lizardbrain

だらだらぼちぼち

暗算力

2014年01月20日 16時28分54秒 | 音楽

兵庫県立芸術文化センターというホールは、クラシック中心でありながらも、ワタクシのようにクラシック音楽の素養が極端に薄い輩にもいつもいつも魅力的なプログラムを用意してくれるので大好きなホールのひとつだ。
プログラムだけではなく、クルマで行くと自宅から楽々日帰りできる距離なので、大いに助かっている。
そんな風に大好きなホールなのだが、困ったことに最近、ホール周辺の駐車場事情に変化が現れてきた。
まず、周辺で一番大きくて一番安かったコインパーキングに建物の建設工事が始まって閉鎖となってしまった上に、ホールに隣接する屋外のホール第2駐車場も西宮市に用地を返還しなければらないとかで閉鎖され、周辺に他のコインパーキングはあるものの、台数に余裕があって少しでも安い駐車場に困ってしまう可能性大となってしまった。

さて、昨年11月2日、兵庫県立芸術文化センター大ホールでのハービー・ハンコック・カルテット。

この日、その辺りの駐車場事情を考慮しながら、開場時刻よりも随分早めに到着して駐車場を探してみたが、最初に行ったコインパーキングは無慈悲にも満車になっていた。
ならばとカーナビで他のコインパーキングを検索してみたのだが、そこも満車だったりはたまた実際にそこにはパーキングが存在していなかったりで随分焦ってしまった。
あまり遠くへ行くのもしゃくだったので、ホール周辺を周回しているとホールの地下駐車場に空車の表示を見つけた。
見知らぬ土地でキョロキョロと駐車場を探しながらわき見しながら行ったり来たりするのも考え物で、一方通行やら指定方向外進入禁止などの違反切符を切られたりすると悲劇になってしまう。
ので、そこにクルマを置く事を決断した。
決断などというと大げさな表現だが、地上のコインパーキングに比べるとホール地下駐車場のほうが(ほんのわずかだが)駐車料金が高くついてしまうのだ。

駐車料金のことはしばし忘れて、
日本びいきのハービー・ハンコックだからしょっちゅう来日してるはずだが、スケジュール的にワタクシとの縁が薄く、どういうわけだかこれが約30年ぶりのハンコックのライヴだった。
約30年前の前回は、厚生年金会館でのVSOPだったなぁ、トニー・ウィリアムスも健在だったなぁ、、、
などと思い出しながら、開演前に座席を確認すると、ステージに向かって右側の端っこだったが双眼鏡が必要無いほどの距離だったので、ライヴを体験できるだけでもと感謝しながらかさばるジャケットを座席に置いといて、一旦ホワイエに戻った。
ケータイで用件を済ませて座席に戻りつつ、念のためにチケットの座席番号を再度確認してみると、あららららら、、、、、
座席番号を見間違えていたではないか、、、、、
狼狽を隠しつつ、さっきジャケットを置いた席から撤退して、本来の席に座る。
本来の席は同じ列のほぼ真ん中あたりで、なんだか得したような気分になる。
(初めからその座席だったわけで別に得してはいないが。)
この時点では、さっき間違えてジャケットを置いた席の客が来ていなかったので、かち合ってトラブルにならなくてホントに良かった。

ライヴはつつがなく開演して、2曲目のウォーターメロンマンが終わり、ハービー・ハンコックがMCで客席を和ませている時、ふと違和感に襲われた。
ついさっき左胸のポケットに入れておいたはずのホールの駐車場の駐車券が無い、、、、、、
駐車券は裏側に磁気を秘めているので、やや厚手のボール紙くらいの手触りがするのだが、シャツどころかジーンズのポケットにもジャケットのポケットにも駐車券は入っていない、、、、、
「どうしよう?」
「駐車券を紛失してしまったらば、ここの駐車場からどうやって出るんだろうか?」
と、少々どころではない焦りを感じた。
開演前からこの日のライヴは途中休憩なしの予定だと知らされていたので、休憩時間にさっきまで居たホワイエあたりを捜索する事もできない。
だがとにかく、せっかくの30年ぶりハンコックライヴである。
ライヴ終了まではとにかくステージに集中しようと一生懸命に自分に言い聞かせてみた。

かすかに駐車券に意識が行きそうになりながらも、無理やり集中しながらライヴはつつがなく進行していく。
中盤でのハンコックのMCの最中に、ステージへの集中力の3%ほどを使って、駐車券を紛失した場合の最悪の駐車料金を計算してみた。
何しろ駐車券を紛失してしまうと入庫時刻を証明する物が無いため、最悪の場合を想定しなければならない。
確か、このホールの駐車場は1時間につき¥300で、ホール利用者は最初の4時間までは半額になる。
仮に開館時刻を10時、終演時刻が21時とすると、駐車料金は¥2,700となる。
つまり、最悪でも何万円もの金額にはならないし所持金でまかなえるのがハッキリしたので、ようやく落ち着いた気分になった。
しかし、どこで落っことしたんだろうか?
あ、そうか、左胸のポケットにはケータイも一緒に入れていたんだ、開演前にホワイエでケータイを胸ポケットから出して操作した時に落っことしたとしか考えられない、、、、、
ここまで計算してようやくなんとか安心できる事になった。
こうしてようやく、ライヴの残り時間は100%ステージに集中する事ができた。

かくしてライヴはどんどん進行していく。
会場からの絶大な拍手に送られて、アンコールも無事にすんだ。
ホールから出て、念のために開演前にいたホワイエの床の上を探してみるが、ワタクシの駐車券は落っこちてはいない。
誰かホールのスタッフにたずねるしかないが、ほとんどのスタッフは観客が引き上げていく客席の整理やら点検やらをしているようで、手の空いたスタッフがなかなか見つからない。
ようやく、出口近くでアンケート用紙を回収している男性スタッフに駐車券を落っことした事を申告してみると、PHSでどっかに連絡をとってくれて、それらしき駐車券がクロークに届いている事が判明した。
スタッフに連れられて(決して連行されてではない)クロークに行き、駐車券を受け取る。
他に駐車券を落っことしたバカ者がいれば別だが、印字された入庫時刻からしてワタクシの物にほぼ間違いない。
どなたかはわからないが、落っことした駐車券を拾って律儀にホールスタッフに届けてくれた方に感謝したい。
ちょいと以前にヨットで遭難したTVキャスターのS坊J郎氏ではないが、
「この国の国民でホンマに良かった。」
と実感した夜だった。

メンバーは、
ハービー・ハンコック (P. Key.)
ヴィニー・カリウタ (Ds.)
ジェイムス・ジナス (B.)
リオーネル・ルエケ (G.)


この時の一環の日本ツアーは既に終了しているだろうから、セットリストを貼り付けておく。


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