ハオンちゃん（１）

――ハーイ、お電話ありがとうございまーす。じゃあ、あなたのメッセージをどうぞ。持ち時間は30秒です。

「あのおれ、おれ、はじめてで……。何いったらいいか、ぜんぜん、かいもく、まったく、なんだか、何もわかりませんけど。あの、だれか、おれと会ってくださーい。ハチ公前で白いマフラー巻いて待ってまーす。あ、おれ昨日が誕生日、ピッカピカの２１才になったところでっす！　一緒にマンガ喫茶、マンキツ、なんて一緒に行きませんか？　お茶しません？　なんかいうのかな、こんな場合。カラオケもOKでーすっ。ほんとはスマップ好きですけど、おれ、サザンの物真似、けっこ、うまいっす。ゥ、サワィゴノ、キスッ、こぉんな感じでーす。それから……」

――ハーイ、あなたのメッセージは登録されました。たくさんのジョッシーにお届けします。返事がくるといいですねー。ありがとうございました。ガシャッ。

ってな感じで、バイト先のダチとおれは新宿でテレクラをやってみたんだ。
でも、まさかだったよ。

「わたし、ハオンでーす！」

なんて、中学生みたいなのが来るとはね。

「なにっ。チミ、高校生っていってたろ？」
「そうよ。あたし、高校生」
「ぜぇったい、見えない。おれ怒ってるからね。あっち行けよ！」　《続》ｗ