中国鍼灸漢方治療院 http://hari168.sakura.ne.jp/

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画像診断より自分の手を信じろ!

2013-11-13 16:35:09 | インポート

 

中年以上の腰痛患者たちがもし病院でMRIの検査をさせたら、少なくとも8割以上の方が何かの異常が見つかる。しかし、腰痛の原因と画像診断の結果とは無関係の場合が相当多いと思います。次の症例はこれに該当する。

患者さんは70歳の男性、仕事は農業。普段は慢性腰痛持ちだが、一週間前、りんご農園の草刈したあと、腰痛がひどくなり、右臀部から右下肢にかけて、強い痛みと痺れが現れた。早速病院に受診し、腰部MRI検査を受けた。病院では腰椎脊柱管狭窄症と、L/4/5番椎間関節症と診断された。一週間近く消炎鎮痛剤、湿布薬を使ったが、一向に改善せず、鍼治療求め来院。<o:p></o:p>

 

取穴:腎兪、大腸兪、右秩辺、右承扶、右委中、右承山、右崑崙。上記のツボを中心に2回ほど治療したが、改善が見られず。もう一度丁寧に腰、右臀部を触診したところ、右臀部外側、つまり中殿筋、小臀筋あたり、強い張りが感じ、圧痛が訴えられた。三回目の治療は右環跳あたり、つまり右中殿筋を狙って、合谷刺と揚刺法で治療した。治療後、その場で症状がだいぶ改善された。その後、2回ほど同じような治療で痛みと痺れが消えた。<o:p></o:p>

 

検討:<o:p></o:p>

 

 坐骨神経痛を引き起こす原因は様々なので、坐骨神経痛の治療は決して簡単ではない。いちばん重要なのはその原因の同定である。よく見られる原因として腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性腰椎症、梨状筋症候群、腰椎の分離症やすべり症などはあるが、実際、腰臀部の筋肉の凝りによる骨盤及び腰椎の歪みで発症する場合も少なくない。中殿筋は強力な大腿外転筋で、使いすぎ、特に腰を回転するような動作は傷めしやすい。中殿筋を痛めると、骨盤の歪み、上臀外側の痛み、下肢の痛みと痺れなどが見られる。触診では、圧痛或いは硬結が見られる。4の字テスト陽性。今回の症例では、画像診断では狭窄症だが、中殿筋へのアプローチによって症状が改善されたことから、今回の原因は草刈による中殿筋損傷と推測できる。臨床において、画像診断に惑わされなく、触診の重要性を示す面白い症例でした。<o:p></o:p>