマネーロンダリングに利用され、不正に利用されているという現実が絡むからである。

 最初の投資と交換プログラムによる市民権授与はロシア人、そしてイランなど「政治的にややこしい国々」からの人々が多かった。
というのも、米国の金持ちは飛行機のアクセスがよくて、観光客も多いスポットに豪華ホテルも建てて投資するが、観光インフラが整わない、しかも飛行機便が不便な、たとえばセントルシア、バルバドス、グレナダなどに何ほどの魅力を感じないからだ。

そもそもアメリカ人はカリブ海の島嶼国家の市民権獲得を必要としない。ロシア、イラン、そして中国人はカリブ海の島嶼国家の市民権を得ることが目的なので、長期滞在は稀、投資物件にも住むつもりがない。
最初はロシアのマフィアが資金洗浄に使い、イランは不法手段や脱法行為(たとえば見せ金で実際には投資せず、パスポート取得後は消える)頻発により、開発が停滞した。
そのうえせっかく建てた豪華リゾートに客が寄りつかず、「絵に描いた餅」化していた。
 ここに中国人が現れたのだ。

 ▼先進国の移民規制の余波を利用したつもりだったのだが。。。

 かれらは札束を見せびらかしながらカナダ、豪、ニュージーランドで不動産物件は片っ端から買い占め、交換にパスポートを手にいれた。あまりにも夥しい中国人が移民してきたため、カナダはことし二月から閉め出しに動いた。

 米国は投資プログラムの規制を強化しはじめた。
偽書類などによる不法移民が夥しく、しかも不正書類、マネーロンダリングの手口が目立ち、当局は悲鳴を上げるにいたった。
さすがの中国人も投資交換市民権取得の矛先を変える。目を付けたのがカリブ海に浮かぶセントキッツ、ネービス、アンチグア、グレナダなどである。いずれも40万ドル以上の不動産購入か、ホテルへの投資が条件。

だが、廃墟を作るだけで当てが外れるのは目に見えている。相手が中国人であることを彼らは知らない。
        △◎○   ◇◎ ▽ □◇

http://melma.com/backnumber_45206_6104669/

◆インフラ開発がしっちゃかめっちゃかに、バングラデシュでひんしゅくを買う中国企業

2014.10.07(火) 姫田 小夏 JB PRESS

破格の安値で受注して途中で“降参”

 港、高速道路、橋梁、発電所――。インフラ開発をめぐる“日中激突”が火花を散らしている。インドを取り囲む南アジアの国々でも、中国の影響力が増大している。

 スリランカは2009年に最大の“スポンサー”が日本から中国に取って代わった。一貫して親日国であり続けたパキスタンへも、中国は積極的な財政支援を行っている。

 そして、インドの隣国バングラデシュでも、中国は「最大の援助国」と言われる日本の牙城にどんどん食い込もうとしている。

 バングラデシュにおける中国の台頭は噂には聞いていたが、まさかここまでとは思わなかった。「中国が片っ端から案件を落札」しているのが現状だ。ざっと調べただけでも、中国は以下のような案件を受注(一部は予定)している(日本政府の資金によるプロジェクトを中国企業が受注するケースも含まれる)。

(1)パドマ橋(建設費11億ドル)
(2)パドマ橋建設に付随する河川管理(10億ドル)
(3)チッタゴンのカルナフリ川におけるトンネル工事(10億ドル)
(4)チッタゴンのカルナフリ川にかかる鉄道橋梁の建設
(5)チッタゴンのカルナフリ川における多走行車線のトンネル建設
(6)チッタゴン~コックスバザール(その先はミャンマーに延びる)の鉄道複線化
(7)ダッカ~チッタゴンの鉄道信号プロジェクト
(8)バングラデシュ国内の4つの橋梁建設(3300万ドル)
(9)モヘシカリとポトゥアカリにおける2カ所の石炭火力発電所(1320MW)
(10)ラジシャヒにおけるWASA (Water Supply & Sewerage Authority)の上水プロジェクト
(11)トンギ~バイラブの鉄道複線化
(12)バングラデシュ政府のICTインフラネットワーク構築第3フェーズ

