【研修参加報告書】
7月2日(日曜日)、朝日新聞大阪本社(大阪市)で開催されたフォーラム「子どもと貧困~踏み出そう、解決への一歩」に参加しました。その報告書を作成しましたので、公表します。
フォーラム「子どもと貧困~踏み出そう、解決への一歩」
講師:社会福祉士 幸重 忠孝 氏
ひとり親家庭当事者2名(プライバシー保護のため氏名非公表)
■目的
子どもの貧困問題について、貧困の当事者や支援活動に携わる方から直接お話しをうかがい、貧困をリアルに感じ取るとともに、支援の最前線の状況を把握する。そして、自治体や地域で何ができるのかを考えるためにフォーラムに参加した。
■内容
ワークショップ「家計簿体験から考える相対的貧困」では、「37歳の夫婦と中学1年生の子ども1人の核家族」で、平均的な所得がある家庭(可処分所得が月34万円)と相対的貧困にある家庭(同17万円)の1か月間の家計のやりくりを想像して、家計簿に表した。
個人のライフスタイルによっておカネの使い方にばらつきがあるものの、住居費、食費、光熱費、通信費などは一定額かかってしまうことを確認した。
ワークショップ「ひとり親家庭の声を聞く」では、病気を抱えて生活保護を受けるシングルマザーと、シングルマザーに育てられて私大に通う女子学生(3回生)の2人から、当事者の生の声を聞いた。
「塾に通ったり友達と遊びに行ったりなど、一般家庭であればできることでも、相対的貧困家庭の子どもにはできないことがある」「中学1年生の子どもが塾に行きたがっているが、はぐらかした」「子どもながらに、自然と遠慮しなければいけない習慣が身についていた」という切実な訴えに耳を傾けた。一方、女子大生からは「助けてもらった分、いつか社会に還元したい」旨の熱い想いも語られ、胸に迫るものがあった。
■所感
相対的貧困家庭でも、住居費、食費、光熱費、通信費など必要最低限の出費は避けられない。それゆえ、教育費などを切り詰めざるを得ないことがよく分かった。つまり、平均的な所得の家庭は、おカネの使途にいくつかの選択肢があるが、相対的貧困家庭にはそれがないことを痛感した。
さらに、義務教育は無償であるとはいうものの、給食費、修学旅行費の積立金などが徴収されており、貧困家庭にはかなり重い負担であることを認識することができた。
「子どもの7人に1人が相対的貧困」であるが、食べ物や衣服が全くないというわけでないため、貧困が見えづらくなっている。今回の家計簿体験を通じて、子育て家庭の生活は総じて楽ではなく、とりわけ相対的貧困家庭の厳しさを感じることができた。
また、講師の社会福祉士が「行政の支援情報が貧困家庭に十分に伝わっていない。書類の内容も難しい」と指摘していた。今一度、申請書類の内容などをチェックしたい。
ひとり親家庭の当事者の話しを聞いたが、彼女らは決して怠惰ではなく真面目な性格であり、困難な問題を乗り越えようと必死に生きていることが伝わってきた。
学校外の教育費(塾代など)が高過ぎるという彼女らの指摘はもっともだ。塾に通えるかどうかで、義務教育における学力格差が生じ、学ぶことへの失望感を抱かせることがあってはならない。今まさに、公教育のあり方が問われている。
また、困難を抱える人を支援する人・団体の存在は極めて大きい。人と人とのつながりが社会への信頼を高めることになる。それが深化すると、支援された人が支援する側に回ってくれるはずだ。