Essay-10 8/20/2016 世界のエネルギー事情
朝起きると、メールに目を通し散歩に出かけた後、日本語チャンネルを付ける事が習慣になっている。連日日本の猛暑ぶりを伝えているが、中には38~39度に達する地域もある。熱中症を避ける為に、外出を控えること、水をこまめに補給すること、そしてクーラーを上手に使うことを、決まり文句のように報道している。クーラーの無い家は、まるで存在しないかのようである。
私は北九州の門司港で生まれ育ったが、小、中、高と野球部だった。高校までの記憶は野球以外にはほとんどない。 それも猛暑の中、ノックを受けたり、ベースランニングで、足が痙攣するほど走らされたり、自分の腰に重石をつけて階段を上り下りしたり、練習の思い出がほとんだ。汗と涙で顔がくしゃくしゃになってボールを追いかけていた。しかし猛暑といっても32~33度ではなかったか? 35度を超えた記憶はない。因みに私は64歳であるが数十年の差がこれほどの温度差を生じたのだろうか? 私の記憶違いかもしれないが、当時と比較して昨今の暑さは確かに異常だ。まさしく温暖化であり、地球がうなり声をあげている。氷山が解け、海水温が上がり、地球が悲鳴を上げている。地球上総ての人間が協力し温暖化を防がねばならない。しかしながら、先進国と後進国の意見が異なり、満足なる対策として立ち向かう姿はみられない。いつもながらの悲しい現実だ。
最近不思議な事に、猛暑の中でエネルギー不足を聞く事がほとんどない。先の東北大震災以降、原子力は一時的にストップされ、代替えエネルギーの開発が急務となり、同時に電力不足への恐怖が多いに騒れていた日本だった。今この国の関心はどこへいったのだろう。喉もと過ぎればの諺どおり、現在の暮らしに問題なけえればよしとするのだろうか?
因みに世界各国のエネルギーの状況を大まかに調べてみた。
世界一原発の数が多いのはアメリカで100基前後、続いて仏の58基、そして震災前の日本が54基との事。先進国の原子力の占める割合は大体15~25%前後だ。興味深いのが、仏は75%近くを原発が占め、カナダは60%近くは水力である。また中国はいまだに80%近くを石炭火力が占めている。カナダはその土地柄、水力が豊富で
開発しやすかったのだろう。 中国の石炭依存が大きいのも、まだ発展途上国であることがわかり興味ぶかい。しかし仏の原子力が75%近いのには驚いた。同国のエネルギーの歴史を見てみると、1973年の石油ショックの後、資源の少ない仏は国内の電力を安定供給させるため原子力に力を注いだ。その結果その当時24%のシェアーが1990年代には50%にのぼり、輸出するまでになった。 現時点は75%となった事は先に述べた。 仏国民にとって、原子力とはまさに恵みの資源にみえる。だが日本人が持っている原子力に対するアレルギーは無いのだろうか?
世界で唯一の被爆国である日本、その後アメリカの核実験に巻き込まれた第五福竜丸の事件もあり、日本人は原子力に対し異常ともいえる認識がある。国民感情としてそれは当然だろう。そして今回の東北大震災。これで総ての原発の稼動は一時的に停止された。また震災後5年以上経過するが、いまだに放射能汚染のために戻る事ができない地区もある。日本政府が言い続けた原発は安全であるとの神話は、全くのうそとなった。国民が政府不信になるのも当然だ。こんな危険な原子力は再開するに及ばないと強行に反対する人にも頷ける。危機管理のおそまつさもさることながら、地震の上に座っているような日本には、原発は許されないのだろう。
過日、四国の伊方原発が再開され日本の原子力の稼働3基めというニュースを聞いたが、それでも原子力の占める割合はせいぜい1%前後だろう。大震災前、25%前後を占めていた原子力はそのほとんど総てをストップされ、そして不足分をLNG で賄っている。その為日本の貿易赤字は毎年14~15兆円と聞く。しかしこの政策を何年、何十年と継続し、貿易赤字を垂れ流す事はできない。
となると原子力は危険だが、安価な電気の供給は不可欠であり、世界の経済競争に勝ち抜く為には残念ながら必要だということになる。必要悪といっていいだろう。少なくとも代替燃料が開発されるまでは。 問題は原発での使用廃棄物から放出される放射能である。因みに、核処理の方法はアメリカの場合ワンスルー方式と呼ばれ、日本のそれはプルサーマル方式というらしい。違いはワンスルー方式は再処理を行わず建設費も安いが、廃棄物の放射能が消えるまでに数万年かかるとのこと。日本のプルサーマル方式は再処理がおこなれる。その分建設費は高いが、核分裂生成物に変換される為、半減期30年の物質に変換されるとの事。廃棄物の放射能が30年で危険な物体ではなくなると解釈していいのだろうか? もしそうであれば、国民によく説明して原子力に一部依存する事はやむを得ないだろう。地球温暖化のためにも。