 パドマ橋の建設は、あまたある橋梁プロジェクトの中でも非常に大規模で、長期にわたり計画が練られてきた。ところが発注をめぐり世界銀行の汚職が発覚、協調融資を組むアジア開発銀行(ADB)、日本の国際協力機構(JICA)などがプロジェクトから降りる事態となった。現在、ハシナ首相の「自力で建設を」という掛け声のもと計画は進められているのだが、建設工事を中国企業が受注し「漁夫の利」を得ることになった。

もともと無理な価格で落札

 バングラデシュにとっての喫緊の課題は「インフラ整備」である。川が多いバングラデシュは、物資はおろか人の往来すら困難であり、経済が東西に分断されている。中国から「世界の工場」の座を奪い取るポテンシャルはあるものの、電力供給は不安定である。また、中間層に自動車の購入意欲はあるのだが村には道路がない、というのが実情だ。

 バングラデシュにはこれを自力で解決するほどの資金力がなく、世界銀行やJICAなどに頼るしかない。2国間ODAでは日本が力を発揮し、「日本は全体の75%を占めるトップドナー(資金提供者)」(バングラデシュの現地紙)とも認識されている。

 ところが近年、中国の存在感が急激に高まっている。中国勢にとって巨大事業の落札は決して難しいことではない。その最大の武器と言えるのが「安さ」である。

 バングラデシュの建設業界は、その「驚異の安値」におののいている。ある大手ゼネコン幹部はこう明かす。「中国企業の提示額は、私たちローカル企業よりも3割は安い」

 そして、「それが最悪の事態を生む」と警告を発する。「彼らが入札時に提示するのは『もともと無理な価格』。たとえ落札してもその金額では工事などできないはずだ」(同)

 その典型例が「ダッカ~チッタゴン・ハイウェイ」である。「ダッカ~チッタゴン・ハイウェイ」は道路を4車線に拡張する全長192キロ(総工費1億6800万ドル)にわたるプロジェクトで、「バングラデシュ経済の生命線を担う」とされる重要案件だ。7工区に相当する140キロを、中国のエンジニアリング会社である中国水利水電建設集団(シノハイドロ)が驚異的な安さで落札した。

 当初、建設は順調に進んでいると見られていた。だが、蓋を開けてみるとまったく計画通りには進んでいなかった。入札時に中国勢と競った地元企業はこう振り返る。

 「現地企業である我々に多くの強みがあったが落札したのは中国企業だった。しかし、彼らは低コストの重荷に耐えられなくなり、途中で投げ出してしまった」

 工事は2010年から始まり完工は2013年末とされていた。ところが、工事はいまだに終わっていない。2013年末の時点でも計画の3割ほどしか進んでいなかった。関係者は「完工は2年延期どころでは済まないだろう」と見ている。

 バングラデシュ道路交通省が工事の遅延を「契約違反だ」と批判したが、中国側は設備や原材料、そして予算の不足を理由に「予算増額がない限りは完工できない」と開き直った。ハシナ首相も腹を立て、道路交通省に「会社を替えよ」と伝えるほどだった。

 パドマ橋の建設でも同様の事態が起こっているようだ。現地メディアの報道は、「ハイウェイ建設とパドマ橋建設という2つの重要なプロジェクトが中国企業のお粗末な仕事で危機に瀕している」と懸念を隠さない。

「中国流」への批判が噴出

 近年、バングラデシュはインフラ整備の巨大な市場に中国企業を喜んで迎え入れてきた。だがここに来て、「中国流」がいかなるものであるかをようやく認識するようになった。

 業界の常識を逸脱した低価格での落札、その結果として起こる資金ショートと工期の延期に、今では異議を唱える声の方が多い。バングラデシュの建設業者への取材の席では「中国流のやり方」に批判が噴出した。

