夕食から帰ってきたカップルは、私に質問をした。
「なぜ、お店の子は、英語が解らないの?」
居酒屋のようなところで食べたらしいが、注文をするのが困難だったそうだ。
あり得る話だと思い、「英語を中高で6年、大学を含めるともっと勉強するのだけれど、たとえ大学を卒業した人でも、必ずしも英語が話せると言うことはないんです。残念ながら日本は。」と答えた。
「ごく簡単なことよ。例えば“水”(ウォーター)が通じないのよ」と言われ、それもあり得ないことではないけれど、水に至っては「たぶん、外国人の発音に慣れていないから聞き取れなかったのだと思う」と説明した。
仏語でこちらが正確に発音しないと通じないことがあるように(特に’r'を含む単語)、彼らの発音も聞き慣れていないと理解できない。
日本人の発音に慣れている人だと、私の拙い「r」の発音も大体聞き取ってもらえるが、そうでない人はまず無理である。
彼らは日本を旅していて、気付いたことを次々に質問してきた。こういうことが普通のホテルに泊まっているだけだとわからないので、こんなコミュニケーションも、とても喜んでくれるようだった。
そして、彼らが喜んだのは、朝ごはんである。
日本の朝ごはんがやっぱり駄目なのである。洋食でも卵やハム、サラダなども朝食には受け付けないフランス人が多いのだ。
私が用意したクロワッサンやバゲット、バターにジャム、コーヒー、ヨーグルト、フルーツを本当に嬉しそうに食べた。
「まさにフランスの朝ごはんよ!!」と。
小さなことだが、こういうことに感激してもらえる。
奥さんは、中学校で化学の教師、御主人は精神科医という。
道理で、ご主人は私のつたないフランス語を一言一言、優しくうなづきながら聞いてくれているはずだ。
アヴィニョンでも彼の診断を必要とする人は多く、お昼ご飯を食べる間がないくらい忙しいということで、彼はフランス人にしては、朝ごはんをしっかりたくさん食べていると言っていた。
観光に同行しないので、見どころをまとめて説明することにした。
そして「今夜はあなた方の友人も一緒に夕食を用意するので、一緒に食べよう」と提案した。
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