アメリカの国策として近い将来、原子力が無くなるとは聞かないが、シェールオイルの採掘でその方針が大きく変わっており、エネルギー資源の輸入国が輸出国にかわろうとしている。 また各地で代変えエネルギーの開発が急がれており、ここカリフョルニアでは2基あった原子力プラントが2基ともその操業を止めた。そして風力、太陽光、バイオマスなど代替エネルギーのシェアーを2020年までに20%から33%達成を目標している。アメリカは連邦で、州によりその政策も異なるが、カリフォルニアは今後他州の見本となってほしい。先の仏も70%の原子力を50%に下げる方針であると聞いている。 してみると長期的には原子力は減少してくのだろう。
すると日本の将来のエネルギー事情はどうなるのであろうか? いやどういう構造が
ベストなのだろうか? 政府が国民をだましだまし原子力を再開することだけは、止めてほしい。仮に必要悪として認めざるを得ないで当面は使わなければならない場合、その旨をきちんと国民に説明し、長期展望を描かなければならない。あいまいな状態で国策を進めるべきではない。原子力は地球に優しいとはいいがたい。そうであれば、これに頼るべきではないだろう。いずれは原子力が廃止されることが望ましい。
さて、青山繁治が盛んに薦めているメタンハイドロードなる物質がある。日本の周りの海底にごろごろしていると聞くが、政府からの協力を得ることができないと聞く。なぜだろう。安くて危険の少ない物質、それも莫大な量があるといわれている物質をどうして放置しているのだろう。最近ようやく政府はその重たい腰をあげ、開発にのりだしたらしいが、急務ではないだろうか? また昨今は原発へのテロ攻撃という荒唐無稽の事態も心配せねばならない時期にきている。人間愚かなりといいたいが、他山の石と静観するだけでは許されない世界になっている。専門家のご高説も色々あるだろうが、ここは原点に戻り、地球を滅ぼす可能性のある原発は、早急に過去の物としなければならない。人間の英知を絞って、廃棄物の放射能を一機に消滅する事は、出来ないのだろうか? もしその方法を発見できたとすれば、ノーベル賞を5個でも10個でも与えたいと思うのだが。
朝起きると、メールに目を通し散歩に出かけた後、日本語チャンネルを付ける事が習慣になっている。連日日本の猛暑ぶりを伝えているが、中には38~39度に達する地域もある。熱中症を避ける為に、外出を控えること、水をこまめに補給すること、そしてクーラーを上手に使うことを、決まり文句のように報道している。クーラーの無い家は、まるで存在しないかのようである。
私は北九州の門司港で生まれ育ったが、小、中、高と野球部だった。高校までの記憶は野球以外にはほとんどない。 それも猛暑の中、ノックを受けたり、ベースランニングで、足が痙攣するほど走らされたり、自分の腰に重石をつけて階段を上り下りしたり、練習の思い出がほとんだ。汗と涙で顔がくしゃくしゃになってボールを追いかけていた。しかし猛暑といっても32~33度ではなかったか? 35度を超えた記憶はない。因みに私は64歳であるが数十年の差がこれほどの温度差を生じたのだろうか? 私の記憶違いかもしれないが、当時と比較して昨今の暑さは確かに異常だ。まさしく温暖化であり、地球がうなり声をあげている。氷山が解け、海水温が上がり、地球が悲鳴を上げている。地球上総ての人間が協力し温暖化を防がねばならない。しかしながら、先進国と後進国の意見が異なり、満足なる対策として立ち向かう姿はみられない。いつもながらの悲しい現実だ。
最近不思議な事に、猛暑の中でエネルギー不足を聞く事がほとんどない。先の東北大震災以降、原子力は一時的にストップされ、代替えエネルギーの開発が急務となり、同時に電力不足への恐怖が多いに騒れていた日本だった。今この国の関心はどこへいったのだろう。喉もと過ぎればの諺どおり、現在の暮らしに問題なけえればよしとするのだろうか?
因みに世界各国のエネルギーの状況を大まかに調べてみた。
世界一原発の数が多いのはアメリカで100基前後、続いて仏の58基、そして震災前の日本が54基との事。先進国の原子力の占める割合は大体15~25%前後だ。興味深いのが、仏は75%近くを原発が占め、カナダは60%近くは水力である。また中国はいまだに80%近くを石炭火力が占めている。カナダはその土地柄、水力が豊富で
開発しやすかったのだろう。 中国の石炭依存が大きいのも、まだ発展途上国であることがわかり興味ぶかい。しかし仏の原子力が75%近いのには驚いた。同国のエネルギーの歴史を見てみると、1973年の石油ショックの後、資源の少ない仏は国内の電力を安定供給させるため原子力に力を注いだ。その結果その当時24%のシェアーが1990年代には50%にのぼり、輸出するまでになった。 現時点は75%となった事は先に述べた。 仏国民にとって、原子力とはまさに恵みの資源にみえる。だが日本人が持っている原子力に対するアレルギーは無いのだろうか?