 「土壇場になって『この金額ではできない』とバングラデシュ政府に泣きついて、資金不足を補おうとしている」

 「彼らは『完工させること』を目的にはしていない。さらにそこから条件を引き出そうとしているのだ」

 「完工させることを交換条件に、ソナディア深水港の受注を持ち出しているようだ」

 あまりにも強引な受注の仕方と、それがもたらす悪影響は、現地社会で顰蹙を買っている。中国企業による受注はバングラデシュ全体の社会資産にダメージをもたらすことに、バングラデシュの人々は気づき始めている。

 さらにバングラデシュ社会が今、関心の目を向けるのが、中国が主導する「新開発銀行(BRICS開発銀行)」(BRICSの5カ国が運営する発展途上国支援の銀行)の動きだ。現地ゼネコンのトップは言う。「彼らはADBやJICA以上の資金を低金利で融資するだろう。BRICS銀行がバングラデシュの大型案件を総なめにしてもおかしくはない」

 南アジアでは、中国の影響の高まりを懸念する声が出てきた。同時に日本への期待も以前にも増して高まっている。日本はバングラデシュのインフラ開発にどう関わり、今後の経済成長にどう寄与するのか。バングラデシュ社会は日本の一挙手一投足をじっと見守っている。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41873

◆不動産経営者の夜逃げラッシュが招く中国経済の崩壊

2014年10月01日(Wed)  石 平(中国問題・日中問題評論家)

 今年6月27日に掲載した『破滅へ向かう中国経済 四面楚歌の習近平 政治介入する軍』では、中国における不動産バブルの崩壊がすでに始まったことを実例に基づいて克明に記述したが、それ以降の数カ月間で崩壊は確実に進んでいる模様である。

「早く売り捌いた方が良い」

 8月1日の中国指数研究院の発表によれば、今年7月の全国100都市の新築住宅販売価格が前月比で0.81%下落し、4月、5月以来3カ月連続の下落となっているという。そして9月19日に中国国家統計局が公表した数字を見ると、8月に全国の主要都市の70都市のうち、不動産価格が下落したのは68都市にのぼる。

 その中で、たとえば8月25日に新華通信社が配信した記事によると、全国の中小都市では各開発業者による不動産価格引き下げの不毛な競争が既に始まったという。開発業者が競ってなりふり構わず価格競争に走れば、それはすなわち不動産価格総崩れの第一歩であることは誰もが知るところであろう。

 8月23日、山東省済南市にある「恒生望山」という分譲物件が半月内に25%程度の値下げを断行したことで、値下げ以前の購買者が抗議デモを起こした。9月3日には、広東省珠海市のある分譲物件は値段が一夜にして4分の1も急落したとのニュースがあった。そして9月15日、大都会の北京市では一部の不動産物件で30%以上の値下げが断行されたと報じられている。この一連の動きは、「総崩れ」が既に目の前に迫ってきていることの前兆であろう。

 こうした中で、不動産バブルの崩壊は不可避とする声があちこちから聞こえてきた。

 9月3日、新華指数公司首席経済学者の金岩石氏は「中国の9割の都会で不動産バブルが崩壊する」と警告した。また11日には、中国最大の自動車ガラス製造企業・福躍硝子集団のオーナー会長曹徳旺氏は、香港フェニックステレビの番組で「不動産バブルの崩壊は時間の問題だ」と言って投機のために不動産を持った人に「早く売り捌いた方が良い」と薦めた。そして27日、高名な経済学者で北京天則経済研究所理事長の茅于軾氏は、「中国の不動産価格は今後、半分以下に落ちるであろう」と断言した。

 中国国内の実状をよく知る人々のリアリティある発言からも、どうやら史上最大規模の不動産バブルの崩壊はいよいよ、目の前の現実となってきている模様である。

不動産バブル崩壊で中国経済はどうなるか

 不動産バブル崩壊の最大の原因は、今年2月26日に掲載した『既に始まった中国史上最大の不動産バブル崩壊劇』で指摘した通りのものだ。要するに、2000年代に入ってからこの十数年間、中国政府はずっと、お札をバンバン刷って金融緩和を行い、民間の不動産投資の拡大を刺激するような方策で経済の高度成長を支えてきた。しかしこのような節度のない経済政策の結果、市場に流通する貨幣が溢れすぎて「流動性過剰」という現象が生み出された一方、過剰になった貨幣の多くは不動産投資に流れ込んで価格を高騰させてバブルを膨らませた。

