この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

『手紙は憶えている』-ナチに家族を奪われた認知症を患った老人の復讐劇-確かに最後の5分は衝撃だが!

2016-11-19 20:29:16 | 最近見た映画


  【 2016年11月12日 】    TOHOシネマズ二条

アウシュビッツの生き残りが、自分らの家族をガス室に送り、その後身を隠し逃げ惑っているナチの生き残りを追い、復讐をするという、サスペンス仕立ての映画である。

 クリストファー・プラマー演じるゼブ・グッドマンは老人ホームで残り少ない余生を送っているが、妻に先立たれ、認知症の症状もひどくなるばかりである。
 ある日、同じアウシュビッツの生き残りで入所者のマックス・ザッカーから長い手紙を受け取る。

                                  
                                   【 今後の手はずを、すべて手紙に書き記す 】

 ザッカーは、自ら《復讐》を実行するほどの体力は、既に残っていないので、認知症を患っているとはいえ、まだ自分より元気なグッドマンに全てを託したのだ。

           
               【 認知症を患う主人公=ゼヴ・グッドマン 】

 グッドマンは、眠りから覚めるたびに今は亡き妻の名前を呼ぶ。周りの人に「亡くなったこと」を諭されるのだが、同じことを繰り返す。
 ただ、《復讐》を実行することを、妻の死の間際に、ザーッカー共々約束した事はかろうじて覚えている。復習する相手の候補は4人までに絞られた。4人の名前と住所、それに手筈は全て《手紙》に詳細に記されている。


                                              


 ロードムービー仕立てで、アメリカの各地を訪ね、一人二人と潰していく。3人目までは人違いであった。

 この辺の展開は、話の内容も雰囲気も全く違うのであるが、日本映画の『神様のくれた赤ん坊』をつい思い起こしてしまう。【赤ん坊の実の父親捜し】の旅なのであるが、5人の候補のうち4人までは【非該当】となり、最後の5人目に当たるところなど、この映画の展開と似ているから、ついそちらを思い出し、笑えてしまう。

 しかしこちらの方は、笑うに笑えない《シリアス》なものだ。


                              




 公式サイトのトップ画面に
  ラスト5分の衝撃全ての謎が解き明かされるとき、あなたの見ていた世界は一転する。
 とあったが、確かに最後の《5分間》は衝撃だ。それまでの《世界の見方》が一変する。

 「サスペンス映画」、「推理小説」としては、巧みな構成、びっくりするほどの展開ではあった。しかし【ナチの犯罪追及】の題材が、【知的スリル】の興奮を満たす材料に、効果的に使われたのでは、という印象がどうしてもぬぐえない。


 それと、この映画を見てつくづく思ったのだが、
  誰もが簡単に銃を買え、誰でも簡単に【人を殺せる】環境にあるという国はおそろしい
 ということだ。


               


 アトム・エゴヤン監督と言えば、『アララトの聖母』、『白い沈黙』など、印象深いいい作品があった。今回も期待して見に行ったが、どうも《技巧》に溺れてしまったような感じがする。

 それと、クリストファー・プラマー、なんかの映画で見た印象が忘れられないが、思い出せない。空港の関税職員で、大麻かか何かを持っていた青年をとがめる役だったと思うが、そのシーンが印象的で、名前だけ憶えていたのだが、出てこない。



『神様のくれた赤ん坊』の方は、実に後味の良い、さわやかで希望の持てる映画だったが、こちらはややもすると【人間不信】に陥り入りそうな、どちらかというと【後味の悪い】ものになってしまった。、

 


   『手紙は憶えている』-公式サイト




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