世界で唯一の被爆国である日本、その後アメリカの核実験に巻き込まれた第五福竜丸の事件もあり、日本人は原子力に対し異常ともいえる認識がある。国民感情としてそれは当然だろう。そして今回の東北大震災。これで総ての原発の稼動は一時的に停止された。また震災後5年以上経過するが、いまだに放射能汚染のために戻る事ができない地区もある。日本政府が言い続けた原発は安全であるとの神話は、全くのうそとなった。国民が政府不信になるのも当然だ。こんな危険な原子力は再開するに及ばないと強行に反対する人にも頷ける。危機管理のおそまつさもさることながら、地震の上に座っているような日本には、原発は許されないのだろう。
過日、四国の伊方原発が再開され日本の原子力の稼働3基めというニュースを聞いたが、それでも原子力の占める割合はせいぜい1%前後だろう。大震災前、25%前後を占めていた原子力はそのほとんど総てをストップされ、そして不足分をLNG で賄っている。その為日本の貿易赤字は毎年14~15兆円と聞く。しかしこの政策を何年、何十年と継続し、貿易赤字を垂れ流す事はできない。
となると原子力は危険だが、安価な電気の供給は不可欠であり、世界の経済競争に勝ち抜く為には残念ながら必要だということになる。必要悪といっていいだろう。少なくとも代替燃料が開発されるまでは。 問題は原発での使用廃棄物から放出される放射能である。因みに、核処理の方法はアメリカの場合ワンスルー方式と呼ばれ、日本のそれはプルサーマル方式というらしい。違いはワンスルー方式は再処理を行わず建設費も安いが、廃棄物の放射能が消えるまでに数万年かかるとのこと。日本のプルサーマル方式は再処理がおこなれる。その分建設費は高いが、核分裂生成物に変換される為、半減期30年の物質に変換されるとの事。廃棄物の放射能が30年で危険な物体ではなくなると解釈していいのだろうか? もしそうであれば、国民によく説明して原子力に一部依存する事はやむを得ないだろう。地球温暖化のためにも。
アメリカの国策として近い将来、原子力が無くなるとは聞かないが、シェールオイルの採掘でその方針が大きく変わっており、エネルギー資源の輸入国が輸出国にかわろうとしている。 また各地で代変えエネルギーの開発が急がれており、ここカリフョルニアでは2基あった原子力プラントが2基ともその操業を止めた。そして風力、太陽光、バイオマスなど代替エネルギーのシェアーを2020年までに20%から33%達成を目標している。アメリカは連邦で、州によりその政策も異なるが、カリフォルニアは今後他州の見本となってほしい。先の仏も70%の原子力を50%に下げる方針であると聞いている。 してみると長期的には原子力は減少してくのだろう。
すると日本の将来のエネルギー事情はどうなるのであろうか? いやどういう構造が
ベストなのだろうか? 政府が国民をだましだまし原子力を再開することだけは、止めてほしい。仮に必要悪として認めざるを得ないで当面は使わなければならない場合、その旨をきちんと国民に説明し、長期展望を描かなければならない。あいまいな状態で国策を進めるべきではない。原子力は地球に優しいとはいいがたい。そうであれば、これに頼るべきではないだろう。いずれは原子力が廃止されることが望ましい。
さて、青山繁治が盛んに薦めているメタンハイドロードなる物質がある。日本の周りの海底にごろごろしていると聞くが、政府からの協力を得ることができないと聞く。なぜだろう。安くて危険の少ない物質、それも莫大な量があるといわれている物質をどうして放置しているのだろう。最近ようやく政府はその重たい腰をあげ、開発にのりだしたらしいが、急務ではないだろうか? また昨今は原発へのテロ攻撃という荒唐無稽の事態も心配せねばならない時期にきている。人間愚かなりといいたいが、他山の石と静観するだけでは許されない世界になっている。専門家のご高説も色々あるだろうが、ここは原点に戻り、地球を滅ぼす可能性のある原発は、早急に過去の物としなければならない。人間の英知を絞って、廃棄物の放射能を一機に消滅する事は、出来ないのだろうか? もしその方法を発見できたとすれば、ノーベル賞を5個でも10個でも与えたいと思うのだが。