 市場に流通している貨幣が溢れすぎると、それが当然インフレの発生=物価の高騰を招くこととなり、食品を中心とした物価の高騰が目の前の現実となると、それが原因で社会的不安が高まることを危惧した中国政府は一転、貨幣の供給を抑制する金融引き締め政策を実施した。

 そして2011年からの金融引き締めの中で、不動産開発業者に対する銀行からの融資が激減する一方、多くの商業銀行は2013年の秋頃から、個人住宅ローンに対する貸し出しを停止するという断固たる措置に踏み切った。

 そこから始まったのがすなわち、不動産物価の販売不振→開発業者の資金繰り難→不動産在庫の値下げ処分→価格の下落という悪循環であるが、そのたどり着くところはすなわち不動産価格の総崩れ、要するに不動産バブルの崩壊である。

 問題は、不動産バフルが崩壊した後に中国経済がどうなるのかであるが、現在、全国の不動産投資のGDP (国内総生産)に対する貢献度が16%にも達しているから、バブル崩壊に伴う不動産投資の激減は当然、GDPの大いなる損失、すなわち経済成長のさらなる減速に繋がるに違いない。しかも、バブル崩壊の中で多くの富裕層・中産階級が財産を失った結果、成長を支える内需はますます冷え込み、経済の凋落によりいっそうの拍車をかけることとなろう。

 しかし問題の深刻さは、それだけにとどまらない。不動産バブルの崩壊に伴ってその次にやってくるのは、全国規模の金融危機の発生なのである。

「邯鄲恐慌」で「経営者夜逃げラッシュ」

 不動産バブルの崩壊に伴う金融危機の発生、それは一体どういうことなのか。実はこの原稿を書いている9月29日現在、中国河北省の邯鄲市という中規模都市で吹き荒れている「邯鄲恐慌」の嵐が、この事情を端的に物語っている。

 今、全国のマスコミを騒がしている「邯鄲恐慌」は、今年7月下旬、邯鄲市内最大の不動産開発業者である「金世紀房地産公司」で起きた経営者の夜逃げ事件から始まった。

 金世紀房地産公司という会社は2000年頃から邯鄲市で不動産の開発を始めて、以来十数年間、オフィスビルや綜合商業施設、分譲マンションなど100件以上の不動産開発を手掛け、邯鄲市最大の不動産開発業者に成長した。一時は資産総額100億元(1800億円相当)の大企業として邯鄲経済界に君臨していた。

 しかし7月下旬、この大企業のオーナー経営者である史虞豹氏が突如、すべての連絡を絶って家族と共に夜逃げした。地元財界を代表する経営者が29億元の負債を踏み倒してのこの逃亡事件は、邯鄲市全体に大きな衝撃を与えた。

 しかし衝撃はそれだけにとどまることはなかった。この夜逃げ事件に誘われるように、それからわずか1カ月の間で、「卓峰地産」、「万聚地産」、「武安銀信集団」、「華北錦魁地産」など、名の知られた不動産開発会社の経営者たちが続々と逃げ出して身をくらませたり、あるいは自らの倒産を宣言したりした。邯鄲市の経済界を揺るがした「経営者夜逃げラッシュ」の発生である。

山ほどの不動産在庫を抱えて

 なぜ邯鄲市の不動産開発業者たちは競うように逃げ出すような事態となったのか。その背景にあるのは当然、本稿の冒頭から記述した不動産バブル崩壊の全国的広がりである。

 邯鄲市というのは人口160万人程度の中規模都市であるが、一時は500軒もの開発業者が群がり不動産の開発を行い、需要をはるかに超える大量の不動産物件を生み出した。しかし今年になってから全国的に不動産が売れなくなり、邯鄲の開発業者たちは山ほどの不動産在庫を抱えるようになった。2013年の1年間、邯鄲市での不動産販売面積は355万平米程度であったが、現在積み上った市内の不動産在庫はその10倍近くの3480万平米に上るという。

