ハイソなカップルとのディナーも夫妻の如才なさに助けられ、肩の凝らないものになり楽しかった。
私達のいたレストランの向かいにコントワールと言うレストランがあったが、夫妻の話ではここは有名でなかなか予約がとれないそうだ。そこで写真だけでもと撮ったが、暗くてよく写らなかった。
楽しい食事と語らいののち夫妻にお礼を述べ、いつかの再会を約して別れた。
レストランの前からタクシーに乗り、そのままミッシェルさんの家に帰った。
翌日は、日本人の奥さんと結婚している日本語が達者なムッシュに会いに出かけた。彼はグランゼコールの先生でインテリだが、日本では京都の街を普段着のまま自転車で走り回るというこれまた個性的な人だ。
彼はよく食べるが、美食家ではなく贅沢は言わない。京都でも骨董市で一緒に行った後、近くの食堂でのどんぶりで十分満足するくらいだ。
さてその日、彼の家の近くの待ち合わせ場所に行くため、メトロに乗り市役所前で降り、見物方々ゆっくり歩いて行った。ノートルダム寺院にも一応の敬意を表した。
セーヌ川を渡り、「カルチェ・ラタン」と呼ばれるソルボンヌ大学の町を通り抜け、パンテオンを見上げたりしながら13区の方へ歩いた。
地図とにらめっこしながら歩き、無事打ち合わせの場所にたどり着き待っていたら、間もなく「お待たせー」とやっぱり自転車でやってきた。例の普段着である。
そこから彼の家に行くのであるが、途中水道工事の車が止まっており、工事関係の人がいた。その人と何やら彼は話している。
後で聞くと彼の友人の家の水道に不具合があり、修理を頼んでいるのだがなかなか来てくれないので困っているのだそうだ。つまりどうしたら早く来てくれるのかと言うことを聞いていたようだ。
日本じゃこんなことは考えられない。呼べばすぐ来てくれるはずだが、フランス(少なくともパリ)では、こんなことも思うようにはいかないらしい。
そこがフランスらしいと言えば、いかにもフランスらしい。
大学に入る前に彼は道にある自転車置き場に、自転車を停めた。
勿論鍵をかけたが、パリのことである、盗まれることには十分警戒しなければならない。
彼が言うには「盗まれないためにはコツがある。」
それは何だと聞くと、彼曰く、「それは盗まれそうな自転車の横に停めることだ。」
なるほど。
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