 地元の開発業者たちの資金繰りが苦しくなっていることは言うまでもないが、それは結局、彼らの「夜逃げラッシュ」を促した原因の一つとなった。

 しかし、彼らには夜逃げするのではなく別の選択肢もあったはずだ。手持ちの不動産在庫を大幅に値下げして売り捌いて資金を回収すれば生き残る道はあるのではないか――。しかし現実には、この最後の道すら彼らには残されていないのである。

 というのも、今になって判明したことであるが、彼らがこの数年、不動産の開発を進めるために闇金融から驚くべきほどの高い利息で大量のお金を借りていたからである。

 たとえば前述の金世紀房地産公司の場合、抱えている29億元の借金のうち、実は15億元ほどが闇金融からの借金である。それ以外の夜逃げした開発業者たちも多かれ少なかれ、闇金融からカネを借りていた。地元銀行による試算では、彼らの借金総額は約92億元(約1700億円相当)に上っているという。しかも、邯鄲の闇金融では、その年間利息は一律30%という吃驚仰天の高い利息がついているのである。

 開発業者たちがこれほどの高い金利で闇金融から借金しなければならない最大の理由は、やはり前述のように、政府による金融引き締めの中で正規の銀行がリスクの高い不動産開発に融資しなくなったことにある。正規の銀行がカネを貸してくれないため、やむを得ず闇金融に手を出したわけである。

 しかし問題は、闇金融からあれほどの高い金利で資金を借りると、開発業者たちに残される唯一の道はすなわち、不動産価格が暴騰し続け、年間利息30%の借金を返済できるほどの儲けを得ることである。暴利があるうちは何とかやっていけるが、一旦不動産が売れなくなると、巨額の負債を抱えて高い利息の返済に追われる開発業者たちが直ちに悲鳴を上げることなる。その際、たとえば手持ちの不動産在庫を値下げして売り捌いたとしても、闇金融からの借金とその高い利息の返済に足りることはない。だとすれば、いっそのこと、借金そのものを踏み倒して夜逃げするのが最善策となる。

一般市民も抗議行動に

 このように邯鄲市の不動産開発業者の夜逃げラッシュは始まったわけであるが、彼らに大量の資金を貸している闇金融にとって致命的な打撃となろう。しかも、闇金融が融資に使う資金の多くは一般市民から調達したものが多いため、貸し出しのカネが踏み倒されると、闇金融に出資している個人投資家たちはいっせいに財産を失うこととなる。

 たとえば邯鄲の場合、闇金融に出資している民間人は市民の1割以上であるとの試算もある。金世紀公司から始まった開発業者たちの夜逃げラッシュは当然、邯鄲市全体に未曾有の大混乱を引き起こした。一夜にして全財産あるいはその大半を失った一般市民たちは連日のように抗議行動を起こし、市政府を包囲して「金を返せ」を合言葉に暴動寸前の大騒ぎを演じてみせた。邯鄲市そのものは今、世紀末のような騒然とした雰囲気である。

 その一方、夜逃げした開発業者たちが正規の銀行からの借金まで踏み倒しているため、各商業銀行は大変苦しい立場となり、これまでよりいっそうの貸し渋りに走っていることは言うまでもない。そしてそれはまた、不動産市場のいっそうの低迷と開発業者たちのさらなる資金難を招くこととなり、今後夜逃げラッシュはますます盛んになることが予想される。そうすると、正規の金融も闇の金融と共によりいっそうの苦境となって、破綻への道を一直線に走ることになる。

 つまり、不動産バブルの崩壊の後にやってくるのは金融破綻であることを、邯鄲の実例がわれわれに教えているのである。

「影の銀行」の破綻で経済破綻は免れず

 もちろん、邯鄲で起きていることは邯鄲だけの問題ではないはずだ。今年3月26日、中国新華通信社傘下の『経済参考報』は、中国の金融事情に関する記事を掲載した。金融市場で大きなシェアを占める「信託商品」は、今年から来年にかけて返済期のピークに達し、約5兆元(約82兆円)程度の貸し出しが返済期限を迎えることになるという。

 ここでいう「信託商品」とは、正規の金融機関以外の信託会社が個人から資金を預かって企業や開発プロジェクトに投資するものであるが、高い利回りと引き換えに元金の保証はまったくないリスクの高い金融商品。中国の悪名高いシャドーバンキング(影の銀行)の中核的存在をなすのはまさにこれだ。

 問題は、返済期を迎えるこの5兆元規模の信託投資がきちんと返ってくるかどうかである。申銀万国証券研究所という国内大手研究機関が出した数字では、全国の信託投資の約52%が不動産開発業に投じられているという。そう、邯鄲の実例でも示されているように、シャドーバンキングという名の闇金融の主な融資対象の一つは結局不動産開発業者なのである。

 そしてこれこそが、信託投資だけでなく、中国経済全体にとっての致命傷となる問題なのだ。

 本稿の冒頭からも克明に記してきたように、今の中国で、不動産開発業はまさに風前の灯火となっている。バブルが崩壊して多くの不動産開発業者が倒産に追い込まれたり深刻な資金難に陥ったりすると、信託会社が彼らに貸し出している超大規模の信託投資が踏み倒されるのは必至である。邯鄲ですでに起きていることがそれを実証している。

 そして前述のように、信託投資の不動産業への貸し出しはその融資総額の約半分にも達しており、今後広がる不動産開発企業の破産あるいは債務不履行はそのまま、信託投資の破綻を意味する。それはやがて、信託投資をコアとする「影の銀行」全体の破綻を招くこととなろう。

 しかし融資規模が中国の国内総生産の4割以上にも相当する「影の銀行」が破綻すれば、経済全体の破綻はもはや避けられない。中国経済はただでさえ失速している最中であるが、今後において、不動産バブルの崩壊とそれに伴う金融の破綻という二つの致命的な追い打ちがいっせいにかけられると、中国経済は確実に「死期」を迎えることとなろう。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4255

◆急速に変わってきた米国人の中国観とオバマ外交失敗の原因

2014.10.08 zakzak

 香港で起きている学生らの反政府運動は、「一国二制度」という形で香港の独自性を守るという約束に反して、北京政府が2017年に行われる香港の行政長官選挙に共産党のやり方を強制しようとしたからだ。

 北京政府があらかじめ決めた候補者から行政長官を選ぶという非民主主義的な選挙制度に、将来を考える学生らが激しく反発したのは当然だ。なりゆき次第では、中国の政治の仕組みを揺るがすことになりかねない。

 香港で起きた今回の重大な動きは、米国の保守勢力、国防総省、そして海軍がオバマ大統領の中国一辺倒政策に反抗し、中国との対決姿勢を強化しようとしていることと無関係ではない。

 オバマ大統領は、「空母キラー」と呼ばれる中国のDF21Dミサイルに怯えて、第7艦隊をハワイの東に引き上げようとした。だが、米海軍は大統領の決定に従わず、予定どおり第7艦隊の主力である空母を最新鋭の「ロナルド・レーガン」にするとともに、艦載航空兵力である第5飛行戦隊の基地を東京近郊の厚木から、中国により近い山口県岩国に移すことにした。

 香港のある南シナ海の国々は今、中国海軍の不法な侵略行動に対抗して、米海軍との協力体制を強化したり、軍事力を増強したりしている。シンガポールは、マラッカ海峡の入り口チャンギに第7艦隊のための特別基地を建設した。

 米海軍は今年、南シナ海周辺で延べ150隻の艦艇を送り込んで訓練を実施した。また、ベトナムやマレーシア、それにタイまでが海軍や航空戦力を強化しつつある。

 ハドソン研究所のケン・ワインスタイン所長は、こうした動きの引き金になったのは「日本の集団的自衛権構想」として次のように述べた。

 「あらゆる国が軍事力を拡大する中国に弱気になったとき、日本が集団的自衛権を打ち出した。この構想を進めた安倍晋三首相に、我々は『考えられないことを考えた人』に与えるハーマン・カーン賞を贈呈した」

 友人のジャーナリストは私にこう言った。

 「オバマ外交の失敗は中国と戦わなかったことがすべての原因だ」

 米国人の中国に対する考え方は急速に変わってきている。

 ■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141008/dms1410080830004-n1.htm

◆習近平総書記は武力で相手を脅し、あるいは金を配って懐柔する。
話し合いではなく、一方的かつ強権的に結論を押し付ける。
そんな習近平が関わってきた主な問題を以下に列記する。

①集団的指導体制を破棄し、習近平への権力集中を図った。
②江沢民・曽慶紅の一派等18万人を粛清した。
③今まで聖域とされてきた軍最高幹部の腐敗を摘発し粛清した。
④チベット・ウイグル地域・内モンゴル自治区の抗議デモを軍と武装警察で鎮圧し、住民多数を虐殺あるいは逮捕した。
⑤民主派知識人の影響を削ぐために言論の自由を弾圧し、不当逮捕と形式的裁判で極刑に処した。
⑥メディアから政敵を追放しメディアに対する検閲を強化し、ネット情報の統制を強化した。
⑦東シナ海と南シナ海を実効支配し領土と排他的経済水域の拡大を狙った。
⑧ラオス・カンボジア・タイ・ミャンマー・中央アジアを囲い込むために鉄道と高速道路を建設した。
⑨ミャンマー・スリランカ・モルジブ・パキスタンに軍港を建設し、真珠の首飾り作戦によるインド包囲網を進めた。
⑩韓国や台湾を中華経済圏に組み込み、中国の支配力を強化し属国化を加速させた。
⑪現在、香港人の既得権となっている一国二制度を崩壊させ、香港の本国化を企てている。

1984年9月、英国と中国は香港返還に関する共同声明に仮調印した。
共同声明には「返還後50年間は香港の民主社会を変えないとする一国二制度」が盛りこまれている。
香港返還は1997年だから、一国二制度は2047年まで続くことになる。
しかし、一国二制度は英国と中国の力関係で決められたものだから、両国の力関係が変われば一国二制度の解消時期の前倒しはあり得ることになる。

65年前、毛沢東は蒋介石との内戦に勝利し共産党一党独裁政権を樹立して、中華人民共和国を名乗った。
独裁国家が人民共和国を名乗ったのだから、羊頭狗肉どころの話ではないが、中華人民共和国が名前の通りの人民主権共和国だったなら、香港だけでなく台湾も併合されることに異議はなかったのではないだろうか。
ところが、中国大陸の現実は悲惨である。
13億中国人民には言論や結社の自由がない。
13億中国人民の60%以上が中国で生まれるのは嫌だと嘆いている。
汚職で肥え太った資産家連中は既に家族を米・英・仏・独・豪等に避難させている。
こんな現実を知れば、香港人が「一緒にはならない。一国二制度が永遠に続くことを希望する」と願うのも無理はない。

今年の6月10日、中国国務院は「香港の一国二制度は香港固有のものではない。全て中央政府から与えられたものである」と定義し、8月31日の第12期全人代常務委員会は「2017年からの香港・行政長官の普通選挙については親中派を優遇し、民主派を締め出す」方針を明らかにした。
候補者選任権を握ることで、香港の行政長官の普通選挙を形骸化する狙いは明らかである。
投票前に親中派の当選が決まっているのは共産党一党独裁国家の常識なのだろうが、そんなものは選挙ではない。
これが今回の香港民主化デモの主な動機と言われている。

それにしても、香港民主化の戦いの敵は、東シナ海や南シナ海における日本・フィリピン・ベトナムの戦いの敵であり、インド洋でのインドの戦いの敵であり、中国におけるウイグル・チベット・内モンゴル・法輪功・地下キリスト教会・民主派知識人の戦いの敵であり、耕作地を奪われた中国農民の戦いの敵であり、地下水が工場廃液で汚染され飲料水にも困っている地域住民の戦いの敵である。

彼らの全てが習近平総書記を敵として戦っている。
自分の能力をはるかに超える多数の強力な敵と対峙している習近平に、平穏な夜はあるのだろうか。
(Facebook 吉野 一道氏より)


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